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ハーブ・エリス(HERB ELLIS)とフレディ・グリーン(FREDDIE GREEN)
「リズム・ウィリー」(RHYTHM WILLIE)
ハーブ・エリス(HERB ELLIS)とフレディ・グリーン(FREDDIE GREEN)の「リズ
ム・ウィリー」(RHYTHM WILLIE)です。CONCORDのオリジナル盤になりま
す。
このレコードはコンコード・レーベル発足直後のもので、レコード番号は「CJ−
10」、1975年の録音になります。
パーソネルはギターにハーブ・エリス、リズムギターにフレディ・グリーン、ベースにレイ・ブラウン、ピアノにロス・トンプキン
ス、ドラムスにジェイク・ハナとなっています。

ご存知のように、フレディ・グリーンは1930年代から生涯カウント・ベイシー・オーケストラのリズムギターを担当した名手
で、このレコードでも例によってリズムギターに徹しており、ギター・ソロは専らハーブ・エリスがとっています。しかしこの
絶妙のスイング感は正にフレディ・グリーンなかりせば実現できないもので、彼の存在は全く唯一無二と言えます。

ピアノとドラムスはでしゃばらず、ハーブ・エリスとフレディ・グリーンとレイ・ブラウンを聴くレコードとも言えそうです。非常
にリラックスした演奏ですが、3人の名人芸を堪能すべきでしょう。B面ラストの「ORANGE, BROWN AND GREEN」は文字
通り、ORANGE(for HERB)、BROWN、GREENの3者を表しており、何だかごく普通のリフみたいですが、背後にある大き
なものを感じるのは私だけでしょうか? 私は名盤だと思います。

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ファッツ・ウォーラー(FATS WALLER)
「エイント・ミスビヘイヴィン」(AIN'T MISBEHAVIN')
ファッツ・ウォーラー(FATS WALLER)の「エイント・ミスビヘイヴィン」(AIN'T 
MISBEHAVIN')です。
RCA VICTORの12インチ・オリジナル盤、モノラル仕様になります。
レコード番号は、LPM−1246。
このレコードは、1956年にファッツ・ウォーラーの過去の録音を集めて作られた見事なコンピレーション盤です。一応プレ
イヤーは、ファッツ・ウォーラー・アンド・ヒズ・リズムとなっています。

パーソネルは定かではありませんが、時期的にはピアノとヴォーカルにファッツ・ウォーラー、ギターにアル・ケイシー、トラ
ンペットにハーマン・オートレー、テナー・サックスにユージン・セドリック、ベースにセドリック・ウォーレス、ドラムスにスリッ
ク・ジョーンズといったところかと思われます。

ファッツ・ウォーラーは、ジャズ・ピアノとオルガンの名手であり、ユニークな唱法と声が自慢のヴォーカリストであり、作曲
も数多くこなし、ラジオや映画にも出演した、正に時代が要求したエンターテイナーだったと言えます。ピアノでは、ストラ
イド奏法を確立し、アート・テイタム以前の最大のピアニストであり、オルガニストとしてはカウント・ベイシーに多大の影響
を与え、作曲家としては後世に残るスタンダードを数多く手がけて、ちょっと凄い存在です。

「ハニーサックル・ローズ」「ジターバグ・ワルツ」「浮気はやめた」といった名曲の作者で、後年のジャズマンに何度も採り
上げられています。ベニー・カーターなんぞは「ハニーサックル・ローズ」を我が曲のように愛奏していますね。「ミュージシ
ャンズ・ミュージシャン」のはしりだったかもしれません。

しかし時代に合わせたためか、道化に扮することも多く、純粋ジャズファンからは1段ランクの低い扱いを受けているように
も思えます。 

その名の通り「ファッツ(太い、デブ)」な体型で、ずーっと280ポンドから300ポンドの体重だったといいますから、要は1
25kgから135kgほどの巨体だったのです。この体型とユニークな歌唱で、一世を風靡したことは確かで、どうにも過小
評価されているのが甚だ残念なところです。

