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ジェラルド・ウィギンス(GERALD WIGGINS)
「ザ・ジェラルド・ウィギンス・トリオ」(THE GERALD WIGGINS TRIO) |
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ジェラルド・ウィギンス(GERALD WIGGINS)の「ザ・ジェラルド・ウィギンス・トリ
オ」(THE GERALD WIGGINS TRIO)です。
TAMPA原盤のVSOPによる復刻盤になります。
レコード番号はVSOP♯28(TAMPA33)。 |
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このレコードはオリジナルが1956年にLAで録音されたもので、VSOPによって1985年に復刻されました。VSOPはT
AMPAやMODEの復刻で有名で、思ったよりも忠実に復刻されていますので、お買い得かもしれません。
パーソネルは、ピアノにジェラルド・ウィギンス、ベースにジョー・コンフォート、ドラムスにビル・ダグラスというメンバーで、
ちなみにジョー・コンフォートはナット・キング・コール・トリオで有名なベーシストであり、ビル・ダグラスは西海岸では著名
なドラマーとされています。
いかにもカクテル・ピアニストの評判が高いジェラルド・ウィギンスですが、定型のピアノ・トリオで、結構ジャズの雰囲気を
横溢するアルバムかと思います。いわゆる泥臭いイメージは感じないにしても、極めてまとまったプレイのようです。変な
先入観なしに聴かれれば、案外にスイングしたプレイを楽しめるのではないでしょうか。
収録曲には、「LOVE FOR SALE」、「LAURA」、「SURREY WITH THE FRINGE ON TOP」、「DINAH」などが並んでおり、他
にはウィギンスのオリジナルも含まれています。
TAMPAと言えば、アート・ペッパーのクァルテットやマーティ・ペイチとの共演盤があまりにも有名ですが、その他に本ア
ルバムやオスカー・ムーアなどがあり、ひも解くと存外にレアな1枚が出てきます。そういった1枚として、復刻盤ではあり
ますが、日本ではおそらく廃盤のアルバムをLPでいかがでしょうか?
一見したところ笑かせるジャケットで手に取られることも少なそうですが、じっと見ていると味があるようにも思えてくるので
不思議です。 |
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ジェリー・マリガン、スタン・ゲッツ(GERRY MULLIGAN , STAN GETZ)
「ジェリー・マリガン・ミーツ・スタン・ゲッツ」(GERRY MULLIGAN
MEETS STAN GETZ) |
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ジェリー・マリガン、スタン・ゲッツ(GERRY MULLIGAN , STAN GETZ)の「ジェ
リー・マリガン・ミーツ・スタン・ゲッツ」(GERRY MULLIGAN MEETS STAN
GETZ)です。
VERVEの再発でのオリジナル盤、モノラル仕様になります。
レコード番号は、V−8535。 |
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パーソネルは、テナー・サックスとバリトン・サックスにジェリー・マリガンとスタン・ゲッツ、ピアノにルー・レヴィー、ベース
にレイ・ブラウン、ドラムスにスタン・リーヴィーという2サックスのクインテット構成です。
このレコードは、1958年頃に録音・リリースされたものの焼き直しで、1963年にMGM−VERVEからリリースされたモ
ノラル仕様になります。元々はMGV−8249の「Getz Meets Mulligan In Hi-Fi」で、途中でMGVS−6003の「Gerry
Mulligan Meets Stan Getz In Hi-Fi」になり、そして本アルバム「Gerry Mulligan Meets Stan Getz」と変遷した経緯でし
た。ここまで適当に変化させられると、グランツのやりそうなこととは言え、何が何だか分からなくなりますね。
しかし、最初はゲッツの名前が先頭にきていたのに、後ではマリガンが優先されています。何だか曰くありげに思いませ
んか?
このアルバムでは、パーソネルの項に書きましたように、二人でテナーとバリトンを持ち替えています。A面ではゲッツが
バリトン、マリガンがテナー、B面でゲッツがテナー、マリガンがバリトンになります。要するにB面が普段通りの楽器で、
A面はお互いに楽器を入れ替えたことになるのです。で、結果はどうだったか…。
誰の発案かは分かりませんが、おそらくはこんな感じだったかなと想像します。「マリガン君、ここは一つグランツさんの手
前もあるから、お互いの楽器を交換して演奏してみないか?」、ゲッツがインテリ風に見える華奢で鼻持ちならないマリガ
ンに提案します。
「それはいいですね、きっと面白いものになりますよ」とマリガン。ゲッツの狡猾な企みなど、こっから先も気にしていない
マリガンが二つ返事でOKします。
さて1曲演奏して、ゲッツの思いはガラガラと崩れてしまいました。自信たっぷりだったはずのゲッツがバリトンを持て余し
たというのが事実でしょう。アドリブの達人、ゲッツをもってしてもバリトンは思いのほか往生する楽器だったわけです。
A面を聴いていますと、マリガンはテナーを持っても普段通りの出来で極めてスムーズな演奏を聴かせます。それに比し
てゲッツのバリトンは、フガフガ言ってるのが聴き取れるほど荷が重そうです。音色も意識してるのかしてないのか少々
濁り気味で、決して快心の出来ではないでしょう。
この後、ゲッツがバリトンを吹いたという話しは聞きませんから、よっぽど堪えたんでしょうね。バリトンは難しいそうで、こ
の楽器をスムーズに吹き鳴らすマリガンは、やっぱり凡人では及びもつかない存在だったんですね。
まあ、B面になると、それぞれの楽器を元に戻していますから、流石のゲッツを楽しめます。正に淀むことを知らないソロで
ゲッツが飛ばしまくります。A面の仇討ちをB面で…というところでしょうか。
その他のメンツですが、ベースのレイ・ブラウンだけが黒人で、後は白人のオンパレード。さぞかし肩身の狭い思いをした
かと思いきや、相変わらずの絶妙サポートを披露しています。既に名手の域に達していたレイ・ブラウンは振られることも
なく、マイペースでござんした。
ピアノのルー・レヴィーはウェストきっての名手だそうで、一時はエラやペギー・リーの伴奏もしていたそうです。 ドラムス
のスタン・リーヴィーは白いマックス・ローチとでも呼ぶべき存在で、やや控え目ながら聴き応えがあります。歯切れのよ
いショットを効かせてくれ、彼もエラやペギー・リーの伴奏をしていました。何かの因縁ですかね…。
元来のステレオ盤は、サックスがRチャンネルに押し込まれ、リズムがLチャンネルから聴こえるという普通では有り得な
いステレオ録音だったそうですが、このアルバムは普通のモノラル仕様ですから、そういう違和感はありません。お陰で
快適に楽しめる好盤です。 |
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ジェリー・マリガン(GERRY MULLIGAN)
「ザ・コンサート・ジャズ・バンド」(THE CONCERT JAZZ BAND) |
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ジェリー・マリガン(GERRY MULLIGAN)の「ザ・コンサート・ジャズ・バンド」
(THE CONCERT JAZZ BAND)です。
VERVEのオリジナル盤、モノラル仕様になります。 |
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パーソネルは、サックスズ(いろんなサックスという意味でしょう)にジェリー・マリガン、ディック・メルドニアン、ズート・シム
ズ、ジーン・アレン、ジム・レイダー、クラリネットとアルト・サックスにジーン・クイル、トランペットにニック・トラヴィス、ドン・
フェラーラ、コンテ・カンドリ、ダニー・スタイルズ、フィル・サンケル、トロンボーンにボブ・ブルックマイヤー、ウェイン・アンド
レ、アラン・ラフ、ベースにバディ・クラーク、ビル・タカス、ドラムスにメル・ルイス、デイヴ・ベイリーという、今回もピアノレス
によるグループによる編成です。
このレコードは1960年に録音、リリースされたもので、パーソネルが多いように見えますが、収録曲の最後の1曲だけ
収録日が異なっているためです。とは言うもののすべての曲が13人の編成で収録されていますから、決して少ない人数
ではありません。ビッグ・バンドというよりはコンボの拡大版と理解した方が的を射ているようです。
収録曲は、A面に「Sweet And Slow」、「Bweebida Bobbida」、「Manoir Des Mes Reves (Django's Castle)」、「You Took
Advantage Of Me」の4曲、B面に「Out Of This World」、「My Funny Valentine」、「Broadway」、「I'm Gonna Go Fishin'」
の4曲、計8曲になります。
この当時のマリガンが何を意識していたのかはよく分かりませんが、一応ピアノレスでアンサンブルの重厚さを追求して
いたような感じではあります。テーマからソロへの導入部における演奏は、おそらく前もっての楽譜が存在しただろうこと
は明らかで、その後のインタープレイに活路を見出したかったというところでしょうか。マリガンはバリバリのソロを展開しま
す。
裏面のライナーは、かのレナード・フェザーが担当しており、稚拙に訳しても、新しいジャズ・オーケストラの形態を提示し
ているとか何とか言っています。それが正しかったかどうかは別として、旧来にはないコンサート・ジャズ・バンドには違い
ないでしょう。1960年の秋にはノーマン・グランツのアレンジで最初のツアーを行ったとの記載があります。
どちらかというと、A面よりB面の方が聴き応えがあると思います。最後の「I'm Gonna Go Fishin'」だけメンバーが異な
り、おそらくはこれがコンサート・ジャズ・バンドの初公開曲に当たるのではないでしょうか。「魚釣りに行くぜ!」で正しい
かどうかは分かりませんが、曲調は魚釣りとどんな関係があるのかちょっと不明です。
ジャケットの表面はいかにも愛想のない文字だけ(ただし金文字?)のデザインですが、何かを感じさせるには中々のイン
パクトがあったんだろうと思わせます。裏面にはマリガンの微笑んだ写真が載せられており、全くのプレイ・ボーイ振りを彷
彿とさせます。ニューヨークに出てきて、さぞかしもてたんでしょうな。こういう2枚目を放っておきませんからね、世のご婦
人方は…。
マリガンでもう一儲けしようというノーマン・グランツの下心がミエミエなんですが、演奏自体は楽しめる逸品かと思いま
