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ハービー・ハンコック(HERBIE HANCOCK)
「テイキン・オフ」(TAKIN' OFF) |
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ハービー・ハンコック(HERBIE HANCOCK)の「テイキン・オフ」(TAKIN' OFF)で
す。
BLUENOTEのリバティによるリイシュー盤になります。 |
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パーソネルは、ピアノにハービー・ハンコック、トランペットにフレディ・ハバード、テナーサックスにデクスター・ゴードン
(!)、ベースにブッチ・ウォーレン、ドラムスにビリー・ヒギンズというメンバーで、それぞれ堅実な演奏に徹しています。
このレコードは、1962年に録音された、ハンコックの初リーダーアルバムになり、彼のやる気と企画力が横溢した名盤
だと思います。ともすればエモーショナルな傾向に走りがちなフレディやデクスターがそれなりに知性を感じさせるような
演奏に終始しており、結果として新主流派の旗揚げとも言える好演奏になったようです。これは多分ハンコックの意図し
たところなんでしょう。
ジャケット写真のハンコックは、今では考えられない外観で、ボタンダウンシャツに細いネクタイを締めてアイビーなジャケ
ットを着用しています。短髪に黒ぶちメガネも時代を感じさせる写真です。しかし、口はこの頃から開いていますな。 |
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ハービー・ハンコック(HERBIE HANCOCK)
「処女航海(メイドン・ボヤージ)」(MAIDEN VOYAGE) |
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ハービー・ハンコック(HERBIE HANCOCK)の「処女航海(メイドン・ボヤージ)」
(MAIDEN VOYAGE)です。
BLUENOTEのリバティによるリイシュー盤になります。 |
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パーソネルは、ピアノにハービー・ハンコック、トランペットにフレディ・ハバード、テナーサックスにジョージ・コールマン、ベ
ースにロン・カーター、ドラムスにトニー・ウィリアムズというメンバーで、何のことはない、当時のマイルス・クインテットのメ
ンバーからマイルスの代わりにフレディ・ハバードを入れたことになります。
このレコードは、1965年に録音された、ハンコックの履歴の中でも重要な位置を占めるアルバムで、この後、マイルス・
バンドでも似たような傾向に向いていきます。御大マイルスがいない分、メンバーそれぞれにのびのびとした印象を感じる
のは私だけでしょうか。
ここで演奏されている曲は全てハンコックのオリジナルですが、後年何度となく再演され、今や定番となった感もありま
す。後のVSOP辺りの演奏と比較されるのも面白いかもしれません。 |
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ハービー・マン(HERBIE MANN)
「アット・ザ・ヴィレッジ・ゲイト」(AT THE VILLAGE GATE) |
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ハービー・マン(HERBIE MANN)の「アット・ザ・ヴィレッジ・ゲイト」(AT THE
VILLAGE GATE)です。
ATLANTICのオリジナル盤、ステレオ仕様になります。
レコード番号は1380。 |
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パーソネルは、フルートにハービー・マン、ヴィブラフォンにハグッド・ハーディ、ベースにアーマッド・アブダル・マリクとベ
ン・タッカー、コンガ・パーカッションにレイ・マンティラ、ドラムスにルディ・コリンズなどとなっています。
このレコードは1962年にニューヨークのヴィレッジ・ゲイトで録音されたライブ盤としてリリースされたもので、おそらくはマ
ンの最高傑作との呼び声の高いものです。
LP両面合わせて3曲しか入っていませんが、そのどれもが高い音楽性とリラックスした雰囲気を携えており、蓋し名盤に
は間違いありません。
ハービー・マンと言えば、そのニヤケた風貌からも硬派のジャズ・ファンからはちょっと嫌われる存在かもしれませんが、こ
んな演奏を耳にすれば単なる軟弱フルートとは言えません。若干のアフリカン・リズムを採り入れたアレンジは、しっかり
ジャズしています。ライブ盤ならではのムードも特筆すべきところでしょうか。(内緒ですが、私は結構マンが好きなので
す)
何と言っても、1曲目のベン・タッカー作曲による「カミン・ホーム・ベイビー」が有名なアルバムですが、残り2曲のガーシ
ュイン・ナンバーも忘れてはなりません。ヴィブラフォンの使い方が効果的で、曲の長さを感じさせない快調な演奏です。
実は「カミン・ホーム・ベイビー」がアルバム中で最も短い演奏です。
オリジナル盤の音質はやはり最も重量感のあるもので、たまたまCDも持っていますが、比べものにはなりません。CD
の、清澄かもしれないが何とも味気ない音とは別格でしょう。特にヴィブラフォンのアタックなどは雲泥の差があるように私
は思います。 |
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ハービー・マン(HERBIE MANN)
「グローリー・オブ・ラブ」(GLORY OF LOVE) |
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ハービー・マン(HERBIE MANN)の「グローリー・オブ・ラブ」(GLORY OF LOVE)
です。
A&M、CTIのオリジナル盤と言いたいところですが、実はA&Mの「AUDIO
MASTER PLUS SERIES」という高音質盤によるオリジナル盤です。
もちろんステレオ仕様で、レコード番号はSP−9−3003。オリジナルのこの
盤はSP−3003のようです。 |
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「AUDIO MASTER PLUS SERIES」というのは、1984年にCTIのレコードから18タイトルを抜粋して作られた高
音質盤のことで、CDが登場していたにも関わらず、LPで作る辺りにちょいと良心の欠片が感じられます。略して「AM
+」、すなわちA&Mと引っ掛けているようですね。
ジャケットの仕上げでは、その使用紙の厚さで若干オリジナルに引けを取りますが、全面コーティングの立派な見開きア
ルバムになっています。
このレコードは1967年に録音されたもので、有名な「MEMPHIS UNDERGROUND」よりも少し前のアルバムです。録音さ
れた場所は、これまた有名な「VAN GELDER STUDIO」で、エンジニアは当たり前にルディ・ヴァン・ゲルダーですね。当時
