のとnoノート - JAZZ(ジャズ)レコード評 -
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はじめに
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テリー・ギブス(TERRY GIBBS)
「モア・ヴァイブス・オン・ヴェルヴェット」(MORE VIBESON VELVET)
テリー・ギブス(TERRY GIBBS)の「モア・ヴァイブス・オン・ヴェルヴェット」
(MORE VIBESON VELVET)です。
MERCURYのオリジナル盤、モノラルになります。
このレコードは、テリー・ギブスが1955年にリリースした「ヴァイブス・オン・ヴェルヴェット」の続編とも言えるもので、ビッ
グバンドをバックにしたメタリックで硬質なヴァイブの音が印象的な1枚です。1作目とは打って変わった軟弱なジャケット
写真が更に印象的ではあります。

詳しいパーソネルは不明ですが、グレン・ミラー・オーケストラにヴァイブを加えたような感じと言えば、お分かりいただける
でしょうか。アグレッシブなジャズではありませんが、一応ムード。ミュージックとの境界は明らかなようで、それなりに楽
しめる1枚かと思います。

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テリー・ギブス(TERRY GIBBS)
「ヴァイブス・オン・ヴェルヴェット」(VIBES ON VELVET)
テリー・ギブス(TERRY GIBBS)の「ヴァイブス・オン・ヴェルヴェット」(VIBES 
ON VELVET)です。
MERCURYのオリジナル盤、モノラルになります。
レコード番号はMG‐36064。
このレコードは、テリー・ギブスが1955年にリリースしたもので、以前に出品しました「モア・ヴァイブス・オン・ヴェルヴェ
ット」の前編になるオリジナル・ヴェルヴェットです。

クラリネットが入れば、ほとんどグレン・ミラー・オーケストラとも言うべき類ですが、サックスなどのアンサンブルには一聴
の価値があるようにも思えます。ただ、これだけではポップス・オーケストラとあんまり変わらないようなイメージなのです
が、リーダーのヴァイブラフォンが加わることによって、クールな雰囲気を加味してまともなジャズに成り得た例でしょう。

収録曲には、「Autumn Nocturne」、「Adios」、「Smoke Gets In Your Eyes」、「Mood Indigo」などがあり、クールでメロウ
(よく分からない表現ですな…)な趣きに合わせた選曲が秀逸なところです。

いわゆるアグレッシブなジャズではありませんが、ムード・ミュージックとの境界は明らかで、それなりに楽しめる1枚かと
思います。ジャケットも見るからに硬そうなヴァイヴの写真で、これだけ見てるとつまらないレコードと思いがちですが、中
身は中々にメロディアスな、聴いて損はない仕上がりです。

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デイブ・ブルーベック(DAVE BRUBECK)とポール・デスモンド(PAUL
DESMOND)
「1975:デュエッツ」(1975:THE DUETS)
デイブ・ブルーベック(DAVE BRUBECK)とポール・デスモンド(PAUL 
DESMOND)の「1975:デュエッツ」(1975:THE DUETS)です。
A&M、HORIZONのオリジナル盤になりますが、非売品扱いのドリル・ホー
ル盤です。
このレコードは、1975年に録音されたデイブ・ブルーベックとポール・デスモンドのデュエット・アルバムで、勿論ピアノに
ブルーベック、アルトサックスにデスモンドということです。

ご存知のように、ブルーベックとデスモンドは、デイブ・ブルーベック・カルテットにおいて長く共演してきましたが、デュエッ
トの演奏はこれが最初のものでした。発売当時は結構話題になったと記憶します。
ライナー・ノーツはデスモンド自身が書いており、名文家で知られる彼の文章を眺めるのも楽しいものでしょう。

演奏自体は、お互いを尊重するが如く、特にブルーベックが控えめなプレイを心掛けているようで、デスモンドのアルトを
引き立てるために、最善の手法を採ったようです。ジャズ界広しと言えど、正にデスモンドの如き音色は唯一無二で、そ
の模倣者は皆無と言えます。

おそらくお互いに尊敬し合っている2人が生み出した、至福の時を体験できるようなアルバムではないでしょうか。
今やHORIZON盤は入手困難かと思います。ドリル・ホール盤ではありますが、再生に影響するようなダメージはありま
せんので、珍しいオリジナルLPはいかがでしょうか。