す。当時既にオーネット・コールマンが世に出ていましたが、未だフリーっぽい演奏に耳を傾ける聴衆は少なかったんでし
ょう。こういう編成のジャズが革新だったかもしれません。今聴けば、別にどうということもない普通の演奏なんですが…。
アメリカでの評価は日本よりも高いような感じで、ニューヨークに進出してそれなりの地歩を固めつつあるマリガンを評価
すべき1枚なんだと思います。
どうやら日本では廃盤化されているようで、CDでもお見かけしないレア品のようです。このアルバムに対する世間の評価
はよく知りませんが、持っていて決して損はしません。これも何故に廃盤扱いになっているのかが分からない、不思議ア
ルバムの一つです。 |
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ジェリー・マリガン(GERRY MULLIGAN)
「ジェル」("JERU") |
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ジェリー・マリガン(GERRY MULLIGAN)の「ジェル」("JERU")です。
COLUMBIAのオリジナル盤、ステレオ仕様です。 |
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このアルバムは、1962年に録音されたもので、マリガンがニューヨークに戻って暫く後のものになりますか。アルバム・
タイトルは「ジェル」でして、マリガンのファーストネームで言うなら「GERU」かなと思うのですが「JERU」ですね。「GER
U」なら「ゲル」にも成りかねませんし、見た目も悪いので「JERU」にしたんでしょうね、よく分かりませんが…。ただ「JER
U」という曲は過去にマリガンが提供したもので、その名が残っていますが、このアルバムでは「JERU」を演奏している
わけではありません。ますますよく分かりませんね。
パーソネルは、バリトン・サックスにジェリー・マリガン、ピアノにトミー・フラナガン、ベースにベン・タッカー、ドラムスにデイ
ヴ・ベイリー、コンガにアレック・ドーシーという極めて普通に近い(?)クインテットで、よくあるピアノレスではありません。
ジャケット裏面にメンバーの写真が掲載されています。それぞれいすに座り込んで、悩んでいるような落ち込んでいるよう
なショットですが、ほとんどタバコを手にしているのが泣かせますね。プレイバックを聴いて思いを馳せているのでしょう
か。コンガ奏者のドーシーは写っていません。差別なんでしょうか、考えさせられます。マリガンだけジャケットを羽織って
いますから、俺がリーダーだぞとでも言いたげではあります。今更ながらマリガンだけ白人ですね。また、トミー・フラナガ
ンはこの頃から見事にハゲて貫禄十分でした。
収録曲は、A面に「Capricious」、「Here I'll Stay」、「Inside Impromptu」、「You've Come Home」の4曲、B面に「Get
Out Of Town」、「Blue Boy」、「Lonely Town」の3曲、計7曲です。
1曲目は、コンガが入っていそうなボサノバなんですが、何だかコンガは聞こえるような聞こえないような、多分聞こえてる
んでしょうが、脇役には違いありません。大体コンガなんぞを使うとケーハクさが助長されるのが常ですから、聞こえなさ
そうにアレンジしたんでしょうかね。「気まぐれ」にコンガを使ってみたら、やっぱりカプリチョスでしたという例ですね。全体
の演奏はケーハクの手前で踏みとどまった軽快なものです。ピザとかで有名なカプリチョーサじゃないですよ、念のため。
2曲目のコンガも脇役に徹していて、でしゃばってはいません。こんな程度がイー感じのようです。バックでポコパコ聞こえ
ますけどね。
3曲目は「Inside Impromptu」という曲名で、直訳すれば「即興演奏の内側」みたいなことになります。ジャズは大体が即
興じゃなかったの?などと野暮なことは言わずに聴きましょう。
4曲目も実に軽快な名演です。バリトンをかくも軽々と奏するマリガンに脱帽です。それはそうと、最近は帽子を被ってい
る人は減りましたね。若者で被っている人は何か場違いな雰囲気を漂わせますから例外的存在で、その他は老人限定
みたいな感じです。帽子の好きな私としては、中年くらいの方々に「もっと被ったら」と言っておきます。
次はB面。1曲目は、もはやクラシックの域に達するコール・ポーターの曲です。あまり有名ではない曲のようですが
「Night And Day」あたりと同時期ですので、普通以上の出来で安心できます。
2曲目は「ブルー・ボーイ」とは言うものの明るめの演奏で、ナニがブルーか考えさせられます。でもこれはマリガンのオリ
ジナルのようですので、一応心して聴いておきましょう。
最後の曲は「Lonely Town」、どうも「Town」が好きなマリガンですが、これはかのバーンスタイン作曲の有名なものです。
そこいら辺で演奏されていますから、いまやこれもクラシック(バーンスタインは元々クラシック?)ですが、この頃はどうだ
ったのでしょうか。パフパフ奏するマリガンが嬉しい1曲でした。 |
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ジェリー・マリガン(GERRY MULLIGAN)
「プレゼンティング・ザ・ジェリー・マリガン・セクステット」
(PRESENTING THE GERRY MULLIGAN SEXTET) |
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ジェリー・マリガン(GERRY MULLIGAN)の「プレゼンティング・ザ・ジェリー・マ
リガン・セクステット」(PRESENTING THE GERRY MULLIGAN SEXTET)です。
EmArcyのオリジナル盤、当然ながらモノラルになります。 |
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パーソネルは、バリトン・サックスにジェリー・マリガン、テナー・サックスにズート・シムズ、トランペットにジョン・アードレ
ー、トロンボーンにボブ・ブルックマイヤー、ベースにペック・モリソン、ドラムスにデイヴ・ベイリーという、お馴染みの(?)
ピアノレスによるセクステット編成です。
このレコードは1955年に録音、リリースされたもので、アメリカでの評価は日本よりも高いような感じです。チェット・ベイ
カーとのピアノレス・グループを解散した後、ニューヨークに進出した頃の録音になります。
というわけで、生粋のウェストによるメンバーだけではなく、白人が4人、黒人が2人という構成で、ベースとドラムスが黒
人です。管が4本で、これが白人、リズム2名が黒人なのでした。
結果はどうだったかというと、リズムがやっぱり強靭で、軽めに上滑りすることなく骨格の太いプレイになりました。特にペ
ック・モリソンのベースが印象に残ります。裏ジャケットで斜めを見据えながらベースを持つモリソンが写っていますが、こ
いつはどう見ても在りし日の三宅義信(オリンピックの重量挙げチャンピオン)ではないでしょうか。中々に笑かしてくれま
す。
このアルバムに対する世間の評価は知りませんが、楽しめる盤であることに間違いはありません。何故に廃盤扱いにな
っているのかが分からない、不思議アルバムの一つでしょう。
何処かの中古レコードショップで、15,000円を超す価格が付けられていましたが、そのくらいの評価が正しいのかもし
れません。アメリカでも80ドルから150ドルという相場のようです。 |
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ジミー・ジュフリー(JIMMY GIUFFRE)
「ジミー・ジュフリー」(JIMMY GIUFFRE) |
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ジミー・ジュフリー(JIMMY GIUFFRE)の同名アルバム「ジミー・ジュフリー」
(JIMMY GIUFFRE)です。
CAPITOLのオリジナル盤になります。当然ながらモノラルです。
レコード番号は、T549。 |
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パーソネルは、テナー・サックス、クラリネット、バリトン・サックスにジミー・ジュフリー、アルト・サックスにバド・シャンク、ト
ランペットにジャック・シェルドン、フリューゲル・ホーンにショーティー・ロジャース、バルブ・トロンボーンにボブ・エネヴォル
ドセン、ベースにラルフ・ペナとカーティス・カウンス、ピアノにラス・フリーマン、ドラムスにシェリー・マンとアーティー・アン
トンとなっており、録音日時が3回に分かれていますので、クァルテットからセプテットの範囲での演奏になります。錚々た
るウェストのメンバーで、ライトハウス・オールスターズかジャイアンツみたいな感じでもあります。
このレコードは1954年から1955年にかけて収録されたもので、最も初めの録音にはラス・フリーマンのピアノが加わっ
ていますが、後2回の録音はピアノレスです。この後、ドラムスすら外して変則トリオを率いたジュフリーの、実験的な取り
組み前段階を感じさせなくもありません。
ちなみにこのアルバムの次にCAPITOLからリリースされたのが、世紀の問題作、はたまた偉大な失敗作の「Tangents
In Jazz」だったはずです。ジャズにタンジェントを持ち出すんですから、頭脳は優秀なようです…。そのせいか、このとき3
3歳だった彼の頭髪が、年に似合わず見事に後退している様子をジャケット写真から窺えます。
収録曲は、A面に「Four Brothers」、「Someone to Watch Over Me」、「Sultana」、「A Ring-Tail Monkey」、「Nutty
Pine」、「Wrought Of Iron」の6曲、B面に「Do It!」、「All For You」、「Iranic」、「I Only Have Eyes For You」の4曲で、ピ
アノが加わった演奏はB面の「Iranic」を除いた3曲です。
トップの曲が、ウディ・ハーマンのセカンド・ハードで有名な「Four Brothers」で、だんご3兄弟ならぬサックス4兄弟が一
世を風靡しましたが、実はこれの作曲およびアレンジが、ジミー・ジュフリーだったので、要は自作自演になるのでした。
当時のハーマン・バンドでアレンジに徹したということは、ジミー・ジュフリー当人はサックス4兄弟に交ぜてもらえなかっ
た程度の力量だったと想像されますが、何せ相手が悪い。ゲッツにズートにアル・コーンにサージ・チャロフだったら、大概
は尻込みしますな…。で、「俺はアレンジだもんね」という賢明なところも垣間見せたジミー・ジュフリーでした。
ジミー・ジュフリーといえば、後年の変則トリオによる演奏や実験的ジャズとかが有名ですから、どうにもスイングしないウ
ェスト・頭デッカチ派の代表選手みたいなイメージですが、「Four Brothers」はスイングしてるんじゃないですかね?