アンディ・ラザフとともに沢山の曲を作ったにもかかわらず、飲んだり食べたり、とにかく生活するために曲を売っており、
今で言う著作権など自ら放擲していたようです。ハンバーガーの10個や20個は平気で平らげていたそうですから、そり
ゃ食費が嵩みます。

収録曲は、A面に「Honeysuckle Rose」、「Ain't Misbehavin'」、「I Can't Give You Anything But Love, Baby」、「Two
Sleepy people」、「I'm Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter」、「It's A Sin To Tell A Lie」の6曲、B面に
「The Minor Drag」、「The Joint Is Jumpin'」、「Hold Tight (Want Save Sea Food Mama)」、「Your Feet's Too Big」、
「Until The Real Thing Comes Along」、「Tea For Two」の6曲、計12曲です。

A面冒頭の「ハニーサックル・ローズ」、「浮気はやめた」はピアノソロで、あとの4曲にはヴォーカルが加わります。「嘘は
罪」もご機嫌な演奏です。B面では真ん中の「Hold Tight (Want Save Sea Food Mama)」が陽気で愉快。最後の「Tea
For Two」もピアノソロで聴かせてくれます。

年齢的に、サッチモやエリントンとそう変わらず、十分タメを張れるジャズ・ジャイアントだったのですが、悲しいかな肺炎に
罹り、楽旅移動中の車中で亡くなってしまいます。時にファッツ・ウォーラー39歳でした。サッチモやエリントンが70歳を
超えるまで活躍したことを思えば、随分な夭逝だったわけです。

ジャケット表裏にある彼の写真ですが、いかにも陽気なこういう笑顔で演奏していたことには間違いありません。いつだっ
たか彼の映像を見ましたが、巨体を揺らしてピアノを弾き、いつのまにか踊りだして歌っているという、エンターテイナーそ
のもので、それでいてテクニックが正確で実にスイングしていました。

しかし、裏面の写真はホントにアホみたいではあります。流し目ならぬ、まるっきり左を向いた目玉に、下ぶくれの顔かた
ち、ニヤケタ表情は、あの「こまわり君」じゃあーりませんか。実に笑かしてくれます、流石ですな。

彼の演奏は幾つかCDでも発売されているでしょうが、音質といい有り難味といい、やっぱりアナログ・ディスクには敵いま
せん。何か深みが全然違います。生涯で600曲以上は収録したとか言われる彼には失礼ですが、案外このアルバムで
そこそこ事足りるかもしれません。

もちろん演奏スタイルは古いのに間違いありませんが、ここまで来るとスタイルの新旧など超越して、いい音楽はいつ聴
いてもいいもんだってことが、このアルバムを聴いてもらえればよく分かります。

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フランセス・フェイ(FRANCES FAYE)
「コート・イン・ジ・アクト VOL.2」(CAUGHT IN THE ACT VOL.2)
フランセス・フェイ(FRANCES FAYE)の「コート・イン・ジ・アクト VOL.2」
(CAUGHT IN THE ACT VOL.2)です。
GNP・CRESCENDOのオリジナル盤になります。
レコード番号はGNP92。
このレコードは1963年(1959年とも)にリリースされたライブ盤で、VOL.1(1959年)はハリウッドのクレッセンドでの
収録でしたが、このVOL.2はラスベガスのサンダーバードにおいて録音されたものです。タイトルの「CAUGHT IN TH
E ACT」とは「現行犯逮捕」というところでしょうか。

フランセス・フェイをご存知でない方も居られるでしょうが、一応クラブ・シンガー、ジャズ・シンガー、アクトレスみたいなカ
テゴリーに属しておられるようで、要はエンターテイナーと呼ぶべきお方です。

殊にライブ盤はノリノリで、姐御肌そのものの貫禄ステージの様子を聴かせてくれます。あっという間に聴き終える感じ
で、華やかで楽しいライブの雰囲気を伝えています。

声も大きそうな姐御ですが、気分で曲を選んでいる節も感じられ、例えばB面の2曲目に入る前には「フライ・ミー・トゥー・
ザ・ムーン」を口ずさみ、観客の反応を見つつ、実は「BLUEBERRY HILL」を歌いだすという、機知に富んだところも垣間
見せます。

観客を喜ばす術を心得た彼女独自の演出が発揮された好盤かと思います。

VOL.1とVOL.2をカップリングしたCDが出ていたようですが、案外レアかもしれないアルバムをオリジナルLPでいか
がでしょうか?