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デイヴ・ブルーベック(DAVE BRUBECK)
「エニシング・ゴーズ!」(ANYTHING GOES!)
デイヴ・ブルーベック(DAVE BRUBECK)の「エニシング・ゴーズ!」
(ANYTHING GOES!)です。
COLUMBIAのリイシュー盤かと思われ、モノラル仕様になります。
この辺りのオリジナルと再発の区別がよく分かりません。もしかしたらオリジナ
ル盤かもしれません。
このレコードはデイヴ・ブルーベック・カルテットがコール・ポーターの作品を採り上げたもので、パーソネルは、ピアノにデ
イヴ・ブルーベック、アルト・サックスにポール・デスモンド、ベースにジョー・モレロ、ドラムスにジーン・ライトとなっていま
す。

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デイヴ・ブルーベック(DAVE BRUBECK)
「エンジェル・アイズ」(ANGEL EYES)
デイヴ・ブルーベック(DAVE BRUBECK)の「エンジェル・アイズ」(ANGEL 
EYES)です。
COLUMBIAのオリジナル盤、モノラル仕様になります。「guaranteed high 
fidelity」ラベルですので多分オリジナルでしょう。
レコード番号はCL2348。 
パーソネルは、ピアノにデイヴ・ブルーベック、アルト・サックスにポール・デスモンド、ベースにユージーン・ライト、ドラムス
にジョー・モレロというお馴染みのブルーベック・クァルテットです。

収録曲は、A面に「Let's Get Away From It All」、「Violets For Your Furs」、「Angel Eyes」の3曲、B面に「Will You Still
Be Mine?」、「Everything Happens To Me」、「Little Man With A Candy Cigar」、「The Night We Called It A Day」の4
曲、計7曲です。

このアルバムは、1962年と1965年に録音されたもので、いわゆる美女ジャケの一つとしても有名です。「DAVE DIGS
DISNEY」がヒットしたことを受けて、2匹目のドジョウを狙いつつ作曲家別のソングブックなるものを、この頃のブルーベック
はリリースしていました。これもそのうちの一つで、マット・デニスの作品集になります。他にはコール・ポーターとリチャー
ド・ロジャースの作品集がそれぞれ「ANYTHING GOES」、「MY FAVORITE THINGS」として発売されていましたね。

B面の「Little Man With a Candy Cigar」を除いた他の曲は、マット・デニス自身が「PLAYS AND SINGS」で自作自演を達
成していますので、これと聴き比べるのも一興ですか。原盤のライナー・ノートはマット・デニスが書いていますので(サイ
ン入り)、お読みいただくことをお薦めします。私は英語が苦手ですので、内容に関してはよく分かりません、あしからず。

冒頭の「Let's Get Away From It All」はアップテンポで結構グイグイ迫ります。デスモンドのプレイが中々にスリリングで
楽しめます。オマケに(?)ブルーベックもスィングしてますよ。スィングしないピアニストと評したのは誰だったんでしょう
ね。

2曲目の「Violets For Your Furs」は、邦題「コートにすみれを」でして、最初にこの邦題を見たとき、テニス・コートにすみ
れを飾るんかいなと思いましたが、実は羽織るほうのコートでした。しかも「furs」だから毛皮ですね。動物愛護団体から
のクレームはこの頃なかったようで…。出だしからブルーベックが頑張ります。こういう構成はブルーベックの得意とすると
ころかなと思います。

3曲目の「Angel Eyes」なんぞは、原曲からして名曲で、ここでの構成も先のと同じようで、解釈はデスモンドを含めて最
高じゃないでしょうか? ヘタにブリブリ・スィングするよりも好感が持て、何でもかんでもノリノリがよいわけではないこと
の証明ですな。デスモンドの音色が実に雰囲気を醸し出してくれます。ああウレシイ、何を隠そう結構デスモンドが好きな
私でした。

で、B面の1曲目ですが、これも快速調の「Will You Still Be Mine?」でして、何故かレッド・ガーランドの「GROOVY」を思
い出しました。冒頭からデスモンドが吹いてますから全然違うんですが、ピアノ・トリオでの名演がガーランドのそれです
から、真っ黒けと比べるのも興趣をそそりますよ。ブルーベックのスウィングも実にお楽しみです。

2曲目の「Everything Happens To Me」は、まあまあそれなりのプレイ。途中のブルーベックは彼ならではの変態性を垣
間見せてくれます。これぞスウィングせずに袋小路に入った彼の一例のようです。