また、A面2曲目の「Someone To Watch Over Me」やB面最後の「I Only Have Eyes For You」はスタンダードとして有
名ですから、正にアレンジを楽しむべきでしょう。私は個人的に「Someone To 〜」が好きですから、案外堪能しました
ね。
ジュフリーその人は、テナーにバリトン、おまけにクラリネットまで奏する、いわゆるマルチ・リード奏者ですが、器用貧乏と
はよく言ったもので、果たして普通の演奏以上には聴こえません、残念ながら…。やっぱり「おいらはアレンジャー」(同時
出品している「アバレンジャー」ではありません)という選択は正しかったようで、このアルバムもアレンジの掛かった演奏
こそが肝ですね。
当ったり前のウェスト・コースト・アレンジではあるものの、例えばユニゾンからアドリブまでの更なる調和を目論んでいる
のは確実です。難しく言うと計算されたコレクティヴ・インプロヴィゼーション(集団即興演奏なんて邦訳になるそうな)とか
いうやつですが、当時はこういう言葉はなかったようで、裏面のライナーには「with a singular creative touch」などと書か
れています。アレンジと計算は前もってしておく用意周到なジュフリーでした。
後の変則・変態トリオだけ聴いていると、どうにも何をやっているのかよく分からない退屈演奏が続きますし、「思索するミ
ュージシャン」などという、ミュージシャンとしてはあんまり有難くない別名も頂戴していたジュフリーですが、この時期のジ
ュフリーは、普通のジャズ・ファンにも普通に楽しめると思います。
2002年だったかに紙ジャケCDで復刻されていたようですが、ここはレアなオリジナルLPでいかがでしょうか。本国では
100ドルを超える価格で売買されているようです。 |
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ジミー・スミス(JIMMY SMITH)
「ザ・キャット」(THE CAT) |
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ジミー・スミス(JIMMY SMITH)の「ザ・キャット」(THE CAT)です。VERVEの
オリジナル盤、モノラル仕様になります。
レコード番号はV/V6−8587。 |
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パーソネルは、オルガンにジミー・スミスは当然で、その他は複数のサイドメンが脇を飾っており結構な大編成とも言えま
す。
ちなみに、トランペットにアーニー・ロイヤル、バーニー・グロウ、ジミー・マックスウェル、マーキー・マルコヴィッツ、スヌー
キー・ヤング、サド・ジョーンズなど、フレンチホルンに4人、トロンボーンにビリー・バイヤーズ、ジミー・クリーブランド、アー
ビー・グリーン、トニー・スタッドなど、ギターにケニー・バレル、ベースにジョージ・デュヴィヴィエ、ドラムスにグラディ・テイ
ト、パーカッションにフィル・クラウスといった面々です。
このアルバムは、1964年に録音されたもので、収録場所は例のRVGスタジオ(泣く子も黙る「ルディ・ヴァン・ゲルダ
ー」)です。
全編に渡ってアレンジをラロ・シフリンが担当しており、よく言えば垢抜けた都会的な、悪く言えば少々軟弱な、彼らしい
アレンジと言うべき出来です。映画音楽に題材を求めたような仕上がりで、非常に程度の良い映画音楽を聴いているよう
な気にもさせます。まあ劇的なアレンジが笑わせる根源でもあるような、妙に面白い出来ではないでしょうか。と、書いて
いるうちに気が付いたのですが、映画音楽に題材を求めたような…ではなくて、そのまんま映画音楽でした。ちゃんと調
べてから書かないとこういうことになります。
ポップス調のアレンジャーを持ってきて演奏させるわけですから、ブルーノート50年代の演奏とは趣向が当然違って、心
あるジャズファン(?)の評価は然程でもないという可哀相なアルバムかもしれません。大衆受けを狙ったような俗なアル
バムを白眼視する傾向が、わが国のジャズファンにはずーっと根付いておりまして、こういうアルバムを「好き」などと口走
ると、全国のスポ根的ジャズファンから「アホ」、「ボケ」、「カス」の三大誉め言葉をいただけるかもしれません。
どっちにしても、グルーヴィー、アーシー、イェーイ、ビシバシで超絶テクのジミー・スミスですから何本もの管を持ってきて
も、どんなアレンジをしようと、スミスのオルガンは実に鮮やかに響きます。聴いてて案外に快適なのが絶妙のアレンジと
いうものかもしれません。というわけで、見過ごすのはもったいない1枚であります。
収録曲は、A面に「Theme From "Joy House"」、「The Cat」、「Basin Street Blues」、「Main Title From"The
Carpetbaggers"」の4曲、B面に「Chicago Serenade」、「St.Louis Blues」、「Delon's Blues」、「Blues In The Night」の4
曲の計8曲で、聴きものは「The Cat」には間違いなく、その他の曲でも十分以上に彼のノリノリが堪能できます。またB
面1曲目のケニー・バレルが何かかっこいい感じです。私はバレルが好きなので、多少割り引いてもそんな感じです。
1曲目は「危険がいっぱいのテーマ」で、「太陽がいっぱい」でヒットを放ったアラン・ドロンが2匹目のどじょうを狙ったよう
な邦題ですが、ご本人にはそんなつもりはなかったようで、偏に流行らせたい日本人の思惑でありました。しかし原題は
「Joy House」でして、「楽しいお家には危険がいっぱい」ということになるのでしょうか? これは、監督:ルネ・クレマン、
アラン・ドロンとジェーン・フォンダ主演の映画の主題歌で、作曲はアレンジャーのラロ・シフリン自身になります。要は自
分の書いた曲をスミスのオルガンで表現するための曲なのでした。
スミスとしては前例のない大編成によるブラス・アンサンブルになってしまい、それが結局のところ随分な迫力で迫ってき
ます。スミス自体の出来は決して悪いものではないのですが、スポ根的ジャズファンの評価はいかがなものでしょう?
2曲目がタイトル曲の「The Cat」で、いつだったかクルマのCMに使われていたそうです。ところがこの曲も「危険がいっ
ぱい」に使われたシフリンの手になる曲で、何でも子猫が登場するシーンで使われていたそうです。あまりに安易なネー
ミングではあります。
3曲目の「Basin Street Blues」に至りますと、ジャズっぽいニュアンスなんぞが聴き取れるようになり、オルガンでの表現
がウレシクなる1曲です。
B面の1曲目は上述の「Chicago Serenade」で、テーマからケニー・バレルが登場して雰囲気上々の演奏ではないでしょ
うか。2曲目は「St.Louis Blues」で、知らぬ人のないブルースですが、結構速いテンポで奏でられます。この辺もシフリン
のアレンジなんでしょうが、はてさて結果は如何に。
いずれにしても「ジャズ・オルガンの神様」などと呼ばれるジミー・スミスですから、ないがしろにする訳にはまいりません。
「ジミー・スミスの低俗化路線、ここに極まり…」などとほざこうものなら罰が当たるのかも…。
ながらで聴いても体が動き出すようなノリノリの演奏には間違いありませんので、この名盤をオリジナルでいかがでしょう
か? 持っていて損はありません。保証します。 |
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ジミー・マッグリフ(JIMMY McGRIFF)
「クリスマス・ウィズ・マッグリフ」(CHRISTMAS WITH McGRIFF) |
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ジミー・マッグリフ(JIMMY McGRIFF)の「クリスマス・ウィズ・マッグリフ」
(CHRISTMAS WITH McGRIFF)です。
SUE RECORDSのオリジナル盤、ステレオ仕様です。
レコード番号はSTLP−1018 |
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このレコードは1963年にリリースされたもので、ジミー・マッグリフのオルガンをフィーチュアしたクリスマス・ソング・アル
バムです。クリスマスには間に合うでしょうか?
パーソネルは、オルガンにジミー・マッグリフ、テナーサックスほかにルドルフ・ジョンソン、ギターにラリー・フレイジャー、ド
ラムスにウィリー・ジェンキンスというクァルテット(オルガン+トリオ)編成です。
収録曲は、A面に「White Christmas」、「Christmas With McGriff」、「I Saw Mommy Kissing Santa Claus」、「Hip Santa」
の4曲、B面に「Winter Wonderland」、「Santa Claus Is Coming To Town」、「Rudolph The Red Nosed Reindeer」、
「Jingle Bells」の4曲、計8曲になります。「真っ赤なお鼻の〜」が入っていますから、さすがにルドルフを持ってくるあた
り、にくいじゃあーりませんか。
長くなりますので、それぞれの曲目紹介は省略いたしますが、どれもマッグリフそのものをクリスマスにちりばめた「ファン
キー・クリスマス」には違いありません。シンミリではなくてウキウキのクリスマスです。
大体「クリスマス・ソング集をリリースできれば一人前」などと巷間では言いますが、この頃にマッグリフは一人前だったの
でしょうか、よく分かりません。まあ、一人前でないにしても、楽しめるアルバムに仕上っていますから、それなりに(?)ゴ
キゲンなのは請け負います。
SUEなんていうレーベルもあまり耳にしたことがなくて、何だか胡散臭い珍盤にも思えますが、演奏は紛れもなくマッグリ
フそのものですから、案外にレアな逸品かもしれませんね…。
ちなみにライナーを担当しているのは、アイラ・ハワードとかいう「CASH BOX」のエディターだそうです。既に純粋ジャズ
路線からは外れているように勘繰られる筆者ではあります。文中でも「Pop−Jazz」なんて言葉を使用していますから、
そういう類いのレコードなんでしょう。熱血ジャズファンからは唾棄されるかもしれませんが、案外にこういうのが楽しかっ
たりするからジャズ近辺の音楽は止められませんね。
実際に、そういう傾向はジャケット写真にも明らかで、何でこういう白人女性を用いたショットを使うのか真意が不明です
が、時代の為せる業といえば宜しいんでしょうか? まったく「いかにも、たこにも」のジャケットですな(嫌いじゃないんで
すけどね…)。
オリジナルLPとしては「上」の部類には間違いない季節ものアルバムはいかがでしょうか? |
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ジム・ホール(JIM HALL)
「コンチェルト」(CONCIERTO) |
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ジム・ホール(JIM HALL)の「コンチェルト」(CONCIERTO)です。
CTIのオリジナル盤になります。 |
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コーティングの施された非常にしっかりした見開きアルバムで、キングによる国内再発盤のペラジャケとは風格が違いま
す。
パーソネルは、ギターにジム・ホール、トランペットにチェット・ベイカー、アルトサックスにポール・デスモンド、ピアノにロー
ランド・ハナ、ベースにロン・カーター、ドラムスにスティーブ・ガッドというメンバーで、新旧取り混ぜた豪華メンバーです
(新はガッドだけですが…)。
このレコードは別に説明する必要もないほど有名なもので、1975年にリリースされた、「アランフェス協奏曲」としてはジ