のCTIではよくあったシチュエーションでしょう。こういう出自が「AM+」として復刻された理由の一つかと思われます。
パーソネルは、フルートにハービー・マン、ピアノやオルガンにロイ・グローヴァー、ローランド・ハナ、ポール・グリフィン、ベ
ースにロン・カーター、アール・メイ、ドラムスにグラディ・テイト、ハーブ・ラブル、ヴァイブにテッド・ソマー、ロイ・エアーズ、
ギターにエリック・ゲイル、ジェイ・バーリナー、ソニー・シャーロック、フルートとピッコロにヒューバート・ロウズ、その他ホー
ン・セクションなどとなっています。どうも録音回数が4回に分かれているため、多くのパーソネル列記になりました。
収録曲は、A面に「No Use Crying」、「Hold On, I'm Comin'」、「Glory Of Love」、「Unchain My Heart」、「House Of The
Risin' Sun」、「The Letter」の6曲、B面に「Upa, Neguinho」、「Love Is Stronger Far Than We」、「Oh, How I Want To
Love You」、「In And Out」の4曲、両面で10曲の構成です。
A面の1曲目「No Use Crying」は、レイ・チャールズのヒット曲で、「泣いても無駄」みたいな意味でしょうね。その昔に
「There is no use crying over spilt milk」とか「It's no use crying over spilt milk」という構文で「覆水盆に返らず」と訳す
らしいことを学んだ覚えがあります。と諭したようなタイトルで、演奏はハービーのアルトフルートを中心にしっとりめで快適
に進みます、絡んでいるのはヒューバート・ロウズですね。と思ったらすぐに終わってしまいました。もう少し続けてほしか
ったよね。しかし、このアルバムは大半が3分程度の曲ばっかりなのでした。
2曲目は「Hold On, I'm Comin'」で、おなじみ「サム&デイヴ」の大ヒット曲です。フルートの後にヴァイブのソロを挟んで、
まあ標準的な出来です。ソニー・シャーロックがいるはずなんですが、そろはとらせてもらえませんでした、残念。
3曲目も、ご存知「Glory Of Love」で、オーティス・レディングがリバイバルでヒットさせてましたね。何だかゴスペルのよう
なスロー・ビートでアルトフルートとフルートはまたも絡み、オマケにギターまで絡んでます。ここでのギターは、何とエリッ
ク・ゲイルなのでした。
4曲目がこれまた有名な「Unchain My Heart」で、またもレイ・チャールズのレパートリーです。お馴染みのメロディに乗っ
たハービーの後に少しだけエリック・ゲイルがこんにちは。この頃から上手いことは上手い。
5曲目も誰でも知ってる「House Of The Risin' Sun」です。この後の「アニマルズ」に乾杯!ですか。さらに西部がかって
いるのが笑かします。出所はニュー・オリンズの民謡だそうで、ハービーのアルトフルートはマカロニ・ウェスタンなんぞを
髣髴とさせてイー感じでした。よく聴けばオルガンまで入ってます。
6曲目は「The Letter」、邦訳「手紙」ですね。日本で「手紙」といえば由紀さおりさんのが有名で、「死んでもあなたと暮ら
していたいと〜」は一世を風靡しましたが、ここでの出自はボックス・トップスのヒット曲から。ここでもアルトフルートとヴァ
イブとギターの絡みがそれもんで、まあまあこんなもんでしょう。
B面に移って、1曲目は「Upa, Neguinho」、何と読むのでしょうか?「ウパ、ネギーニョ」?「ウパ、ネギインホ」? 「ウパ」
ってのは聖地カリンにいた子供の名前ですけど、この頃にはまだ「ドラゴンボール」はなかったはずで、何だかよく分かり
ません。クレジットをみると13人編成の演奏です。「パパパ、ヤーヤーヤーヤー」というコーラスとともに始まって、ボサノ
バ調のプレイが進みます。中々楽しめるんですが、これもいつの間にか終わってしまいました。
2曲目が「Love Is Stronger Far Than We」です。当時流行したフランス映画「男と女」からの引用です。スローなテンポで
ハービーのフルートがフィーチュアされており、何とも間抜けな感じがしないでもないのが楽しい曲です。作曲はかのフラ
ンシス・レイですから一応は敬意を払って聴きましょう。
3曲目の「Oh, How I Want To Love You」はハービーのオリジナルです。ミディアム・スローなテンポで坦々とダラダラと続
きます。アルバム中で最も長い曲なんですが、案外にサラーっと終わったような気になります。
最後の4曲目は「In And Out」で、これもハービーのオリジナルになる曲です。最後の2発は自前でてなもんでしょうが、
他のがあまりに有名な曲ばかりなんで、ちょいと霞んでしまう嫌いはありますか。でもこれは何処かで聴いたようなブルー
ス・テーマですね。ハービーとロウズの2本フルートが左右でズーッと掛け合って、中々に聴かせてくれます。トーンの明
瞭な方がロウズのような感じです。「In And Out」というタイトルに准えたような演奏とみるのは穿ち過ぎでしょうか。どちら
が「In」かは皆様のご判断にお任せします。
というわけで、またもや長々と綴りましたが、この頃のハービー・マンはヒット曲とかを上手く採り上げて流行の先端を自
負していたらしく、このアルバムもそれなりの出来で楽しめます。ところで、ジャケットに写っている深呼吸している人はハ
ービー・マンその人かと思われますが、赤地のバック右上にカモメらしき影が写っているのはご存知でしたか?実物を見
て確認してください。 |
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ハービー・マン(HERBIE MANN)
「プッシュ・プッシュ」(PUSH PUSH) |
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ハービー・マン(HERBIE MANN)の「プッシュ・プッシュ」(PUSH PUSH) です。
EMBRYOのオリジナル盤、もちろんステレオ仕様です。
レコード番号はSD−532。 |
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このレコードは1971年に録音されたもので、フュージョンが世の中に出だした頃のアルバムになりますか。
パーソネルは、フルートとアルトフルートにハービー・マン、ギターにデュアン・オールマン、コーネル・デュプリー、デヴィッ
ド・スピノザ、ハープにジーン・ビアンカ、ピアノにリチャード・ティー、ベースにチャック・レイニー、ジェリー・ジェモット、ドナ
ルド・「ダック」・ダン、ドラムスにバーナード・パーディー、アル・ジャクソン、パーカッションにラルフ・マクドナルドとなってい
ます。曲によってメンバーはそれぞれ入れ替わっていることになりますね。
まあ、無理やりにカテゴライズすれば「ソウル・ジャズ」とか言われて、熱血ジャズ・ファンからは黙殺されるかもしれない1
枚ではありますが、内容は想像以上に優れているような気もします。ロック・ファンからはデュアン・オールマンの参加が
話題になったようです。ちょいと気になりませんか?