3曲目は「Little Man With A Candy Cigar」でして、ちっこいオッサンがシガー・チョコでも咥えているんでしょうかね。何と
もケッタイな曲名です。ジョー・スタッフォードが歌っていたレコードがありましたけど、詳細は忘れました。メロディは、らし
い雰囲気があってデニスっぽいとは思えます。ごく当ったり前の展開が安心理論なんでしょう。

最後の「The Night We Called It a Day」も、タイトル曲に劣らず原曲からしていいですね。まずはデスモンドのテーマ演奏
からスタートし、軽々とアドリブする秀逸さを見せつけ、難解なフレーズは要らないよっと身をもって教えてます。それに比
してブルーベックはちょいと泥沼に入ってますが、この辺の対比がブルーベック・クァルテットの真髄だということで、理解
しましょう。最後の終わり方はちょっぴり欲求不満が残りそうな感じ。それがいいのだ、という声も聞こえそうですが、演出
過多が滑ってるような気もしないではありません。

時期的に、フリー・ジャズが台頭してきた頃で、COLUMBIAも何をどうすべきか迷っていたのかもしれません。見ようによ
っては安易な制作姿勢が批判されそうな企画ものですが、それを補って余りある好盤に仕立てたのは、ハードなブルー
ベックとソフトなデスモンド、そして名手ジョー・モレロの蓋し音楽性です。全然バカバカしくないのが見事でした。プロデュ
ースが、あのテオ・マセロでっせ。

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デイヴ・ブルーベック(DAVE BRUBECK)
「ゴーン・ウィズ・ザ・ウィンド(風と共に去りぬ)」(GONE WITH THE
WIND)
デイヴ・ブルーベック(DAVE BRUBECK)の「ゴーン・ウィズ・ザ・ウィンド(風と共
に去りぬ)」(GONE WITH THE WIND)です。
COLUMBIAのオリジナル盤、6EYESレーベルです。ステレオ仕様になりま
す。
レコード番号は、CS8156。
パーソネルは、ピアノにデイヴ・ブルーベック、アルト・サックスにポール・デスモンド、ベースにジーン・ライト、ドラムスにジ
ョー・モレロの、お馴染みクァルテットによる演奏です。

このレコードは、1959年に録音されたもので、ブルーベックには賛否両論ありますが、この時期のメンバーが優れてい
たためか、名曲をそれなりに料理している演奏はいい加減なアレンジャーを加えるよりもずっとマシな出来です。

収録曲は、A面に「Swanee River」、「The Lonesome Road」、「Georgia On My Mind」、「Camptown Races」の4曲、B面
に「Camptown Races」、「Short'nin' Bread」、「Basin Street Blues」、「Ol' Man River」、「Gone With The Wind」の5曲、
計9曲です。ただしA面の最後とB面の最初が同曲で、続けているのか別扱いしているのかよく分からないところもありま
すから、実質8曲ですかね。

曲によっては、モレロやライトをフィーチュアしたような曲もあり、普通のブルーベック・クァルテットとはちょいと違った一面
も楽しめます。つくづくモレロは上手いドラマーだったんだなと改めて見直しますね。

このクァルテットの大いなる特長であるポール・デスモンドの存在ですが、全曲に参加しているわけではないとしても、登
場すれば得意の浮遊感溢れるフワフワ・ソロで見事にはまります。ところどころに何処かで聴いたようなフレーズを挟み、
崩れることなくサックスを吹きますから、ズッポリはまって抜け出せませんね、暫く。内緒ながら私はデスモンドのサックス
が好きなのでした。

邦題「スワニー河」や「草競馬」などは、もしかするとケーハクと言われかねないノリで、単純にお薦めです。一番、らしい
演奏はB面の「Basin Street Blues」かも…。

タイトル曲の「Gone With The Wind」は、ある意味大作で、ともに長いソロを演じた後にデスモンドとブルーベックがやり合
います。最初から譜面があったんだろうと思わないではないですが、これもアレンジの勝利で名演とされています。

ジャケットを見ると、みんなさすがに若いですね。ブルーベックのスーツは何と段返り三つボタンですよ。BDシャツではな
いにせよ、アメリカを感じさせてくれますし、メガネも粋な風情です。こういうのが今は見かけなくなりました。デスモンドも
似たようなメガネをかけていますが、既にオデコは後退しています。まだ20代半ばくらいかと思いますけど、老成してたと
言いましょうか、なんとも哀感を覚えるショットです。