ャズ史上で上位3位には必ずランクインするであろう名盤とされています。件のアランフェスはB面の全面に配してあり、A
面には3曲が収録されています。A面1曲目が、これまた有名な「You'd Be So Nice To Come Home To」で、セクステッ
トで演奏されたこれが実はお薦めかもしれません。
アランフェスに関しては、編曲をドン・セベスキーが担当しており、これもセクステットの演奏で、導入部以降は各パートで
ホールをはじめとしたソロが次々に現れます。やや意図的なところ(すなわち仕掛け)が鼻につきますが、上手にまとめて
ありますから、楽しめる演奏です。
煩い輩からは、マイルス・デイビスによる「スケッチズ・オブ・スペイン」と比較して、重量感に差があるとか格が違うとか言
われがちですが、これはこれで十分エンタメしていますから、私は好きな1枚です。
たまたまCDや再発盤も所有していますが、やはり最も重厚でリアルな音を楽しめるのは、このオリジナル盤に間違いあ
りません。「VAN GELDER」刻印の威力なんでしょうかね。
しかし、ジム・ホールにはポール・デスモンドがよく合います。古くはアート・ファーマーとの共演もベスト・マッチとして持て
囃されたものですが、デスモンドやチェット・ベイカーとの相性も最高のようです。
サイドを務めるローランド・ハナやロン・カーターも邪魔をしないで主張するという役どころを心得ていますし、若きスティー
ブ・ガッドが殆どぶれない演奏で見事なサポートだと思います。クリード・テイラーによる企画力が勝利した好例の1枚でし
ょう。 |
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ジャコ・パストリアス(JACO PASTORIUS)
「インヴィテイション」(INVITTATION) |
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ジャコ・パストリアス(JACO PASTORIUS)の「インヴィテイション」
(INVITTATION)です。
ワーナー・ブラザーズのオリジナル盤になります。 |
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主なパーソネルは、ベースにジャコ・パストリアス、トランペットにランディ・ブレッカー、テナーサックスにボブ・ミンツァー、ド
ラムスにピーター・アースキン、スティール・ドラムにオセロ・モリノーなどとなっており、要するに「ワード・オブ・マウス・ビッ
グ・バンド」の面々です。スペシャル・ゲストとしては、ハーモニカのトゥーツ・シールマンズが参加しています。
このレコードは1983年にリリースされたもので、1982年の「ワード・オブ・マウス・ビッグ・バンド」の日本公演(オーレッ
クス・ジャズ・フェスティバル)を編集した内容になり、録音場所は東京武道館、横浜スタジアム、大阪フェスティバルホー
ルの3箇所です。元々、「TWINS」という日本制作盤があり、それのダイジェスト版としてワーナーからリリースされたもの
です。
ジャコがウェザー・リポートを退団した直後のものになり、正にジャコが最も好調だった時期のライブ盤になります。
実は私は、この日本公演のうち、横浜スタジアムにおけるライブを聴きに行きました。9月の初頭、まだまだ残暑の厳しい
折りに、ジャコらの演奏は暑さを忘れるほど素晴らしかったと記憶しています。収録曲のどれが横浜スタジアムでのもの
かはよく分かりませんが、好調時の演奏ですから、どれも中々の熱演かと思います。
この公演の2年後だったかにジャコは、ギル・エバンス・オーケストラのゲストとして来日しました。私はそれもよみうりラン
ドだったかへ聴きに行きましたが、そのときのジャコは、既に若干おかしな行動を取るようになっており、その姿を見て、ま
た演奏にもややチグハグな面を感じて悲しく思ったものでした。
そしてそれから3年後の1987年に、ジャコ・パストリアスの訃報に接することになります。
死の直前の1986年にはビレリ・ラグレーンとのグループで、かなりの熱演を披露してくれましたが、ジャコが最も乗って
いた時期は、メンバーやグループの構成、トータルサウンドの在り方から見てもこの1982年頃だと思います。絶好調時
のライブ盤はいかがでしょうか。 |
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ジャッキー・グリースン(JACKIE GLEASON)
「ラバーズ・ラプソディ」(LOVER'S RHAPSODY) |
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ジャッキー・グリースン(JACKIE GLEASON)の「ラバーズ・ラプソディ」(LOVER'
S RHAPSODY)です。
CAPITOLのオリジナル10インチ盤(モノラル)になります。
レコード番号は、H366。 |
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1952年にCAPITOLは、その10周年記念の年にテレビの王様であった「THE GREAT ONE」(ジャッキー・グリースンの
あだ名)に接触を図り、コメディ・タッチではないジャッキーの夢を具現化しました。スタンダードによる美しいインストゥルメ
ンタル・アルバムをモノにしたのでした。
その後、ジャッキー・グリースンは数十枚のアルバムを世に送り出しますが、まず最初のアルバムである「MUSIC FOR
LOVERS ONLY」はベストセラーを記録し、シナトラやキング・コールの顔色をなからしめたと伝えられています。
このレコードはデビュー盤の直後、1953年にリリースされた2枚目に当たり、少々悩ましげなジャケットとともにベストセ
ラーになったものです。
収録曲には「DESIRE」、「TEMPTATION」、「ENCHANTMENT」、「TENDERLY」、「I'M THROUGH WITH LOVE」などが並
び、いわゆるロマンチックな演奏を聴かせます。
テレビ・タレントであり、俳優である彼が音楽界に進出したわけですが、これらの演奏の指揮を担当していたそうですか
ら、中々多才なタレントであったことを証明しています。
ジャズのカテゴリーには当てはまらないかもしれませんが、一応ジャズということにして出品いたしました。 |
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ジューン・クリスティ(JUNE CHRISTY)
「ゴーン・フォー・ザ・デイ」(GONE FOR THE DAY) |
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ジューン・クリスティ(JUNE CHRISTY)の「ゴーン・フォー・ザ・デイ」(GONE
FOR THE DAY)です。
CAPITOLのオリジナル盤、モノラルです。
レコード番号はT902。 |
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どうも3回ほどの録音を重ねたようで、パーソネルは多岐に渡っています。それぞれを記しますと、@:フリューゲルホーン
にジャック・ケイヴ、フルートにバド・シャンク、ギターにハワード・ロバーツ、ベースにレッド・カレンダー、ドラムスにアーヴ・
コットラー、そしてピート・ルゴロ指揮によるストリングス、A:ミルト・バーンハート、ハーブ・ハーパー、トミー・ペダーソン、
フランク・ロソリーノのトロンボーン、ジョージ・ロバーツのバルブ・トロンボーン、ヴァイブラフォンにバーニー・マティソン、ピ
アノにベニー・アロノフ、ギターにハワード・ロバーツ、ベースにレッド・ミッチェル、ドラムスにアルヴィン・ストーラー、そして
指揮にピート・ルゴロ、B:フルートにバド・シャンク、オーボエにボブ・クーパー、バス・クラリネットにマーティ・バーマン、ピ
アノにベニー・アロノフ、ギターにハワード・ロバーツ、ベースにレッド・ミッチェル、ドラムスにシェリー・マン、そしてまたもや
指揮にピート・ルゴロというメンバーになります。全部に参加しているのはギターのハワード・ロバーツと、アレンジと指揮
を担当したピート・ルゴロということになりますね。
すべてのアレンジをピート・ルゴロが担当していますから、大体は似たような演奏になるはずで、幾分パーソネルが代わっ
ても変な違和感はありません。バド・シャンクやシェリー・マンの参加が興趣をそそります。
このレコードは、1957年に録音されたもので、今年でもう50年前になります。有名な「SOMETHING COOL」の2、3年後
にリリースされたわけで、その間にはスタン・ケントンの伴奏による「DUET」が位置します。というわけで、ジューン・クリス
ティ絶頂期とも言える時期のリリースです。
収録曲はA面に「It's So Peaceful In The Country」、「When The Sun Comes Out」、「It's A Most Unusual Day」、
「Interlude」、「Love Turns Winter To Spring」、「When You Awake」の6曲、B面に「Lazy Afternoon」、「When The
World Was Young」、「Gone For The Day」、「Lost In A Summer Night」、「Give Me The Simple Life」、「Lazy Mood」の
6曲で計12曲になります。上で紹介した三つのメンバーがそれぞれ4曲ずつ担当しています。
彼女は1925年生まれですから、この当時で32歳、正にトウが立ちまくる前のいい時期だったのではないでしょうか?
酒の飲みすぎで声が出なくなっていったと言いますから、1960年代までが実に聴きものなのでした。しかし、収録曲に
「Lazy」という単語の付いた曲が2曲含まれていますから、案外に倦怠期に差し掛かっていたのかもしれません。何せレ
イジーですからね、良からぬことも勘繰ってみたくはなります。余計なお世話…。
ジューン・クリスティといえば、初期にはスタン・ケントン楽団に属していましたから、先輩のアニタ・オデイや後輩のクリ
ス・コナーとよく比べられます。と言うか、ケントン三人娘と言ったほうが通りが良さそうです。比較をするまでもなく、実は
三人娘の中で最もケントンと長期に渡って関係したのが他ならぬジューン・クリスティです。
アニタ・オデイが約1年、クリス・コナーも約1年のケントン楽団在籍期間に比して、ジューン・クリスティは記録上は5年
間、その後も機会あるごとに共演したので結局は10年近くケントン楽団と関係があったようです。
当時の写真を別の場所で拝見する機会がありましたが、20代前半の彼女は大変可愛くキュートな存在だったようで、ケ
ントンのいやらしくニヤケタ表情の横で微笑んでいる彼女の写真が結構多いのには驚きます。あるショットには、何とケン
トンがアーンをして彼女が食べ物をケントンの口まで運んでいるのがありました。うーむ、気持ち悪い。ちょっと普通の関
係以上のものがあったのではないかと勘繰られる様子です。
50年代のポスターの中には彼女が水着を着て写っているものもあり、単なる楽団お抱えシンガーを超えた扱いないしは
売り出しを図っていた感じです。
記録によると1946年にケントン楽団のサックス奏者だったボブ・クーパーと結婚したのですが、それ以降もケントンとの
仲良しショットが残っていますから、やはり親分には頭が上がらなかったのか、もしかしたら策略による偽装結婚かもしれ
ないと下世話な私は穿っちゃいますね。
そう思わせる原因はジューン。クリスティにあるのではなくて、偏にケントンの助平ったらしい表情にあります。ケントンは
その頃30代ですから、10歳ほど歳の離れた彼女に入れ込んでも無理はありません。非常に素直な行動だったのかもし
れませんが、何せあの表情ですから、ムカツキますね。いかがです?