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フランセス・フェイ(FRANCES FAYE)
「シングス・フォークソング」(SINGS FOLKSONG)
フランセス・フェイ(FRANCES FAYE)の「シングス・フォークソング」(SINGS 
FOLKSONG)です。
BETHLEHEMのオリジナル盤になります。
レコード番号はBCP−6017。
このレコードは1957年の2月と3月に録音されたもので、リーダー盤としてはBETHLEHEM最後のアルバムになり、奇
しくもBETHLEHEM最初のアルバムになる「I’M WILD AGAIN」と同じラス・ガルシアのアレンジと指揮によるもので
す。

バックを努めるパーソネルには、メイナード・ファーガソン、ジミー・サルコ、フランク・ロソリーノ、ハワード・ロバーツ、メル・
ルイスなどが配されています。

フェイはここでも中々に強烈な解釈によるスリリングな歌唱を披露していますが、フォークソングということもあって曲によっ
てはかなり抑制の効いた表現も用いています。マイクの使い方を考えた微妙なシャウトに確信犯的なアプローチも窺えま
す。

オリジナルのライナーに記載されている通り、ジャズ的な表現者としてのフェイが有名だっただけに、フォークソングを採り
上げたことが論議をかもしたであろうことは想像に難くありません。フォークソングの歌唱は叙情的なものだという概念が
一般的だった当時においては、かなりインパクトがあったようです。

目に映るものだけではなく、内面の目で見えたものまで含めた表現が、これらの歌唱に感じられるとされています。

収録曲には「GREENSLEEVES」、「LONESOME ROAD」、「JOHNNY HAS GONE FOR A SOLDIER」、「ST.
JAMES INFIRMARY」、「CLEMENTINE」などがあり、古き英米のフォークソングを彼女流の解釈で収めています。
ステージにおけるエンターテイナーとして名を馳せた彼女ですが、いわゆる懐の深さをこのアルバムで証明したような感じ
です。

フランセス・フェイをご存知でない方も居られるでしょうが、一応クラブ・シンガー、ジャズ・シンガー、アクトレスみたいなカ
テゴリーに属しておられ、後年にはブルック・シールズ(彼女も今や懐かしい?)の出世作になる「プリティ・ベビー」に売
春宿の女主人役で出演していました。

こういう役どころが似合ってしまう彼女は正にアネゴ肌で、JEWというルーツも窺わせるこのアルバムは異色作に間違い
はないでしょう。

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フレッド・ハーシュ・トリオ(FRED HERSCH TRIO)
「ホライゾンズ」(HORIZONS)
フレッド・ハーシュ・トリオ(FRED HERSCH TRIO)の「ホライゾンズ」
(HORIZONS)です。
CONCORDのオリジナル盤になります。
レコード番号は、CJ−267。
このレコードは、1984年にニューヨークで録音されたもので、なぜかサム・ジョーンズに捧ぐとの記載があります。

パーソネルは、ピアノにフレッド・ハーシュ、ベースにマーク・ジョンソン、ドラムスにジョーイ・バロンというメンバーです。

収録曲は、A面に「My Heart Stood Still」、「Moon And Sand」、「The Star Crossed Lovers」、「One Finger Snap」の4
曲、B面に「The Surrey With The Fringe On Top」、「Miyako」、「Cloudless Sky」の3曲、計7曲です。

フレッド・ハーシュをご存じない方に、少しだけ紋切り型の説明をしますと、「洗練されたピアノスタイルと、優れた作編曲
センスで常にスタイリッシュな作品を楽しませてくれる」とか「耽美的、リリカル、そんな美しい崇高なピアノのイメージだけ
ではなく、ツボにはまったときのノリもよく、音色や響きの温かみもあるピアニスト」ということになりますか…。