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デイヴ・ブルーベック(DAVE BRUBECK)
「ジャズ・アット・オバーリン」(JAZZ AT OBERLIN)、赤盤
デイヴ・ブルーベック(DAVE BRUBECK)の「ジャズ・アット・オバーリン」(JAZZ 
AT OBERLIN)、赤盤です。FANTASYのオリジナル盤で、レコードの色が赤
色です。
元々10インチ盤でリリースされたのが本来のオリジナルですが、このレコード
は12インチ盤でのオリジナルに相当します。もちろんモノラルです。
レコード番号は、3245。
このレコードはデイヴ・ブルーベック・カルテットが、1953年にオバーリン大学にて演奏した記録を収めたライブ盤になり
ます。もう50年以上前になりますね。

パーソネルは、ピアノにデイヴ・ブルーベック、アルト・サックスにポール・デスモンド、ベースにロン・クロッティ、ドラムスに
ロイド・デイヴィスとなっています。

収録曲は、A面に「The Way You Look Tonight」、「How High The Moon」の2曲、B面に「These Foolish Things」、
「Perdido」、「Stardust」の3曲、計5曲になります。どれも極めつけのジャズ・スタンダードを採り上げて料理しているわけ
ですが、はたして結果はいかに…。

ブルーベックといえば、この頃からスウィングしないピアニストとの異名を頂戴していたかもしれません。実験的なジャズを
推し進めて大学のインテリ風兄ちゃんあたりにジャズの可能性を問うていたのでしょうか? 何でも大学の教授辺りがブ
ルーベックの演奏を請うたともいいます。

ブルーベックの功績は、現代音楽の観点からジャズを解析し、分かりやすいフォームに転換したことかなと思います。そ
の理屈で言えば、このレコードもジャズを何らか芸術風に変容させているような気もします。決してジャズが芸術ではない
と言ってるわけではないので、誤解のなきよう。

さて、演奏はと言えば、確かに理屈抜きに楽しい、ノリノリのスィング感はありません。ノータリン風にスィングしないことが
インテリの好みだったのでしょうかね。やや斜めに構えて、「俺らはケーハク人とはちょいと違うんだぜ」みたいな。B面冒
頭の「These Foolish Things」なんぞはジャズとは言い難し名演で、インテリを気取るにはもってこいですね。

ジャケット写真は上部にブルーベックとデスモンドが写り、下部にロイド・デイヴィスとロン・クロッティが写っています。1階
と2階にそれぞれ立たせて一発で収めたショットではなく、同じ場所で2人ずつ撮影して上下を引っ付けた安易写真です。
「そんなもん、見たら誰でも分かる」と仰らずに…。

見れば誰でも分かると言えば、全員が白人です。時期的にイーストの黒人たちに元気のなかった頃ですから、この隙にメ
ジャーに成り上がろうとした白人の健気さが感じられ、微笑ましい限りです。ちょいと違ったことをして目立つためにも、現
代音楽的アプローチは反則技ならぬ必殺技だったようで、成果は中々のものになりました。オメデトウ。

黒人至上熱血鬱々ジャズファンが多い日本では、ブルーベックはもしかしたら変態あるいはケーハクに近い扱いかもしれ
ません。しかし、母国アメリカでは日本では考えられないような人気と知名度で、ちょっと驚きます。有名雑誌の表紙を飾
った数少ないジャズ・ミュージシャンの一人で、正に名士なのでした。

全編スタンダードながら、「ありきたりの演奏では面白くない」というブルーベックの意気込みはひしひしと伝わってきま
す。オリジナル12インチはいかがでしょうか。

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デクスター・ゴードン(DEXTER GORDON)
「ゴッサム・シティ」(GOTHAM CITY)
デクスター・ゴードン(DEXTER GORDON)の「ゴッサム・シティ」(GOTHAM 
CITY)です。
COLUMBIAのオリジナル盤になります。
パーソネルは、テナーサックスにデクスター・ゴードン、ピアノにシダー・ウォルトン、ベースにパーシー・ヒース、ドラムスに
アート・ブレイキーと、ベテランを配し、ゲストにギターのジョージ・ベンソン、トランペットにウディ・ショウを迎えています。
このレコードは1980年に録音されたもので、有名な「ラウンド・ミッドナイト」を撮影する数年前に当たります。