彼女のヘアスタイルでよく見かけるのは、大体前髪がご覧のような坊ちゃん刈りスタイルです。何でこういうスタイルを好
んだのかは不明ですし、ジャケット写真を見ている限りではあんまりそそりませんね。しかし、その他のプライベート・ショ
ットで、歌っているときや笑顔の写真を見ますと、実にキュートでした。本物は大変に可愛い方だったんだと思えます。ア
ニタ・オデイの人気を凌いだのも十分に頷けます。
このアルバムでのジャケット写真はちょいとオバサン風なので、あまり人気はないのかもしれませんが、歌唱は
「SOMETHING COOL」と変わらぬ好調さを示してくれます。例えば、アニタ・オデイはスキャットもそこそこ駆使した歌唱を
していましたが、クリスティにスキャットはまったくと言っていいほどありません。できなかったのか不要だったのか、真相
は知りませんが、実際に必要なかったのでしょう。可憐でキュートでクールで、オマケにあの声質(いやらしくないハスキ
ー)でしたら、スキャット唱法は殊更要りませんね。ピート・ルゴロの優秀性も感じられ、中々に情感豊かな表現で聴かせ
てくれます。
白人女性ボーカリストの中では、おそらく今もって十指には入るだろう彼女の全盛期のアルバムで、持っておられて損は
ありません。オリジナル盤をモノラルでいかがでしょうか。 |
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ジュリー・ロンドン(JULIE LONDON)
「ジュリー・イズ・ハー・ネーム」(JULIE IS HER NAME) |
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ジュリー・ロンドン(JULIE LONDON)の「ジュリー・イズ・ハー・ネーム」(JULIE
IS HER NAME)です。
LIBERTYのオリジナル盤に近いリイシュー盤、モノラル仕様になります。
レコード番号はLRP−3006。 |
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このレコードは1956年にオリジナル盤がリリースされたもので、本アルバムは1960年のリイシュー盤になります。彼女
の代表盤に数えられる一つで、自身のデビュー盤に相当し、この直後が「LONELY GIRL」になります。真正オリジナル
盤のレーベルは俗に言う「グリーン」で、このアルバムは「ブラック・レーベル、カラーバンド・アンド・ロゴ・アット・レフト」と
いいます。
ジュリー・ロンドンは、1926年カリフォルニア生まれで、最近まで知らなかったんですけど、2000年に亡くなっていま
す。74歳だったんですね…。老醜と化したかもしれない彼女を見られなかったのは幸か不幸かどっちなんでしょう?
「セクシーなハスキー・ボイスが人気だった美人シンガー兼女優」というのが彼女の紹介常套句で、紋切り型とは言え、
大体はそういうことです。つまりは、演技・歌唱・美貌の3拍子揃ったタレントだったということ。確かに、このアルバム収録
時では30歳だったわけで、すぐに老いぼれてしまうアメリカ人にしては稀有な美を持ち続けた例かと思わせます。ついで
に40歳くらいの彼女も魅力的な容姿に変わりありません。
で、そういう彼女の一応はメジャー・デビュー盤がこれで、冒頭の「Cry Me A River」は、ミリオンセラーを記録しています。
この曲は1955年に高校の級友だったアーサー・ハミルトンが作詞・作曲したもので、彼女最大のヒット曲になりました。
収録曲は、A面に「Cry Me A River」、「I Should Care」、「I'm In The Mood For Love」、「I'm Glad There Is You」、「Can'
t Help Lovin' That Man」、「I Love You」、B面に「Say It Isn't So」、「It Never Entered My Mind」、「Easy Street」、「'S
Wonderful」、「No Moon At All」、「Laura」、「Gone With The Wind」の計13曲で、それなりにジャズへ傾いた選曲かなと
も思えます。ところで3曲目は、随分前にヒットした「ノーランズ」の「I'm In The Mood For Dancing」とは別物ですからお間
違いのなきよう…。ノーランズも可愛かったんですけど、どっかへ行ってしまいましたね。
バックを務めるのは、バーニー・ケッセルのギターとレイ・レザーウッドのベースの二人で、よくもデビュー盤にオーケストラ
ではなくこんな編成を採用したものだと感心しますね。へたっぴいの歌手では考えられない布陣です。
それで結果が上々だったわけで、一気に彼女は一世を風靡する存在になったのでした。ジャズ・ファンにはケッセルのギ
ターが聴けるだけでも価値があるかもしれません。それに加えて彼女独特のハスキー・ヴォイスが聴けるわけですから、
1枚で2度おいしい傑作とも言えます。
一連のセクシーなジャケットも人気で、このアルバムでは若干緊張気味ながら肩を露出した美しい彼女が楽しめます。こ
のアルバムの VOL.2では、笑顔を見せているものの黒のセーターを着込んでいますから、お肌を拝見する興趣には乏
しくなります。
いずれにしても、ヴォーカル・ファン必携の1枚には間違いなく、楽しませてくれる格好のアルバムではないでしょうか。 |
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ジュリー・ロンドン(JULIE LONDON)
「ジュリーズ・ゴールデン・グレイツ」(JULIE'S GOLDEN GREATS) |
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ジュリー・ロンドン(JULIE LONDON)の「ジュリーズ・ゴールデン・グレイツ」
(JULIE'S GOLDEN GREATS)です。
LIBERTYのオリジナル盤、モノラル仕様になります。
レコード番号はLRP−3291。 |
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このレコードは1963年頃にリリースされたもので、過去の彼女の歌唱を集めた本家オムニバス盤に相当します。
メジャーのLIBERTYで10年近くアルバムを発表してきた彼女ですが、ここらでベスト盤をという会社側の思惑だけでリリ
ースされたアルバムかもしれません。したがって、伴奏は多岐に渡っています。残念ながら「Lonely Girl」からの選曲は
ありません。流石にギター1本というのは避けざるを得なかったのでしょう。
収録曲は、A面に「Come On-A My House」、「In The We Small Hours Of The Morning」、「Slightly Out Of Tune
(Desafinado)」、「I Love You Porgy」、「Hot Toddy」、「Cry Me A River」の6曲、B面に「Love Letters」、「Midnight
Sun」、「Must Be Catchin'」、「Black Coffee」、「Daddy」、「Blue Moon」の6曲、計12曲です。
1956年から1963年にかけて発表された彼女のアルバムから厳選して収録されたもので、どちらかというと1960年に
近い時代に集中しています。まあ、発売時に近い曲を収録した方が販売には結びつきますから、これも致し方ないのでし
ょうね…。
ジャケット写真では、こちらを見据える彼女の顔付きが写っていますが、時期的に「ちょいワル」な悪女へ変身しようかと
いう意気込みを感じさせるショットではあります。モノクロの写真が印象的じゃあないですか?
ジュリー・ロンドンに関しては、私は30年程前に気付きまして、既に彼女の全盛期は過ぎていたんでしょうが、ベスト盤ら
しきものを購入して悦にいっていたように記憶しています。要するに当時の友人間では知らなさそうなアーティストを探し
てきて、「どうだ、知らないだろう?」と自慢するのが流行っていたのでした。それだけの話しですが…。
と書いていて思い出したので、そのレコードを探したんですが、これが見つかりません。何処かへ紛れてしまったようで
す。日本企画のベスト盤だからどうでもいいというものではありません。中々に魅力的なジャケットだったですから、残念
です。
で、その頃を思いを馳せてまた思い出したことが一つ。その頃日本人女性ジャズ・ヴォーカリストでは、アンリ菅野や阿川
泰子が持て囃されており、特に阿川さんはブレイク寸前でして、私は恥ずかしくも彼女のレコードを購入し聴いておりまし
た。まあ、いいんじゃないの、というくらいの感想だったんですが、暫く後にジュリー・ロンドンのLPを掛けました。これまた
その頃、買うほどのことはないポップス(あるいは歌謡曲)などのヒット曲はパチンコ屋の景品でシングル盤(懐かしいドー
ナツ盤です)でゲットしていましたので、レコードプレイヤーは33回転と45回転のフル稼働状態でした。で、よくあることな
んですが、ジュリー・ロンドンのレコードを掛けたとき、本来なら33回転のはずが45回転で再生されたのでした。普通は
即座に気付くんですが、ご存知のようにジュリーはミディアムないしはスローな曲が多く、暫くそのまま聴いていたので
す。するとスピーカーから出てきた歌声は、ナント!阿川泰子じゃないですか。これには驚きましたねえ、どうも阿川さん
は45回転で聴いたジュリーを手本にしていたのではないかと、今でも密かに思っています。
程度の良いオリジナル(オムニバスですが)LPで、しかもモノラル仕様は、中々入手困難かと思われますので、この機会
にいかがでしょうか? |
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ジュリー・ロンドン(JULIE LONDON)
「ソフィスティケイテッド・レディ」(SOPHISTICATED LADY) |
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ジュリー・ロンドン(JULIE LONDON)の「ソフィスティケイテッド・レディ」
(SOPHISTICATED LADY)です。
LIBERTYのオリジナル盤、ステレオ仕様になります。
レコード番号はLST−7203。 |
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このレコードは1962年頃にリリースされたもので、前々作(SEND FOR ME)などの悪女路線から再び元々の彼女の雰
囲気に戻ったようなアルバムです。タイトル通り、ソフィスティケイトされた内容に違いはなく、洗練の意味を再度ご確認い
ただきたい欲求に駆られます。
収録曲は、A面に「Sophisticated Lady」、「Blame In On My Youth」、「Make It Another Old-Fashioned Please」、「You'
re Blase」、「Bewitched」、「Spring Can Really Hang You Up The Most」の6曲、B面に「Remind Me」、「When She
Makes Music」、「When The World Was Young」、「If I Should Lose You」、「Where Am I To Go」、「Absent Minded
Me」の6曲、計12曲です。
バックはストリングスが主体となったオーケストラですので、ジャジーな雰囲気とはちょいと異なりますが、スロー・ナンバ
ーを中心にした彼女の特質がよく現れた好盤だと思います。
ジャケット写真は彼女の全身を写し出しており、「LONDON BY NIGHT」ほどあからさまではないにせよ、彼女の素晴らし
さを上手く表現したショットですね。容姿、演技、歌唱と正に三拍子揃ったアクトレス&シンガーの面目躍如です。イアリン
グとブローチはセットのようで、一体どこを眺めているのか、その先にナニがあったか気になるショットです。
こんな方は今の世の中では中々見つけられません。品の存在が如何に重要か、無言のうちにアピールされています。申
し訳ございませんが、倖田○未とかほしの○きなんぞのアホ面は足下にも及ばないでしょう。
いろいろ余計なことを申して申し訳ございません。若かりし頃からジュリー・ロンドンが好きだったオッサンの戯言というこ
とでご容赦ください。
ジュリーのレコードでは、かなり程度の良いオリジナルLPは中々入手困難かと思われますので、この機会にいかがでし
ょうか? |
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ジュリー・ロンドン(JULIE LONDON)
「バイ・マイセルフ」(BY MYSELF) |
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ジュリー・ロンドン(JULIE LONDON)の「バイ・マイセルフ」(BY MYSELF)で
す。
LIBERTYのオリジナル盤、モノラル仕様になります。