収録曲は、Side1に「Push Push」、「What's Going On」、「Spirit In The Dark」の3曲、SideAに「Man's Hope」、「If」、
「Never Can Say Goodbye」、「What'd I Say」の4曲、計7曲です。どういうわけか、A面・B面ではなくて、Side1とSideAの
表記になっています。Side2やSideBはありません。何ともフザケタ表記で、フツーなら間違うだろ、私も間違えました。
1曲目の「Push Push」からノッテます。「押せ押せ」なんだから多分イケイケなんでしょうね。これで引き引きのヨレヨレだ
ったら叱られます。で、ギター・ソロはデュアン・オールマンなのかコーネル・デュプリーなのか私には分かりません。この
曲はマンのオリジナルで、大向こうを狙ったアレンジが冴えてますか。
2曲目は、ご存知の「What's Going On」でして、マーヴィン・ゲイの作品として非常に有名ですね。ローランド・カークも採
り上げていましたから、当時の流行といえば流行の楽曲です。オリジナルよりもソフトに進みますから、うーむ、あのメッセ
ージ性は何処へ行ったんかいな。しかしこういうアプローチが女性連に受けるような気もしますので、「Push Push」の後で
すからこのくらいの情感が適切なんでしょうか、それにしても本来からはちょいと異なったアレンジかもしれません。
3曲目はアレサ・フランクリンの「Spirit In The Dark」です。彼女も正にソウル界では大御所的な存在で、この曲も当時の
流行を意識した選曲ですね。ヒット・チューンの大好きなマンの面目躍如で、この辺にあやかったマンの思惑や如何に。
結果は結構クールに決めて結構でした。聴いてみてください。
B面に移って…、いやSideAでした。1曲目は「Man's Hope」、訳せば「マンの望み」かと思いきや「Mann」ではなくて
「Man」ですから、これは「オトコの望み」ですね。またしても意味深なタイトルで萌えさせてくれます。演奏はピアノとフル
ートの掛け合いから始まって、大人しめに進みそうでしたが、結局はイエーィ、アーシー、グルーヴィー…てなもんで、てな
もんや三度笠。ギターソロの後ろでは一際パーカッションがチャカポコいってアホっぽいムード満タンです。
2曲目は「If」。これはブレッドの曲でしたね、作者はデヴィッド・ゲイツで、ビル・ゲイツの親戚かどうかは知りません。ソフ
ト・ロックの帝王とかいうケーハクなキャッチのグループでしたが、この曲は今でもロック・バラードの名曲とかいう文言で
泣かせますね。結構カバーの多い曲で、シナトラのが有名です。刑事コジャックも歌っていたそうな…。演奏自体はまたも
やソフト・イージー・ムーディー・ブルージーで、何だかよく分かりませんね。マンのタンギングが聞こえてきて、流石の舌
技でした、上手いもんです。
3曲目が「Never Can Say Goodbye」。ガキンチョだったジャクソン・ファイブで有名な、これも当を得た選曲で泣かせます、
って言うか笑わせます。当時の憎たらしくも可愛いマイケルから今の妖気漂う彼を誰が予想したでしょうね。アレンジは大
人しめで雰囲気たっぷりにマンが聴かせます。
最後の曲が「What'd I Say」、レイ・チャールズの大ヒット曲です。最後のキメには持って来いの選曲で、オリジナルに劣ら
ないダンサブルなアレンジです。気持ちいいからもっと「PUSH PUSH」てなもんですね。うーん、たまりません。
というふうに聴いてきますと、マンのオリジナルが2曲で、レイ・チャールズほかのカバーが5曲ということになり、しかもそ
のほとんどが同年(1971年)のヒット曲になるという、まったく時流を心得たマンは大したオッサンでした。集めているメン
バーもそういう話題性を引き立たせるのに十分な連中で、これらのメンバーを集められるマンはやっぱりエライんじゃない
でしょうか。
聞くところによると、EMBRYOはハービー・マンの所有していたレーベルで、ATLANTIC系列のCOTILLIONからリリー
スされたという、何ともややこしい関係のようです。
実は最初にEMBRYOを知ったのはミロスラフ・ヴィトウスの「INFINITE SEARCH」を購入したときなんですが、何ともケッタ
イなレーベル名に辞書を引いてみると、邦訳は「胎児(3ヶ月以内)」じゃないですか! 当時、高校生だった私は何だか
妄想を逞しくしましたね、恥ずかしながら。で、その数年後に「エンブリヨ」という邦題のカルト・オカルト・サスペンス・SF映
画が公開されていました、私はあんまりアホらしくて見てませんが。
オマケに、このレーベルのアルバムは大体が見開きアルバムで、正面に四角の穴が開いていて中身が覗き見られると
いう額縁ショー的な要素を併せ持った優れたものでした(?)。
しかし「INFINITE SEARCH」は良かったなあ。冒頭の「Freedom Jazz Dance」なんかはマイルスのより数段興奮しました
ね。ヴィトウス恐るべしで、チェコ出身者とかいう出自に頷けるもんがありました。全然わけの分からない根拠ですが…。
閑話休題。で、このアルバムの装丁なんですが、四角い窓ではないにせよ、やっぱり表面の一部は抜いてあります。タイ
トルの「PUSH PUSH」の二つ目の「PUSH」が輪郭ごと抜かれてますね。そこからナニが見えるか? オレンジ色の陰影が
ボーっと見えてるだけで何だかよく分かりません。
表面(って裏面もそうですが)にはフルートを肩に担いだハービー・マンが上半身裸で毛むくじゃらの肢体を曝しています。
ウーム、何ともキモイ。フルートがステッキか棍棒なんぞに見えてしまうじゃありませんか。ナニかと勘違いされそうだか
ら、フツーは一歩も二歩も引けますね。レジ係が女性だったら、尚更ヘジテイト。これを手にとってレジへ行こうものなら、
おそらくは変態もしくはゲイ者扱いされるという危ないジャケットですか?