1970年代をヨーロッパで過ごし、STEEPLECHASEから諸作をリリースしていたデクスターは、70年代の末にアメリカ
へ戻り、COLUMBIAから数枚のレコードを出しますが、これがCOLUMBIAでの最終録音盤だったはずです。いずれも
好調で販売も順調だったと聞きます。

この後、ワーナー傘下に引き抜かれますが、引き抜いたのはブルース・ランドバルとマイケル・カスクーナと言われてお
り、このレコードのプロデュースもカスクーナが担当しています。

ジャズファンにとって良心的な仕事をこなしているカスクーナが関ったレコードですから損はないと思います。
デクスターにとって最後のキャリアに属するレコードで、当時の彼を楽しむには好適な1枚でしょう。

アルバムに記載はありませんが、ディスコグラフィーによると録音されたのはVGS、ENGLEWOODとありますから、すな
わちヴァン・ゲルダー・スタジオということになります。カスクーナのプロデュースなら有りそうな話しではあります。

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デクスター・ゴードン(DEXTER GORDON)
「ドゥーイン・オールライト」(DOIN' ALLRIGHT)
デクスター・ゴードン(DEXTER GORDON)の「ドゥーイン・オールライト」(DOIN'
 ALLRIGHT)です。
ブルーノート原盤ですが、これはDMMによる復刻盤で輸入盤になります。
オリジナル盤も確かに良いのですが、この辺り(1960年頃)の音質は若干モタツキ気味だったかもしれません。DMMと
はテラークによるデジタル・メタル・マスタリングの略で、それなりに鮮明な音質に進化したものがありました。この盤はデ
ジタル・マスターで成功した数少ない例の一つのようです。

デクスター・ゴードンは1950年代に半引退生活を送っていましたが、1960年に入って復活し、このレコードは1961年
に吹き込まれたブルーノートでのファースト・アルバムで、復帰第2作に当たります。この時代のデクスターは結構好調で
全て水準以上の出来とされています。

パーソネルは、テナー・サックスにデクスター・ゴードン、トランペットにフレディ・ハバード、ピアノにホレス・パーラン、ベー
スにジョージ・タッカー、ドラムスにアル・ヘアウッドという布陣です。何だか遅れがちに奏するデクスターですが、そのうち
に熱気とともに乗ってきて、収まるところに収まる演奏は、聞いていてある種快感です。スティープル・チェイス時代よりも
この頃の方が好感が持てるような気がします。

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デクスター・ゴードン(DEXTER GORDON)
「ランドスライド」(LANDSLIDE)
デクスター・ゴードン(DEXTER GORDON)の「ランドスライド」(LANDSLIDE)で
す。
BLUENOTEの1970年代後半から始まった、未発表録音クラシック・シリー
ズのオリジナルになります。
レコード番号は、LT−1051。俗にLTシリーズとか呼ばれる一連の作品の一
つです。
ブルーノートのLTシリーズは、キャピトル傘下になってから例のカスクーナが過去の未発表録音をプロデュースしたもの
が多く、このアルバムも1961年から1962年にかけての録音が収められています。

したがってリーダーのデクスターは変わりませんが、3つのグループにおける演奏のため、パーソネルはかなり異なりま
す。デクスターを除いたメンバーを書きますと、(1)グループはピアノにケニー・ドリュー、ベースにポール・チェンバース、ド
ラムスにフィリー・ジョー・ジョーンズ、(2)グループはトランペットにトミー・タレンタイン、ピアノにサー・チャールズ・トンプソ
ン、ベースにアル・ルーカス、ドラムスにウィリー・ボボ、(3)グループはトランペットにデイヴ・バーンズ、ピアノにソニー・ク
ラーク、ベースにロン・カーター、ドラムスにフィリー・ジョー・ジョーンズという布陣です。

収録曲は、A面に「Landslide」、「Love Locked Out」、「You Said It」、「Serenade In Blue」、B面に「Blue Gardenia」、
「Six Bits Jones」、「Second Balcony Jump」の計7曲で、A−1が(1)グループ、A−2〜4が(2)グループ、B面が(3)
グループの演奏になります。

A−1がBN4083の残りテープで、その他はすべて未発表で、該当するパーソネルが揃う過去のレコードはないようで
す。

そんな構成ですから、特にB面は何だかクール・ストラッティンを聴いているような気にもさせてくれます。要は快調なメン
バーの演奏ということでご理解ください。ソニー・クラークは何処へ行ってもそうですし、デクスターも何処へ行こうとそんな
感じです。分かりませんか? 分かってほしいですね…。