レコード番号はMCR−1。 |
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このレコードは1969年にリリースされたもので、彼女の油が乗った(?)時期のものになります。 バックは何処
の誰かは明らかではないのですがオーケストラが務めており、フィーチャーされた楽器が中々いい雰囲気を醸し出してい
ます。
A面1曲目は、あの有名な「You'd Be So Nice To Come Home To」で、軽快なアレンジとともにヴィブラフォンとギターの
音色が印象的です。
B面1曲目(They Can't Take That Away From Me)と2曲目(Love Is Here To Stay)が、このアルバムの白眉かと思い
ます。単に私がこの曲を好きなだけかもしれませんが…。
いずれにせよ、適当な年齢に達した時期のジュリー・ロンドンの魅力を味わうには格好の1枚かと思います。
今や廃盤扱いのオリジナルLPで、しかもモノラル仕様は中々入手困難かと思われますので、かなり良好な程度のオリジ
ナル盤をこの機会にいかがでしょうか? |
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ジュリー・ロンドン(JULIE LONDON)
「ユア・ナンバー・プリーズ」(YOUR NUMBER, PLEASE…) |
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ジュリー・ロンドン(JULIE LONDON)の「ユア・ナンバー・プリーズ」(YOUR
NUMBER, PLEASE…)です。
LIBERTYのオリジナル盤、モノラル仕様になります。
レコード番号はLRP−3130。 |
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このレコードは1959年にリリースされたもので、アレンジと指揮をアンドレ・プレヴィンが担当しています。
プレヴィンはクラシック、ジャズ、映画音楽などの分野で、それぞれ名声を博した人として有名ですが、ここに聴かれるア
レンジも彼の才を感じさせる、やや劇的な優れたものかと思います。
選曲は男性ボーカリストの得意曲を集めたもので、ジャケット裏には彼らの名前が列記されています。
例えば、FRANKはフランク・シナトラ、FRESHMENはフォー・フレッシュメン、NATはナット・キング・コール、FREDはフレッド・
アステア、BINGはビング・クロスビー、MELはメル・トーメ、MATTはマット・デニス…といったところでしょうか。
私なりのイチ推しは、A面の「When I Fall In Love」とB面の「Love Is Here To Stay」辺りです。どうにも「Love Is Here…」
が好きな私でした。
ジャケットの、些か陳腐とも思える写真ですが、何故か彼女らしい雰囲気を醸し出しているようで、好きなジャケットの一
つではあります。
いずれにせよ、アンドレ・プレヴィンのアレンジと相俟って独特の歌唱を聴かせる彼女を楽しめる好盤には間違いありませ
ん。
今や廃盤扱いのオリジナルLPで、しかもモノラル仕様は中々入手困難かと思われますので、かなり良好な程度のオリジ
ナル盤をこの機会にいかがでしょうか? |
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ジュリー・ロンドン(JULIE LONDON)
「ロンリー・ガール」(LONELY GIRL) |
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ジュリー・ロンドン(JULIE LONDON)の「ロンリー・ガール」(LONELY GIRL)で
す。
LIBERTYのオリジナル盤、モノラル仕様になります。
レコード番号はLRP−3012。 |
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このレコードは1956年にリリースされたもので、物憂げなジャケットと相まって人気の高かった1枚です。「JULIE IS
HER NAME」の直後に発売されています。
伴奏者について詳しいことは分かりませんが、アル・ヴィオラというギタリストだそうです。彼女のボーカルに絡むギターの
音色が印象的で、普通のオーケストラによるバッキングでは得られない雰囲気を提供しています。
メジャーでは2枚目になる彼女のアルバムで、デビュー盤ではギターとベースの伴奏だけで歌っていましたが、ここでの
伴奏はベースも外してしまい、ギター1本です。何度も言いますが、ちょっと自信がないと採用しないパターンです。正に、
歌、演技、容姿の3拍子揃った美人アクトレス・シンガーの面目躍如たるところでしょう。
収録曲は、A面に「Lonely Girl」、「Fools Rush In」、「Moments Like This」、「I Lost My Sugar In Salt Lake City」、「It's
The Talk Of The Town」、「What'll I Do」の6曲、B面に「When Your Lover Has Gone」、「Don't Take Your Love From
Me」、「Where Or When」、「All Alone」、「Mean To Me」、「How Deep Is The Ocean」、「Remember」の7曲、計13曲で
す。お薦めは全部、どれも囁くが如きヴォイスで思わず起立しそうになりますね。
ジャケット写真は彼女の諸作の中でもベストかなと勝手に思っています。何か訴えかけるような表情で、両肩から胸にか
けてお肌を露出しているポーズにそそられませんか? よく見ると胸の谷間も見えていますね。日頃の疲れた気分を夜半
に癒してくれる格好のアルバムに間違いはございません。
ところで、この頃のLIBERTYは「Spectra Sonic Sound」というのが売り物だったようで、使用機器に関する記載がありま
す。それによりますと、マイクはTELEFUNKEN、アンプはALTEC、レコーダーはAMPEXという構成で、何だかいい音がしそ
うなラインアップです。確かに50年代では最高クラスの音質かもしれません。この後、ステレオ録音に移行していきま
す。
このくらい程度の良いオリジナルLPで、しかもモノラル仕様は、中々入手困難かと思われますので、この機会にいかが
でしょうか? |
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ジュリー・ロンドン(JULIE LONDON)
同名アルバム「ジュリー・ロンドン」(JULIE LONDON) |
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ジュリー・ロンドン(JULIE LONDON)の同名アルバム「ジュリー・ロンドン」
(JULIE LONDON)です。
SUNSETのオリジナル盤、モノラル仕様になります。レコード番号はSUM−
1104。 |
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このレコードは1966年にリリースされた、いわゆるオムニバス盤になります。SUNSETというレーベルはLIBERTYの
傍系で、要はLIBERTYに録音された音源を元に編集された1枚です。
元々のオリジナルLPで言えば、「JULIE IS HER NAME」(1956)から2曲、「LONDON BY NIGHT」(1958)
から2曲、「JULIE IS HER NAME U」(1958)から2曲、「SWING ME AN OLD SONG」(1959)から1曲、
「SEND FOR ME」(1961)から2曲が選ばれています。
さらにこのLPがある種貴重なのは、シングルでしか発売されなかったと思われる「MY LOVE,MY LOVE」が収録さ
れていることでしょうか。
いずれにせよ、ジュリー・ロンドンの魅力を味わうには手軽な1枚かと思います。囁くような曲から、案外にイキのいい曲ま
で網羅されています。SUNSETのオリジナルLPで、しかもモノラル仕様は、中々入手困難かと思われます。 |
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ジョー・アレキサンダー(JOE ALEXANDER)
「ブルー・ジュビリー」(BLUE JUBILEE) |
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ジョー・アレキサンダー(JOE ALEXANDER)の「ブルー・ジュビリー」(BLUE
JUBILEE)です。
JAZZLANDのオリジナル盤、モノラル仕様になります。
レコード番号は、JLP−23。 |
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パーソネルは、テナー・サックスにジョー・アレキサンダー、フリューゲル・ホーンにジョン・ハント、ピアノにボビー・ティモン
ズ、ベースにサム・ジョーンズ、ドラムスにアルバート・ヒースという面々で、何だかボビー・ティモンズ・トリオにサックスと
ペットを加えたと言った方が分かりやすいですかね。
このレコードは、1960年の6月に録音されたもので、おそらくはジョー・アレキサンダー唯一のリーダー・アルバムです。
悲しいかな、「ジャズ人名辞典」を見ても、ジョー・アレキサンダーもジョン・ハントも載っていません。ホーン奏者がリズム
セクションよりも知名度の低い特異なアルバムかもしれません。ジョン・ハントはレイ・チャールズのレコードに参加したこと
があるそうな…。
リズムセクションがティモンズ以下のトリオですから、印象は真っ黒けで間違いありません。真っ黒けのハード・バップを堪
能できる好盤かと思います。
収録曲は、A面に「Blue Jubilee」、「Brown's Town」、「I'll Close My Eyes」の3曲、B面に「Terri's Blues」、「Weird
Beard」の2曲、計5曲です。A面最後の「I'll Close My Eyes」がスローテンポでバッチリ聴かせます。B面冒頭の、サム・
ジョーンズ1発目の音が中々に凄い音で、その後の進行にワクワクするものがあります。
裏ジャケットには写真があり、ジョーは如何にも生真面目そうな感じで、服装もバッチリ、ラウンド・カラーに細身のネクタ
イ、3ボタンスーツにチーフまで携えて、この録音に賭ける意気込みが写真からも窺えます。プレイも同様に真面目なハー
ド・バップそのもので、安心して聴いていられます。アルト奏者である、キャノンボールやマクリーンの影響を感じないでは
ありません。まあゴキゲンにスィングしています。
ジョン・ハントはジョーに比べると些かカジュアルな出で立ちで、半袖のB.D.シャツにキャップを被り、腕時計と吸いかけ
のタバコが中々に粋ですな。ハントはフリューゲル・ホーンながら溌剌としたノートで、結構ハマリます。ジョーともども何故
に無名なのかは不思議なところです。
ピアノとベースはあまりにも有名で、水準以上の演奏を聴かせてくれます。実は、私はブレイキー・バンドでの演奏も含め
て、ボビー・ティモンズが好きなのでした。
ドラムスは、ヒース3兄弟の末弟であるアルバートなんですが、後年の「Steeple Chase」に聴かれるペタペタ・パタパタの
サウンドではなく、割り合いに切れ味のある音で聴こえますから、失望はさせません。これもイイ感じです。
蛇足ですが、モノラル・カートリッジでお聴きになることをお薦めしておきます。 |
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ジョー・ザヴィヌル(JOE ZAWINUL)
「ザヴィヌル」(ZAWINUL) |
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ジョー・ザヴィヌル(JOE ZAWINUL)の「ザヴィヌル」(ZAWINUL) です。
ATLANTICのオリジナル盤になります。 |
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このレコードは1971年のリリースで、正にウェザー・リポートを結成する直前に当たります。1972年当時、レコード屋で
これを見かけたときは、何だか胡散臭いザヴィヌルの顔が大写しになったジャケットが何か気になったものでした。
主なパーソネルは、エレクトリック・ピアノにジョー・ザヴィヌルとハービー・ハンコック、フルートにヒューバート・ロウズとジョ
ージ・デイビス、トランペットにウディ・ショウ、ソプラノ・サックスにアール・タービントン(?)、ベースにミロスラフ・ヴィトウス
とウォルター・ブッカー、ドラムスにジョー・チェンバースとビリー・ハート、デヴィッド・リーなどです。
演奏内容は全てザヴィヌルのオリジナルで、A面2曲目の「イン・ア・サイレント・ウェイ」はあまりにも有名でしょう。マイル