ついでに怖いもの見たさで見開きジャケットを開いてみると…、正しく直接的表現画像が現れて、二度ビックリ。「PUSH
PUSH」ってそういう意味だったのかと納得すること請け合いです。って言うか、突っ込みすぎの押せ押せじゃないの?
読んで字の如し、1枚で2度おいしいマンでした。マンっていう名前もこの際は妄想が膨らんで、10代の貴方には目の
毒、気の毒、耳の毒ですねっ!
またしても、ついでに申せば、レーベルのデザインが何とも奇妙で、色合いもそうなんですが、8個ほど散りばめてある柄
は「yin & yang」(中国でいう陰陽ですよ)にしか見えません。これが「ying yang」になれば、何ともはやの訳ですから、ま
すます逞しくなりそうで…、お粗末でした。 |
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ハービー・マン(HERBIE MANN)
「ライブ・アット・ザ・ウイスキー・ア・ゴー・ゴー」(LIVE AT THE
WHISKY A GO GO) |
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ハービー・マン(HERBIE MANN)の「ライブ・アット・ザ・ウイスキー・ア・ゴー・ゴ
ー」(LIVE AT THE WHISKY A GO GO) です。
ATLANTICのオリジナル盤になります。 |
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ジャケットには若干の焼けがありますが、底抜けや割れはなく、結構良好な部類かと思います。画像をご参照ください。
このレコードは1969年にロス・アンゼルスの「ウイスキー・ア・ゴー・ゴー」で収録されたライブ盤です。(余談ですが、「ウ
イスキー・ア・ゴー・ゴー」は今も健在です)
パーソネルは、フルートにハービー・マン、テナー・サックスにスティーブ・マーカス、ヴァイブにロイ・エアーズ、ギターにソ
ニー・シャーロック、ベースにミロスラフ・ヴィトウス、ドラムスにブルーノ・カーというメンバーです。今から思うと、すごいメン
バーを擁していたのだと感心します。フュージョン世代から一世代前の熱い演奏はいかがでしょう。 |
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ハービー・マン(HERBIE MANN)
「ロンドン・アンダーグラウンド」(LONDON UNDERGROUND) |
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ハービー・マン(HERBIE MANN)の「ロンドン・アンダーグラウンド」(LONDON
UNDERGROUND)です。
ATLANTICのオリジナル盤で、レコード番号はSD1648。 |
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このレコードは1974年にリリースされたもので、ロックリズムを基調にしたフュージョン的なアルバムと言えます。ハービ
ー・マンにとっては以前からの音楽を踏襲して展開しているわけで、さて単純なフュージョンと断じるのは少々拙速かもし
れません。
とは言え、収録曲はローリング・ストーンズの「BICTH」、クラプトンの「LAYLA」、プロコル・ハルムの「青い影」、ドノヴァン
の「MELLOW YELLOW」、スティーブ・ウィンウッドの「PAPER SUN」、ビートルズの「YOU NEVER GIVE ME YOUR
MONEY」などが並び、殆どロックに題材を求めています。
加えて、パーソネルは、フルートにハービー・マン、キーボードにパット・レビロット、ギターにミック・テイラーとアルバート・
リー、ベースにファジー・サミュエルズとアル・ゴリー、ドラムスにエインズレー・ダンバーとロビー・マッキントッシュなどとな
っており、正にロックバンドそのものの面子です。「MELLOW YELLOW」にだけヴァイオリンのステファン・グラッペリが参加
しています。
ロックの曲を採り上げて、ロック・プレイヤーを集めて制作していますから、字義どおりのフュージョンには違いないのです
が、殊更にハードもしくは軟弱に流れ切っていない、ある種の骨太さを感じる演奏です。
ロック・リズムに拒否反応を起こす方にはお薦めできませんが、最高の8ビート・サウンドを楽しむには格好の1枚かと思
います。中年以上の方にとってのナツメロ・ロック曲を見事なアレンジで蘇らせてくれます。
A面の冒頭が「BICTH」で、ここでリスナーの度肝を抜いておいて一気に聴かせ、B面1曲目の「MELLOW YELLOW」で、
グラッペリのヴァイオリンが強烈なスイング感を味あわせてくれます。「青い影」を経て、最後に「YOU NEVER GIVE ME
YOUR MONEY」で締める構成もお見事です。これは続けて聴かせるCDでは味わえない構成の妙かもしれません。
どうやらCDでの再発も見掛けませんので、ある意味稀少なオリジナル盤はいかがでしょうか? |
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ハーブ・エリス、チャーリー・バード(HERB ELLIS, CHARLIE BYRD)
「ギター/ギター」(GUITAR/GUITAR) |
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ハーブ・エリス、チャーリー・バード(HERB ELLIS, CHARLIE BYRD)の「ギター/
ギター」(GUITAR/GUITAR)です。
COLUMBIAのオリジナル盤、ステレオ仕様になります。
レコード番号はCS−9130。 |
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このレコードは、1965年か1966年に録音されたもので、どちらも名手の誉れ高きギタリストの双頭セッションといえま
す。曲によって二人が左右に分かれています。よく分かりませんが、アコースティックなガット・ギターをバードだとすれ
ば、エレクトリックがエリスになりますね、当たり前ですが。
パーソネルは、ギターにハーブ・エリス、ガット・ギターにチャーリー・バード、申し訳ありませんが、その他は不明です。と
言いつつ、ベースはキーター・ベッツでドラムスはバディ・デペンシュミットのようです…。
どうもこのレコードはそれほど有名ではないみたいで、ハーブ・エリスやチャーリー・バードで探してみても滅多に行き当た
りません。隠れた名盤なのか、ジャズでカテゴライズされてないのか、よく分かりません。ただ、どうやら廃盤のようで、こ
れは探す価値がありそうなアルバムなんでしょう。<br>