相変わらずのオフ・ビート的デクスターのプレイですが、実はこの感覚こそジャズなんでしょう。1960年代初頭、ヨーロッ
パへ行く前のデクスターは本当に好調を維持していた稀有な時期に当たります。1970年代よりも吹っ切れた感をより強
く感じます。

ちなみにアルバム・タイトルの「LANDSLIDE」ですが、ランドがスライドするので、読んで字のごとく「地すべり」とか「山くず
れ」といった意味だそうです。ついでに「地すべり的勝利」なんていう選挙用語もありますから、ここではデクスターの圧倒
的大勝利と解釈してもおかしくはないですな。

オリジナル盤では味わえない、デクスターの未発表集はいかがでしょう? 惜しむらくは、このLTシリーズ、全部似たよう
な装丁で興ざめではあります。一応「山くずれ」をイメージした写真ではありますが、あまりに安易で情けない…。演奏は
それを凌駕して余りあるのですが。

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デューク・エリントン(DUKE ELLINGTON)、レイ・ブラウン(RAY
BROWN)
「ディス・ワンズ・フォー・ブラントン」(THIS ONE'S FOR BLANTON)
デューク・エリントン(DUKE ELLINGTON)、レイ・ブラウン(RAY BROWN)の「デ
ィス・ワンズ・フォー・ブラントン」(THIS ONE'S FOR BLANTON)です。
PABLO原盤の、ANALOGUE PRODUCTIONSによる「HQ−180」盤に
なります。「HQ−180」とは、ハイ・クォリティ180グラム盤ということです。
パーソネルは、ピアノにデューク・エリントン、ベースにレイ・ブラウンで、2人によるデュエット作品です。

このレコードは1973年の録音で、1975年にPABLOのヘリテイジ・シリーズの1枚としてリリースされたもので、アルバ
ム・タイトルにあるように、故ジミー・ブラントンに捧げられた内容です。

ジミー・ブラントンといえば、ベース界のチャーリー・クリスチャンみたいな呼び方をされる人で、モダン・ベースの開祖とさ
れています。1939年〜1941年当時、デューク・エリントン楽団に在籍していましたが、結核のために21歳で夭折した
伝説の人物です。この後、その後継としてオスカー・ぺティフォードや件のレイ・ブラウンがベース奏法を発展させていきま
した。

これは、生きる伝説・御大エリントンが巨匠レイ・ブラウンを迎えて、亡きブラントンを偲んだ好盤だと思います。レイ・ブラウ
ンのベースは非常に重厚なタッチで有名ですが、エリントンのピアノも時代やスタイルを超越した響きを奏で、彼等の偉大
さを再発見できるレコードでしょう。A面にはエリントン・ナンバーでも有名な曲が連なり、B面は組曲風の仕上がりになっ
ています。

CDでも少々レアな盤になりつつありますが、このLPは音質的にも優秀さが話題になったアナログ・プロダクションズから
のリリースですので、オーディオ的にも一聴の価値はありそうです。

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デューク・エリントン(DUKE ELLINGTON)とビリー・ストレイホーン
(BILLY STRAYHORN)
「グレイト・タイムズ!」(GREAT TIMES!)
デューク・エリントン(DUKE ELLINGTON)とビリー・ストレイホーン(BILLY 
STRAYHORN)による「グレイト・タイムズ!」(GREAT TIMES!)です。
RIVERSIDE原盤のOJCによる復刻盤になります。
レコード番号はOJC−108(RLP−475)。
パーソネルは、曲によって異なりますが、ピアノにデューク・エリントン、ピアノとチェレスタにビリー・ストレイホーン、チェロ
にオスカー・ぺティフォード、ベースにウェンデル・マーシャルとロイド・トロットマンとジョー・シュルマン、ドラムスにジョー・
ジョーンズとなっています。サブ・タイトルに「PIANO DUETS」とありますが、実際はモノホンのデュエットではなくてそ
の他にもメンバーは居たのでした。

収録曲は、A面に「Cottontail」、「C Jam Blues」、「Flamingo」、「Bang-Up Blues」、「Tonk」、「Johnny Come Lately」の
6曲、B面に「In A Blue Summer Garden」、「Great Times」、「Perdido」、「Take The 'A' Train」、「Oscalypso」、「Blues
For Blanton」の6曲、計12曲です。このうち8曲がエリントンとストレイホーンのピアノにウェンデル・マーシャルかジョー・
シュルマンのベースが加わったものです。