ス・バンドからウェザー・リポートへ至る中間的な傾向は言うまでもなく、今では素直に聞きやすい部類かもしれません。 |
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ジョー・ヘンダーソン(JOE HENDERSON)
「ライブ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード VOL.1」(LIVE AT THE
VILLAGE VANGUARD VOL.1) |
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ジョー・ヘンダーソン(JOE HENDERSON)の「ライブ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァ
ンガード VOL.1」(LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD VOL.1) です。
新生ブルーノート(BLUE NOTE)のオリジナル盤になります。 |
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ダイレクト・メタル・マスタリング(DMM)による録音で、それなりの良さはあると思います。
このレコードは1985年にニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードで録音されたライブ盤で、パーソネルは、テナー・サック
スにジョー・ヘンダーソン、ベースにロン・カーター、ドラムスにアル・フォスターというピアノレス・トリオです。
ヴィレッジ・ヴァンガードでのピアノレス・トリオといえば、真っ先にソニー・ロリンズの超有名盤が思い浮かびます。それと
同じフォーマットですから、意識しないわけにはいきません。ロリンズとジョー・ヘンを比べるのも野暮でしょうから控えます
が、これはこれで結構まとまりのある演奏に聞こえます。発売当時はかなり好評で迎えられていたと記憶します。 |
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ジョージ・ベンソン(GEORGE BENSON)とジョー・ファレル(JOE
FARRELL)
「ベンソン・アンド・ファレル」(BENSON & FARRELL) |
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ジョージ・ベンソン(GEORGE BENSON)とジョー・ファレル(JOE FARRELL)の
「ベンソン・アンド・ファレル」(BENSON & FARRELL)です。
CTIのオリジナル盤になります。 |
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主なパーソネルは、ギターにジョージ・ベンソン、フルート、サックスにジョー・ファレル、ピアノにドン・グロルニック、ベース
にウィル・リー、ドラムスにアンディ・ニューマークなどで、1曲にはエリック・ゲイルも参加しています。
このレコードは、1976年に録音されたもので、ベンソンにとってはヒット作である「ブリージン」とほぼ同時期の作品にな
りますが、アレンジの妙でフュージョンリズムをバックにしながらもジャズしてる好盤かと思います。アレンジは全曲、未だ
無名(?)のデビッド・マシューズが担当しています。
ギターとフルートやサックスの配置が絶妙で、ワル乗りの一歩手前が好ましい感じです。
アルバム・タイトルが「ベンソン&ヘッジズ」をもじったものであるのは、ジャケット・デザインからして一目瞭然でしょう。あ
まりにアホらしいデザインですが、これも時代の為せる業かもしれません。この頃は未だ「オヤジ・ギャグ」という言葉のな
かった頃ですな。
ジョー・ファレルと言えば、初期リターン・トゥ・フォーエバーに参加し、その後も結構チック・コリアとの共演が多いリード奏
者ですが、彼の神髄はRTFではなくて、CTIに録音した「アウトバック」や「ムーン・ジャームス」辺りではないでしょうか。
このレコードでは、フルートでの演奏がメインになっていますが、ギターとのコラボは爽快です。
今やCDでも入手困難なLPをオリジナルでいかがでしょうか? ちなみに、録音やミキシングは、あのルディ・ヴァン・ゲル
ダーで、「VAN GELDER」の刻印付きです。 |
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ジョニ・ジェイムス(JONI JAMES)
「100ストリングス・アンド・ジョニ・オン・ブロードウェイ」(100
STRINGS & JONI ON BROADWAY) |
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ジョニ・ジェイムス(JONI JAMES)の「100ストリングス・アンド・ジョニ・オン・ブ
ロードウェイ」(100 STRINGS & JONI ON BROADWAY)です。
MGMのオリジナル盤のようで、モノラル仕様になります。と言いますのも、レ
ーベルは黄色ではなく黒色カラー文字で、この当時に変わったように思うので
すが、定かではありません。レーベル両面には溝がついていますので、オリジ
ナルのようにも思います。
レコード番号はE3839。 |
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このレコードは1960年にリリースされたもので、直前にリリースされた「100 STRINGS & JONI」がヒットしたため2匹目
の泥鰌狙いで録音されたものです。100人のストリングスがバックを務めているそうですが、真相は分かりません。
前作でまたもやブレイクしたわけですから、その勢いでこのアルバムも中々の評判だったようです。オン・ブロードウェイと
言うだけあって、題材をほとんどミュージカルに求めていますので、いわゆるジャズからはちょっと遠ざかったところに位置
します。
収録曲は、A面に「Hey There」、「'Til There Was You」、「I've Grown Accustomed To Her Face」、「Bali Hai」、「Isn't
It Romantic」、「If I Loved You」の6曲、B面に「Mr. Wonderful」、「Baubles, Bangles And Beads」、「Bewitched,
Bothered And Bewildered」、「Hello Young Lovers」、「Smoke Gets In Your Eyes」、「The Party's Over」、の6曲、計1
2曲になります。
プロデュースはACQUAVIVAという記載がありますが、これはTONY ACQUAVIVAという彼女の旦那の名前です。「ア
クアヴィーヴァ」とでも読むのでしょうか? 大体100ストリングスの企画を出してきたのが彼だとされています。
この当時30歳くらいだった彼女は正にいい感じの女性だったわけで、夫がいても全然不思議ではなく、いない方がおか
しいくらいです。100ストリングス・シリーズは、その夫が再び妻を売り出そうとして企画したシリーズだったわけで、結果
は大成功を収めました。
何でこの企画を思い付いたかというと、いつだったか彼女の声がヴァイオリンのように聞こえたそうです。そしてかつてスト
リングスをバックに歌ったことがないことに気付くのでした。どうやら、流行の「天の声」を聞いたようで、その天啓は正しか
ったと言うべきでしょうか、なんかでき過ぎの話しではあります。
彼女は1960年代半ばに引退してしまいますが、その理由は件の夫が病気になり、その看病のためといいますから泣か
せますね。彼の死後、彼女は再婚しますが、何年も経てば心境の変化も訪れますか…。
前に、彼女のことを「オジョウ」と呼びましたが、こういう呼び方をしていると「ごくせん」と間違われるようなので、「オジョ
ウ」は止めにします。
ジャケットの写真は、おそらく合成なんでしょうが、ブロードウェイの劇場前に立って微笑んでいる彼女を捕えています。ど
こか早見優をケバくしたようなイメージを抱くのは私だけでしょうか。この頃30歳、イブニングドレスに毛皮のショール、加
えてロング・グローブが似合ってますね。普通、こんな方が立っておられたら、付近の殿方は彼女にくぎ付けでしょうが、
背景の男性諸氏は我れ関せずみたいな風情ですから、合成に間違いありません。
ミュージカルに題材を求めていますから、大体どこかで聴いたような曲が続きます。ほとんど彼女独自の歌い方になって
いますから、原曲との比較は無意味でしょう。勝手に判断したところ、聴きものは意外にも「Bali HAi」やB面の「Smoke
Gets In Your Eyes」辺りかなと思います。彼女の歌唱がお好みなら、どれもいいんですけどね。ストリングスとの共演は
蓋しバッチリだったようです。
何年か前に、確かDIWから再発日本盤が出ていましたが、プレス自体も東洋化成しかないときですから、盤質などは推
して知るべしで、ジャケットも変更されていたような気がします。CDの再発版も安易なカップリングで有り難味には欠けて
ましたね。いずれにしましても、こういった歌い手のアルバムは重厚感からもやっぱりオリジナルやオリジナルに近いLP
が最善で、ジャケットも含めて中々の程度である本盤はお薦めの1枚です。 |
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ジョニ・ジェイムス(JONI JAMES)
「イン・ザ・スティル・オブ・ザ・ナイト」(IN THE STILL OF THE NIGHT) |
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ジョニ・ジェイムス(JONI JAMES)の「イン・ザ・スティル・オブ・ザ・ナイト」(IN
THE STILL OF THE NIGHT)です。
MGMのオリジナルに近いリイシュー盤と思われます。レーベルが黄色から黒
に変わった頃のものです。モノラル仕様になります。
レコード番号はE3328。 |
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このレコードは1956年頃にリリースされたもので、MGMにおける彼女の2枚目のアルバムです。デビッド・テリー・オー
ケストラとの共演になります。
本国で「アメリカの恋人」などと呼ばれだした頃のアルバムに相当します。彼女の、真相は知りませんが聴いている限り
では令嬢っぽいヴォイスでの歌唱はここでも際立っており、極上の雰囲気が楽しめます。当時も多分人気盤だったんでし
ょうね。
収録曲は、A面に「Star Dust」、「But Not Foe Me」、「Someone To Watch Over Me」、「My Heart Stood Still」、
「Fools Rush In」、「My Funny Valentine」の6曲、B面に「Don't Take Your Love From Me」、「My Reverie」、「In The
Still Of The Night」、「What's New」、「Deep Purple」、「You'd Be So Nice To Come Home To」、の6曲、計12曲になり
ます。
すこぶる付きのスタンダードをオーケストラのバックで歌っているんですが、それぞれの名唱と比較するのは野暮天という
もので、ここは素直に彼女の歌唱に浸りましょう。それこそが正しい聴き方でしょう。ジャズ・シンガーの黒っぽさや変なス
ィング感を求めてはいけません。
私は個人的にA面3曲目の「Someone To Watch Over Me」が好きなので、自然にほかと聴き比べてしまうんですが、そ
ういう姿勢での聴取は彼女には似合わないのでした。
聴きものはタイトル曲である「In The Still Of The Night」や「Deep Purple」辺りかなと思います。
何年か前に、確かDIWから再発日本盤が出ていましたが、プレス自体も東洋化成しかないときですから、盤質などは推
して知るべしで、ジャケットも変更されていたような気がします。CDの再発版も有り難味には欠けてましたね。いずれにし
ましても、こういった歌い手のアルバムは重厚感からもやっぱりオリジナルやオリジナルに近いLPが最善で、ジャケットも
含めて中々の程度である本盤はお薦めの1枚です。 |
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ジョニ・ジェイムス(JONI JAMES)
「ジュ・テーム」(JE' TAIM) |
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ジョニ・ジェイムス(JONI JAMES)の「ジュ・テーム」(JE' TAIM)です。
MGMのオリジナル盤、モノラル仕様になります。
レコード番号はE3718 |