収録曲は、A面に「Se Todos Fossem Iquais A Voce」、「Chung King」、「Carolina In The Morning」、「Three Quarter
Blues」、「Take Care Of Yourself」、「St. Louis Blues」の6曲、B面に「Jazz 'n' Samba」、「Oh, Lady Be Good」、
「Things Ain't What They Used To Be」、「A Hundred Years From Today」、「Bluesette」の5曲、計11曲です。
1曲目は「Se Todos Fossem Iquais A Voce」なんですが、何と読むのでしょうね?「セトドスフォッセムイクワイスアヴォー
チェ」ですかね。あいだに「イクワ」と入っているのが、何とも悩ましいタイトルではありますが…。意味は不明です。
2曲目は「Chung King」、「チャング・キング」。チャングムの誓いなら聞いたことはありますけど、チャング王は知りません
ね。ガット・ギターの響きが印象的な佳曲です。途中からエレキが頑張って、バッキングは単調にリズムを刻んで、ギター
のユニゾンでおしまいです。
3曲目が「Carolina In The Morning」、「朝のキャロリーナ」です。朝に見かけた爽やかなお嬢さんに捧げる曲なんでしょう
か? それとも化粧をしてないスッピンのキャロリーナに驚いたかのどちらかでしょうね。エリスのソロに合わせたバードの
トレモロ・プレイが、うーんレロレロです。
4曲目は「Three Quarter Blues」、ここではエリスのソロに応えるようなバードが秀逸ですね。と思ったらあっという間に終
わってました。大体このレコードも全曲3分程度で終わります。
5曲目が「Take Care Of Yourself」。バードが爽やかな演奏で楽しませます。「自分でバンバンしなさい」てなもんですか
ら、それぞれ自分でバンバンしてるのね。何処かで聴いたようなフレーズも出て来て嬉しくなります。
6曲目は「St. Louis Blues」で、あまりにも有名なW.C.ハンディの曲ですが、何だかギターのプレイだと少々軟弱に思
えないでもありません。バードとエリスが交代で奏でていますけど、どうしてもサッチモの演奏が脳裏を過ぎりますので、
ちょいと欲求不満に陥るような微妙なプレイです。
長くなりますのでB面のご紹介は省きますが、冒頭の「Jazz 'n' Samba」はこの後何度もバードが録音した愛奏曲のよう
ですよ。間に入っている「n」は何なんでしょうね? 普通に「Jazz Samba」でもいいような気がしますが、単なる語感の問
題ですかね。知っている方がおられたら教えてください。
この後も「Oh, Lady Be Good」や「Things Ain't What They Used To Be」などの有名曲が続きますから聴き応えは十分で
すねっ!
通して聴くと、微妙にエリスの音色が変わっているように聴こえます。幾らか当時の音色を意識しての所業なんでしょう
が、好いような悪いような、私には判断不能でした。
この後、エリスやバードはバーニー・ケッセルを加えた3ギターで高名を馳せますが、この二人だけの共演となるとこのレ
コードだけかもしれません。全体的にややポップス系に振った「お楽しみレコード」なんでしょう。結構いけまっせ。 |
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ハーブ・エリス(HERB ELLIS)
レイ・ブラウン(RAY BROWN)の「ソフト・シュー」(SOFT SHOE) |
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ハーブ・エリス(HERB ELLIS)とレイ・ブラウン(RAY BROWN)の「ソフト・シュ
ー」(SOFT SHOE)です。
CONCORDのオリジナル盤になります。 |
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このレコードはカリフォルニアのコンコード・レーベル発足直後のもので、レコード番号は「CJ−3」、コンコード3枚目のリリ
ース、1974年の録音になります。
パーソネルはギターにハーブ・エリス、ベースにレイ・ブラウン、トランペットにハリー・スイーツ・エディソン、ピアノにジョー
ジ・デューク(!)、ドラムスにジェイク・ハナというメンバーです。初期のコンコードによく見られる名前ですが、何と言っても
ジョージ・デュークの参加が驚きを隠せません。
発足直後のレーベルで、もしかしたら失敗しそうな人選じゃなかったかと思うのは私だけでしょうか。
ご存知のように、ジョージ・デュークは1970年代のフュージョン・シーンでの活躍が有名で、スタン・クラークやビリー・コ
ブハムと残したレコードは、恥ずかしながら今でも私の愛聴盤の一つです。1974年当時、未だ20代の若者だったジョー
ジ・デュークが、極めて唐突に錚々たるジャズのベテラン達に混じって演奏したところで、まともな演奏ができるようには
到底思えなかったのです。
ところが演奏は中々に見事なもので、一部にエレピを使用していますが、そういった違和感も覚えずに楽しめる出来に仕
上がっています。どちらが偉かったのかは分かりませんが、単なる安易な再会セッションにたまたま若造が参加してセッ
ションを下らないものにした、という結果にはなりませんでした。
ジャケット裏のライナー・ノーツには、ジョージ・デュークが、セッションを誘いにきたハーブ・エリスに問い質している一節が
あり、「ハーブ、知ってるだろうが俺はオスカー・ピーターソンじゃないよ」という問いかけに「勿論、君はジョージ・デューク
だ。でもそれがこのセッションに君を必要とする理由だ」と、ハーブ・エリスが答えています。
どうやら、セッションへの参加を求めたのはハーブ・エリスのようで、結果として見事なコラボを実現したんだから、ハーブ・
エリスの慧眼がもたらした成果とも言えそうです。
その他のメンバーは正にベテランの名手揃いで、普通に演奏していてもそこそこの水準は確保しますから安心して聴い
ていられます。ハリー・エディソンなんかはやっぱり上手いですな。
アルバム・タイトルの記載が「HERB ELLIS & RAY BROWN'S SOFT SHOE」ですから、表層的にはハーブ・エリスとレイ・
ブラウンを聴くべきレコードで、録音の傾向もそれに沿ったものではあります。
しかし繰り返しますが、ジョージ・デュークの参加が予想に反して非常に楽しい結果を導いたように私には思えます。誰が
このレコードを聴いてピアニストを言い当てることができるでしょうか。根っこにジャズがあるだろうことは頭の中では理解