このレコードは1950年の9月、10月、11月の3回に分けて録音されたもので、というわけでパーソネルに若干の変動
があります。最初の8曲(ピアノ・デュエット+ベース)に関して元々の録音は、デュークの息子であるマーサー・エリントン
とレナード・フェザーが行って、マーサー名義の10インチ盤として限定数リリースされたもののようです。後の4曲にオスカ
ー・ぺティフォードとジョー・ジョーンズが加わっています。

というわけで、RIVERSIDEでのリリースはそれらの全容を明らかにしたもので、それだけで価値があると言えますね。
おまけに録音を保管していたAPEXスタジオの火事により、このリリースにはかなりの苦労が伴ったようで、現在これらの
演奏を聴けるのは正にオーリン・キープニューズに負うところ大であり、ジャズファンは等しく彼に感謝せねばなりません。
ちょっと大袈裟ですか…。

ビリー・ストレイホーンは、永らくエリントン楽団での作曲やアレンジに携わった俊才でして、かの「Take The 'A' Train」は
彼の作曲です。エリントン楽団のテーマ・ソングとさえ言えるこの曲をしてエリントンの作だと勘違いしている人が結構多
いそうですが、違いました。この1曲だけでも、ビリー・ストレイホーンは歴史に名を残す存在だったかもしれません。蓋し
名曲でした。

さて演奏ですが、そういう立場にいたストレイホーンとエリントンですから、お互いによく分かり合い知り合った仲であること
は言うまでもなく、デュエットしているどっちがどっちかは判断しにくい感じです。そこで、少なからず参考になりそうなのが
後年に吹き込まれたジョン・コルトレーンとエリントンとのアルバムじゃないかと思います。自分のバンドでの演奏とは異
なり、こういうときにエリントンは案外にゴツゴツしたピアノを奏するようですね。このアルバムでもゴワンゴワンとやってる
のがエリントンで、それに比して少し洗練された響きを表しているのがストレイホーンだと理解して間違いないでしょう。

とは言え、一つのピアノを4本の手で演奏している響きには違いありませんので、聴いててある種爽快です。「ああ、そう
かい…」じゃなくて、ジャズファンなら聴いておいて損はありません。グイグイ迫る迫力たるや普通ではなく、名手同士の
シナジー効果と放言しておきましょう。

後半の4曲が、またもや面白い出来で、ストレイホーンがチェレスタを奏している曲があります。オスカー・ぺティフォードの
チェロも中々に笑かしてくれますし、こういう録音を残しておいてくれた誰かさんに感謝ですね。B面5曲目なんかは
「Oscalypso」というわけの分からない曲名なんですが、どうやらぺティフォードの名前とカリプソを引っ付けた造語のようで
す。存外に可笑しなオッサンだったのかもしれません、ぺティフォードは。

チェレスタはチェレステとかセレスタとかセレステとかも呼ぶようで、裏面の英単語をそのまま読めば「セレステ」か「チェレ
ステ」になります。そういえば、その昔「セレステ」というクルマがありましたね。正式には「ランサー・セレステ」でしたけ
ど、余りにアホらしいネーミングに当時は大笑いしたものでした。三菱サターン・エンジンにツインキャブで、スタイリングは
ハッチバック・クーペで、ボーイズ・レーサー気分のクルマ小僧には幾らかの人気があったようですが、あっという間にディ
スコンになりました。

閑話休題。収録曲には名曲ぞろいで、若干のノイズが乗っていそうな曲もあるものの、レコードを聴く気にさせる数少ない
ケースでもあります。オマケに50年以上も前の演奏とは思えないほどモダンな展開も聴かせてくれますから、やっぱりエ
リントンやストレイホーンは只者ではありません。「Take The 'A' Train」を聴いてみてください。この新鮮さは凡百のアレン
ジでは到達し得ない出来です。ぺティフォードも含めて、改めて驚いておきましょう。

一部のファンからは唾棄すべき存在にも成りかねないOJC盤をわざわざご紹介したのは、そういうわけです。このレコード
のオリジナルを求めるのは至難に違いなく、であるならば、少なくともCDよりはマシなOJC盤で聴いてみられるのはいか
がでしょうか?

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