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このレコードは1958年にリリースされたもので、デビッド・テリー・オーケストラとの共演になります。
彼女全盛期のアルバムで、ファンのリクエストに応えた形のシャンソン集と言えます。
彼女の、令嬢っぽいボイスで歌うシャンソンは何となく想像できますが、想像通り(?)の出来栄えで、人気盤だったであ
ろうことが窺えます。
全12曲の収録曲のうち、半分ほどをフランス語で歌っており、私はフランス語は全く分かりませんが、微妙なニュアンス
の違いは分かったような気になるのが不思議です。全くの思い込みに過ぎませんが…。
中でもA面の「UNDER PARIS SKIES」やB面の「AUTUMN LEAVES」などが出色の出来かと思います。
ラストを飾る「THE LAST TIME I SAW PARIS」は英語で歌っていますが、私はこの曲が一番気に入りました。
いずれにしましても、こういった歌い手のアルバムは重厚感からもやっぱりLPが最善で、ジャケットに若干のヤレはあるも
のの盤質は良好ですのでお薦めの1枚です。 |
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ジョニ・ジェイムス(JONI JAMES)
「ジョニ・スイングス・スウィート」(JONI SWINGS SWEET) |
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ジョニ・ジェイムス(JONI JAMES)の「ジョニ・スイングス・スウィート」(JONI
SWINGS SWEET)です。
MGMのオリジナル盤、モノラル仕様になります。
レコード番号はE3772。 |
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このレコードは1959年にリリースされたもので、デビッド・テリー・オーケストラとの共演になります。
見るからにお嬢様っぽい容姿と歌唱でファンの多い彼女ですが、ここでは案外に極めてフツーに歌っているように思えま
す。
収録曲には、「Somebody Loves Me」、「Blue Moon」、「Moonglow」、「Sentimental Journey」などがあり、白眉はA面の
「Blue Moon」や「Moonglow」あたりでしょうか…。冒頭に「Somebody Loves Me」を配してあり、この曲が好きな私などに
は中々にそそるものがありました。
現在、輸入版のCDにて復刻されているようですが、それはこのアルバムと1964年の「ボサノバ・スタイル」をカップリン
グしたもので、ジャケットに至っては二つのアルバムを組み合わせたような情けないもので、所有欲は些かも湧いてこな
い逸品です。
こういった歌い手のアルバムは重厚感からもやっぱりLPではないでしょうか。
ややジャケットにヤレが見受けられるものの、概ね良好なオリジナル盤はいかがでしょうか。 |
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ジョニー・グリフィン(JOHNNY GRIFFIN)
「リターン・オブ・ザ・グリフィン」(RETURN OF THE GRIFFIN) |
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ジョニー・グリフィン(JOHNNY GRIFFIN)の「リターン・オブ・ザ・グリフィン」
(RETURN OF THE GRIFFIN)です。
GALAXYのオリジナル盤になります。レコード番号はGXY−5117。 |
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GALAXYはFANTASYの傍系レーベルで、アート・ペッパーのアルバムでも有名です。
パーソネルは、テナーサックスにジョニー・グリフィン、ピアノにロニー・マシューズ、ベースにレイ・ドラモンド、ドラムスにキ
ース・コープランドというワン・ホーン・クァルテットになります。
このレコードは1978年に録音、1979年にリリースされたもので、アルバム・タイトル名にあるようにグリフィンがアメリカ
に戻って録音したものです。
グリフィンはこれ以前の15年ほどはヨーロッパに住んでおり、当地で演奏していた記録が残っていますが、それほどメジ
ャーなものではありませんでした。
久し振りに戻ったアメリカで(と言うより、プロデューサーのオリン・キープニューズが呼び寄せたとの説もあります)、中々
に吹っ切れた演奏を披露してくれました。ヨーロッパへ行っていたからといって、引退していたわけではないので、このくら
いの演奏は当然かもしれません。
ジョニー・グリフィンといえば、ブルーノートやリバーサイドでの諸作が有名ですが、近年も来日して元気な演奏を聴かせて
くれています。相変わらずのブロー振りは知る人ぞ知るところでしょうか。
A面には有名な「枯葉」が入っており、かなりのテンポで突き進むグリフィンに脱帽です。その他にもバラードを情感豊か
に朗々と吹いてくれます。
案外にB面のリラックス・ムードが秀逸で、ホントにいい気分にさせてくれる好盤かと思います。
ところで、GRIFFINというのは、伝説上の生き物の名前で、そのグリフィンはアルバム・ジャケットにもあるように、頭部が
鷲で体がライオンというものだそうです。逞しいグリフィンの演奏に、実に合致している例えではあります。最初はジャケッ
トが何を意味するのか全く分かりませんでした。ジャケットの裏に解説が載っていたのです。
些かも衰えないグリフィンのブローはいかがでしょうか? |
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ジョン・クレマー(JOHN KLEMMER)
「ブラジリア」(BRAZILIA) |
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ジョン・クレマー(JOHN KLEMMER)の「ブラジリア」(BRAZILIA)です。
ABCのオリジナル盤になります。 |
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ジョン・クレマーというと、少々フリーキーなトーンも交える今風のサックス・プレーヤーですが、残念ながら日本での知名
度は今一つのようです。案外に元気がいいから、気分が高揚するタイプのミュージシャンです。
このレコードは1979年に録音されたもので、時期的にはフュージョンがかった内容を連想させます。しかし実際はそうで
もなく、ややソフト系に振ってはいるものの、水準以上の演奏を聞かせてくれます。
主なパーソネルは、テナー・サックスにジョン・クレマー、ピアノにジョルジュ・ダルトと何とビクター・フェルドマン、フェルド
マンはフェンダーのローズも弾いています。ギターにオスカー・カストロニブス、ベースにアブラハム・ラボリエル、ボブ・マ
グヌッセン、ドラムスにレニー・ホワイト、アレックス・アクーニャ、パーカッションにアイアート・モレイラ等となっています。曲
目には「ハートブレイク」や「サマータイム」なども含まれており、結構楽しめる1枚です。 |
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ジョン・コルトレーン(JOHN COLTRANE)とジョニー・ハートマン
(JOHNNY HARTMAN)
「ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン」(JOHN COLTRANE &
JOHNNY HARTMAN) |
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ジョン・コルトレーン(JOHN COLTRANE)とジョニー・ハートマン(JOHNNY
HARTMAN)の「ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン」(JOHN
COLTRANE & JOHNNY HARTMAN)です。
IMPULSEのオリジナル盤になります。
レコード番号はA−40。 |
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パーソネルは、テナー・サックスにジョン・コルトレーン、ボーカルにジョニー・ハートマン、ピアノにマッコイ・タイナー、ベー
スにジミー・ギャリソン、ドラムスにエルヴィン・ジョーンズという面々で、要はコルトレーン・クァルテットにジョニー・ハートマ
ンのボーカルを加えたわけですね、見れば分かりますが…。
このレコードは、1961年にリリースされたもので、珍しくコルトレーンがボーカルのバックを務めています。本来のペース
ならばボーカルと競演するなど思いもよらなかったコルトレーンですが、中々に落ち着ける内容で喜ばせてくれますな。
この頃、コルトレーンはエリントンとやったり、バラードを録音したり、過激とは一線を画す録音を何枚かリリースしていま
す。一説によると、マウスピースの具合が悪くて急速調でバリバリの演奏ができなかったともいいます。事の是非は分か
りませんが「俺っちは、こんなのもできるんだぜ」とでも言いたげなところがカワユスですか…。
収録曲は、A面に「They Say It's Wonderful」、「Dedicated To You」、「My One And Only Love」の3曲、B面に「Lush
Life」、「You Are Too Beautiful」、「Autumn Serenade」の3曲、計6曲です。
最も有名なのはA面1曲目の「ワンダ〜フル」でしょうが、泣かせるのは「My One And Only Love」や「You Are Too
Beautiful」じゃないかなと個人的には思っています。抑えに抑えたコルトレーンが欲求不満寸前で泣かせます。ハートマ
ンは我関せずのマイペースなのが、さらに興趣を盛り上げますね。
大体がミディアム・テンポで進む曲集で、コルトレーンは「BALLADS」なんかと同じようなペースで仕上げています。調子
が悪くて急速調の演奏ができなかったと言えばそれまでで、真相はどうだったのかと聞きたくなるほど思い入れたっぷり
な演奏に聴こえるのは私の欲目でしょうか…。リーダーに従順に従っているその他のメンバーも素直でよろしいね。
いずれにしても、コルトレーンとしては甘めのアルバムで、ハートマンのボーカルと相俟って甘さは「大甘」に昇華し、類い
稀なイージー、ムーディー路線になったのは思惑が外れたのでしょうかね。しかし「BALLADS」と並んでナオン(死語です
な)を口説くには持って来いの名演なのでした |
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ジョン・ハモンド監修
「フロム・スピリチュアルズ・トゥ・スイング」(FROM SPIRITUALS TO
SWING) |
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ジョン・ハモンド監修による「フロム・スピリチュアルズ・トゥ・スイング」(FROM
SPIRITUALS TO SWING)です。
VANGUARDによる1970年代にリリースされた2枚組アルバムになります。 |
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このレコードは、歴史的なコンサートの全貌を捕えた大変意義のあるもので、1938年と1939年にジョン・ハモンドが企
画したコンサートのライブ盤です。
永らくジョン・ハモンドの個人的な楽しみのために、アセテート秘蔵盤として保管されてきた貴重な録音をVANGUARDが
発掘してリリースしたものとされています。
ジャズの歴史的な歩みをも紹介するような企画で、ブギウギ・ピアノやフォーク、ブルースなどを再認識させられる契機と
もなりました。
主なパーソネルは、カウント・ベイシー・オーケストラ(御大始め、ハーシャル・エバンス、レスター・ヤング、ハリー・エディソ
ン、バック・クレイトン、ベニー・モートン、フレディ・グリーン、ウォルター・ペイジ、ジョー・ジョーンズなど)、ベニー・グッドマ
ン・セクステット(ベニー・グッドマン以下、チャーリー・クリスチャン、ライオネル・ハンプトン、フレッチャー・ヘンダーソンな
ど)、カンサス・シティ・シックス、ニューオーリンズ・フィートウォーマーズ、アルバート・アモンズ、ミード・ルクス・ルイス、ピ
ート・ジョンソン、ジョー・ターナーなどとなっています。
ベニー・グッドマンやカウント・ベイシーも絶頂期の演奏ですが、何と言っても目玉は、レスター・ヤングとチャーリー・クリス
チャンの共演だと思います。唯一の共演と思われますから、その貴重さは比べるものがありません。
ジャズを聴いている人なら、一度は経験しておくべきレコードではないでしょうか。 |
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