できますが、ここまで普通に演奏されると、やっぱり某かのルーツというのは大したもんですな。 |
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ハンプトン・ホーズ(HAMPTON HAWES)
「ザ・グリーン・リーブズ・オブ・サマー」(THE GREEN LEAVES OF
SUMMER) |
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ハンプトン・ホーズ(HAMPTON HAWES)の「ザ・グリーン・リーブズ・オブ・サマ
ー」(THE GREEN LEAVES OF SUMMER)です。
CONTEMPORARYのオリジナル・ステレオ盤になります。溝付きですから多
分オリジナルだとのことです。 |
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パーソネルは、ピアノにハンプトン・ホーズ、ベースにモンク・モンゴメリー、ドラムスにスティーブ・エリントンになります。
このレコードは1964年に録音されたホーズの復帰第1作で、というのは、これ以前の5年間ほどは麻薬により逮捕され
投獄されていたからです。ホーズといえば、1950年代に残した「トリオ」シリーズがあまりにも有名ですが、このレコード
は後年におかしな方向へ進む前のホーズを捉えており、演奏は結構快調です。何といっても、ジャケットの写真が格好い
いじゃないですか。現在は廃盤のようですので、この機会にLPはいかがでしょうか? |
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バーニー・ケッセル(BARNEY KESSEL)
「ザ・ポール・ウィナーズ」(THE POLL WINNERS) |
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バーニー・ケッセル(BARNEY KESSEL)の「ザ・ポール・ウィナーズ」(THE
POLL WINNERS)です。
CONTEMPORARYのオリジナル盤、モノラル仕様です。
レコード番号は、C3535。 |
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このレコードは、確か当時のポール・ウィナー(人気投票第1位)である3人を集めて収録されたもので、3年連続だか何
だかでダウンビートやメトロノームのポール・ウィナーだったそうです。当時はすごい人気だったんですね。ウェスト華やか
りし頃(ちょっと遅いか…)の名盤には違いありません。録音日時は1957年3月18日、19日となっています。
パーソネルは、ギターにバーニー・ケッセル、ベースにレイ・ブラウン、ドラムスにシェリー・マンというメンバーで、ウェスト
の名手を集めたような構成で、何となく演奏が想像できるのも安全パイと言ったところですか。
収録曲は、A面に「Jordu」、「Satin Doll」、「It Could Happen To You」、「Mean To Me」の4曲、B面に「Don't Worry '
Bout Me」、「Green Dolphin Street」、「You Go To My Head」、「Minor Mood」、「Nagasaki」の5曲、計9曲になります。
さて、バーニー・ケッセルですが、暖かみのある音色で、影響を受けたのはチャーリー・クリスチャン以外の何者でもないと
いうのがミエミエの、しかし好感の持てる名手です。このレコードはCONTEMPORARYでの5枚目になるようで、裏面に
は「KESSEL VOL.5」というクレジットがあります。ギターの好きな私はケッセルのレコードを少なからず所有しているので
した。単純にスイングしてますから、結構愛聴盤になりそうなレコードが多いケッセルです。
ベースは、ご存知レイ・ブラウンで、ここでも堅実以上の名手振りを発揮しています。モダンにおける一つの典型には間違
いなく、またかと思いつつ名演に耳を傾けるのは私一人ではないでしょう。死んじゃいましたが、何度か実物を拝めて感
謝しています。ワン・オブ・ザ・MVPはこの人です。
シェリー・マンは、これもウェストの代表選手みたいな存在で、一時は自分のホールまで持っていた実業家でした。いろん
なところでお目にかかる名前ですから、敢えて詳しく紹介はしませんが、ブラッシュ・ワークも含めて西海岸のボスというこ
とにしておきましょう。
で、ジャケット写真なんですが、3人の男がポール(棒)を携えて微笑み以上の笑顔を見せています。ポール・ウィナーに
なったのがホントに嬉しかったんでしょうか? 左からレイ・ブラウン、バーニー・ケッセル、シェリー・マンなんですが、もう
嬉しくてしょうがないような風情です。
何の予備知識もなく見てみると、左から製造課長、総務課長、営業課長みたいな顔ぶれに見えませんか? 営業課長
のヘア・スタイルは体育会系に他ならないのですが、意外に趣味は編み物だったりして、お陰で棒を使うドラムス・ワーク
はお任せみたいな…。全員ストライプのネクタイにトラッドなジャケットを羽織っていて嬉しくなりますね。営業課長だけブレ
ザーみたいですな。
まあ、ポール・ウィナーになったんで、バザーにでも出てきそうなポールを持ってるんですね。何でシェリー・マンのポール
だけ縞模様が横縞なのかは分かりません。決して邪ではないと思いたいのですが。それで、バックは青空と市街地の風
景、多分LAですね。もしかしてハリウッド山にでも登って撮影したのでしょうか。ご苦労さまでした。POLLとPOLEはいわ
ゆる同音異義語なんですが、固いことは言わないでおきましょう。
ですから、演奏も固いことは言わずに楽しんでちょ、みたいなノリではあります。楽しめますよ、ホント。ほとんどスタンダー
ドで固めており、プレイも破綻なく無難以上の快調さで、尚且つリラックスした寛ぎを感じます。熱血ジャズ・ファンからは
「ケッ!」とか言って唾棄される存在なのかもしれませんが、私はこんなのも好きなのでした。いつもいつも根性ババでは
疲れますよねえ。
どちらかと言うとB面のほうがいいかもしれません。「Green Dolphin Street」や「You Go To My Head」は結構響きます。
最後の「Nagasaki」は、何やってんだか、何の意味があるのかよく分かりませんが、とりあえずご愛嬌ということで…。
この後、ポール・ウィナーズは3(THREE)まで泥鰌を追いかけます。どれも中々の出来栄えだったから、単に泥鰌扱いす
るのは失礼かもしれません。 |
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バーバラ・キャロル(BARBARA CARROLL)