ちょいと聴けば「ビル・エヴァンスのフォロワーかい」てなもんですが、確かにそれだけではなくて、ところどころにチック・コ
リアやトミフラみたいな響きを感じさせますから、単なるフォロワーではなさそうです。

1曲目から中々に渋くて軽快な(?)演奏を聴かせてくれます。聴いていると、ビル・エヴァンスかチック・コリアか、はたま
た別の誰かに似ているように思えないではないのが彼への評価を難しくしている一因でしょうね。個性があるようなない
ような不思議な感じです。

2曲目の「Moon And Sand」は実に楽しいボサノバ調。マーク・ジョンソンがカッコいいです。実は私はマーク・ジョンソンの
隠れファンなのでした。マークはビル・エヴァンスともやってますし、フュージョンもどきみたいな演奏もできますし、中々に
多芸な巧者じゃないかと思います。ピアノは少々流暢なコリア風で聴かせているようです。これが個性なんでしょうか
ね?

3曲目は「The Star Crossed Lovers」、翻訳ソフトでは「スターの交差した恋人たち」になりますね。何のことかよく分かり
ません。ピアノの耽美に振ったプレイが印象的ですが、もう少し力があってもいいんじゃないかと思わないでもありませ
ん。やっぱりエヴァンス風で迫ります。

4曲目が「One Finger Snap」で、チック・コリアに近いプレイです。しっとり行くとエヴァンス風で、ちょいと頑張るとコリア風
てのが当たらずとも遠からずでしょうか。嫌味なく聴こえるのが彼の長所ですね。

B面の1曲目は「The Surrey With The Fringe On Top 」(飾りの付いた四輪馬車)です。これも結構シビレル演奏かと思
います。絶妙とはこのことかもしれません。元気になりすぎて破綻する手前で踏み止まって、知性を残したプレイでした。
マーク・ジョンソンがここでもイー感じです。

続く2曲目は「Miyako」ということですが、「ミヤコ」とは、はて何ざんしょ? 「都」か「宮古」か「京都」か「美也子」か「宮
子」か…? バラード調で聴かせる楽曲なんですが、もう少し突っ込むかケーハクにアレンジした方がよかったかもしれま
せん。思うに「ミヤコ」っていう名前の女性と何かあったんじゃないでしょうかね。「好きなんだけど、彼女は振り向いてくれ
ないし…」、「でも僕は健気に生きていこう」みたいな哀愁が感じられて、結局笑えます。

最後の「Cloudless Sky」は快調に飛ばしまくる快演ですね。海猿や開演ではありませんので誤解のなきよう。タイトルに
あるように「雲なき空」そのものの演奏です。苦もなく蜘蛛なく演じているのが達者ですよ。いかにも少々オーソライズした
ようなチック・コリアが聴こえてきます。ジョンソン印やジョーイ男爵も好調で、実はこれが白眉かもしれません。ワーッと乗
ってストンと終わる、結構な落ちでござんした。

ここ20年ほどで有名になってきたハーシュですが、どうやらこのアルバムがファースト・リーダー・アルバムらしいです。昔
のジャズ人名辞典にはハーシュのハの字もありませんでした。ここ最近はますます耽美的、すなわち内省的な演奏に落
ち込んでいるそうですから、この頃のが聴いてて快適みたいですよ。

ジャケット裏面にフレッド・ハーシュらしき人の顔写真が載っていますが、これは出さない方がよかったような…。見ように
よっては極めてオ○○っぽくて、キモイものがありますね。髪をニッパチに分けてヒゲを蓄えているなんぞ、そのものじゃあ
ーりませんか?

CONCORDの録音は、中々にジャズっぽさを感じさせてくれる類いじゃないかと密かに思っています。このアルバムも、
ECMのように尖がらずに、またひ弱にならず元気よく聴けますから、まずはお薦めの1枚でした。

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