「バーバラ・キャロル」(BARBARA CARROLL) |
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バーバラ・キャロル(BARBARA CARROLL)の「バーバラ・キャロル」
(BARBARA CARROLL)です。
BLUENOTEのオリジナル盤になります。
レコード番号はBN−LA645−G。 |
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パーソネルは、ピアノにバーバラ・キャロル、ベースにチャック・ドメニコ、ドラムスにコリン・ベイリー、曲によってはヴィクタ
ー・フェルドマンのパーカッションやデニス・バジミールのギターが加わります。
このレコードは、1976年に録音されたものですが、時はフュージョン時代で、アール・クルーなんぞをリリースしていたB
N−LAが突如としてリリースした純粋ジャズ・アルバムでしょう。
また、リーダーのバーバラ・キャロルにとっても正に久々のジャズ・アルバムで、デビュー当時のパウエル派然とした演奏
に完全に戻っているわけではないのですが、上品さの中にパッションを感じさせるようなプレイです。
70年代当時、クラブ・ピアニストとして出演したり、このアルバムと同じメンバーでリタ・クーリッジの伴奏をしていた経験を
巧く活かした演奏と考えるのが妥当なようです。
当時流行していたジャニス・イアンの「17才」(AT SEVENTEEN)や「フィーリング」を採り上げているのが時代を感じさ
せて、今となっては懐メロの範疇でしょうが微笑ましいとも言えます。
彼女は1925年生れですから、このジャケット写真の頃は50才を越えているはずですが、驚くほど若々しい方です。未だ
に弾き語りの演奏は続けているし、アルバムもリリースしているそうで、今年で80才なのにお元気で何より。
今やCDでも入手困難なアルバムをオリジナルLPでいかがでしょうか。 |
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バック・クレイトン(BUCK CLAYTON)
「ザ・ハックル・バック・アンド・ロビンズ・ネスト」(THE HUCKLE-BUCK
AND ROBBIN'S NEST) |
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バック・クレイトン(BUCK CLAYTON)の「ザ・ハックル・バック・アンド・ロビン
ズ・ネスト」(THE HUCKLE-BUCK AND ROBBIN'S NEST)です。
COLUMBIAのオリジナル盤になります。
レコード番号はCL548。 |
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このレコードは、1953年の12月に録音されたもので、時期的にはクレイトンのジャムセッション・シリーズ第2作に当た
ります。
パーソネルは、トランペットにバック・クレイトン、ジョー・ニューマン、トロンボーンにアービー・グリーン、ヘンダーソン・チェ
ンバース、アルトサックスにレム・デイヴィス、テナーサックスにジュリアン・ダッシュ、バリトンサックスにチャーリー・フォー
クス、ピアノにサー・チャールズ・トンプソン、ギターにフレディー・グリーン、ベースにウォルター・ペイジ、ドラムスにジョー・
ジョーンズというメンバーです。リズム体はご存知、オール・アメリカン・リズム・セクションですね。
大体これらクレイトンのジャムセッションシリーズは1953年から1954年にかけて収録されたもので、録音年月順に次
のようなパーソネルでした。@Buck Clayton (tp), Joe Newman (tp), Urbie Green, Benny Powell (tb), Henderson
Chambers (ts), Lem Davis (as), Charlie Fowlks (bs), Sir Charles Thompson (p), Freddie Green (g), Walter Page (b),
Jo Jones (d) ASame personnel except Henderson Chambers (tb) replaces Benny Powell BBuck Clayton (tp),
Joe Newman (tp), Urbie Green, Henderson Chambers (tb), Lem Davis (as), Julian Dash (ts), Charlie Fowlks (bs), Sir
Charles Thompson (p, celeste), Freddie Green (g), Walter Page (b), Jo Jones (d) CBuck Clayton (tp), Joe Thomas
(tp), Urbie Green, Trummy Young (tb), Woody Herman (cl), Lem Davis (as), Al Cohn, Julian Dash (ts), Jimmy Jones
(p, celeste), Steve Jordan (g), Walter Page (b), Jo Jones (d) DSame personnel except Coleman Hawkins (ts), Billy
Kyle (p, celeste) and Milt Hinton (b) replaces Woody Herman, Al Cohn, Julian Dash, Jimmy Jones and Walter Page
このレコードでは上記Bのメンバーによる収録ということですね。元々リーダーのクレイトン自体ベイシー楽団の出身で、こ
のときのメンバーもベイシー・バンドのメンバーやOBを中心に集めたわけです。
見るからにベイシー・セレクテッド・コンボ風ですが、いわゆる本家ベイシーによる「Kansas City 7」と比べるとちょいと異な
った風情ではあります。当然ながらクレイトンの特徴が色濃くなっていますから、底辺にルイ・アームストロングやディキシ
ーの味を残したような感じもあり、やや都会的に振ったいわゆる中間派サウンドというものですかね?
クレイトンは、ベイシー楽団在籍時にその実力を存分に発揮しており、中々にヌケのよい音と少々捻ったようなフレーズの
発散から、当時は「最高に知的なトランペット・プレイヤー」で、いろんなジャンルに適合できるとの評価だったそうです。悪
く言えば「器用貧乏」だったのでしょうかね、いや失礼。
聴いていると、いわゆるベイシーファンには堪らない演奏です。ジャムセッション特有の「熱さ」が彼らをして盛り上げてい
るようで、イー感じじゃないですか?
プロデューサーのジョージ・アヴァキアンは、コロムビア・レコードの設立にも尽力した貢献者なんですが、10インチ盤が
主流だった頃に12インチ盤のメリットを訴えて実現した功労者でもあります。
1953年にアヴァキアンは、ジャズ・ミュージシャンの演奏を12インチLPでの長時間録音という形で世に出そうと目論み
ます。そして1953年の12月に第1回目の録音が行われ、それらが上記の記録で、集められたメンバーは1930年代か
ら活躍していたスイングのベテランと、若手ミュージシャンとの混成でした。
ほいでもって、グループのリーダーがナニを隠そうバック・クレイトンだったのです。時間の制約に縛られないジャムセッシ
ョンを展開させ、これらに編集を加えずに録音・リリースしたのがこのアルバムなのでした。
という風にみてくると、何だか歴史的な価値もあるように思えますね。演奏はとにかく楽しいもので、ジャムセッションの雰
囲気が横溢して、ジャズが好きで良かったなと思える好盤です。裏面にコーラスの記載があるので、誰が奏しているかは
よく分かります(別になくても大体は分かるんですが…)。実にリラックスしたいい演奏じゃないでしょうか。 |
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バド・シャンク(BUD SHANK)
「カリフォルニア・ドリーミン」(CALIFORNIA DREAMIN') |
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バド・シャンク(BUD SHANK)の「カリフォルニア・ドリーミン」(CALIFORNIA
DREAMIN')です。
一応WORLD PACIFICのオリジナル盤、モノラル仕様になります。
レコード番号は、WP−1845。 |
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一応と言いましたのは、ウエスト・コースト・ジャズの凋落とともに、ワールド・パシフィックは1960年代の中頃にリバティ
に吸収合併されます。プロデューサーのリチャード・ボックは従来のような独自のプロデュースは叶わなくなります。で、ワ
ールド・パシフィックとは言うものの、リバティ傘下におけるリリースという意味です。
パーソネルの詳細は不明ですが、アルト・サックスとフルートにバド・シャンク、トランペットとかフリューゲル・ホーンにはチ
ェット・ベイカーを起用し、ボブ・フローレンスがアレンジと指揮を担当し、その他大勢とコーラスが付いてきます。要は以前
にも出品しました「MICHELLE」と同様のメンバーになりますね。
収録曲は、A面に「California Dreamin'」、「Imprevu」、「Listen People」、「What The World Needs Now Is Love」、「In
Times Like These」、「Norwegian Wood」の6曲、B面に「Woman」、「Monday, Monday」、「Daydream」、「Gotta Go」、
「The End Of The World」、「Husbands And Wives」の6曲、計12曲です。このうち「Gotta Go」のみマーティ・ペイチのア
レンジだそうです。
ジャズからイージー・リスニング方向に振っていったレコードには間違いありません。曲によっては(と言うかほとんど)女
声コーラスも入っており、スポ根ジャズ・ファンからは「ケッ!」と一言に唾棄されそうな内容でしょうか。
前作の「MICHELLE」に劣らず、選曲もポピュラーなものが多く、これ自体でもケーハクそうな演奏が予感される可哀相な
アルバムですね。とは言いましても、アルトやトランペットの音は紛れもなく彼らのものですから、お洒落なプレイがそれな
りに楽しめます。
ケーハクと口を滑らしましたが、いわゆるコテコテ系のそれとは違いますから、よく言えば「都会的なセンスに溢れた洒落
たアルバム」となりますか…。いかにも何処かの評論家風でした、失礼。
ジャケット表面は俗に言う「美女ジャケ」なんでしょうが、このお方は「Barbara Bouchet」(バーバラ・ブーシェ)というアクト
レス&モデルでして、「007カジノ・ロワイヤル」にも出演されていたそうです。後年には「スター・トレック」でケリンダとか
いう役も務められました。イタリア映画にも結構出演されていましたから、いわゆる悩殺女優だったんだと思われます。
で、この当時23歳くらいで、隠されたイケイケ風情がそこはかとなく漂うショットですから、何だかそそるものがあります
ね。ご興味のある方は一度検索なさってはいかがでしょう? グラビア・ショットも案外に残っていたりして…。
ジャケット裏面には若かりしバド・シャンクの勇姿が写っていまして、カッコいい青年だったことは間違いなく、さぞかしチェ
ットとともにモテたんでしょうね。さっきのバーバラ・ブーシェともナニかあったんじゃないかと邪推もしたくなります。
ともあれ、正統派風の美女ジャケで、今やLPではちょいとレアな1枚はいかがでしょうか? |
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バド・シャンク(BUD SHANK)
「ホリデイ・イン・ブラジル」(HOLIDAY IN BRAZIL) |
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バド・シャンク(BUD SHANK)の「ホリデイ・イン・ブラジル」(HOLIDAY IN
BRAZIL)です。
WORLD PACIFIC のオリジナル盤になります。 |
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パーソネルは、アルトサックスとフルートにバド・シャンク、ギターにローリンド・アルメイダ、ベースにゲイリー・ピーコック
(!)、ドラムスにチャック・フローレスという陣容で、ジャケットデザインには、ルー・レヴィーのクレジットがあります。アレン
ジはローリンド・アルメイダが担当しています。1958年頃の録音で、後年に「ブラジリアンス VOL.2」としてCD化された
もののオリジナルになります。
ブラジル人のアルメイダがアレンジしているだけあって、リラックスした楽しめる演奏に出来上がっているように思います。
ジャズ史上に名前を残す名盤とは異なりますが、ウエストコーストらしい雰囲気を携えた好盤で、後のLA4に繋がる演奏
でしょう。
今ではレアなワールド・パシフィックのオリジナル盤はいかがでしょうか。 |
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バド・シャンク(BUD SHANK)
「ミッシェル」(MICHELLE) |
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バド・シャンク(BUD SHANK)の「ミッシェル」(MICHELLE)です。
WORLD PACIFIC の一応オリジナル盤モノラル仕様になります。 |
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一応と言いましたのは、ウエスト・コースト・ジャズの凋落とともに、ワールド・パシフィックは1960年代の中頃にリバティ
に吸収合併されます。プロデューサーのリチャード・ボックは従来のような独自のプロデュースは叶わなくなります。で、ワ
ールド・パシフィックとは言うものの、リバティ傘下におけるリリースという意味です。
パーソネルの詳細は不明ですが、アルトサックスにバド・シャンク、トランペットにはチェット・ベイカーを起用し、ボブ・フロー
レンスがアレンジと指揮を担当しています。
イージー・リスニングに近い内容のレコードで、選曲もビートルズの「ミッシェル」や「ガール」、あるいは「イエスタデイ」など
が入っています。とは言いましても、アルトとトランペットの音は紛れもないものですから、それなりに楽しめます。ちょいと
レアな1枚はいかがでしょうか? |
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