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MJQ(モダン・ジャズ・カルテット)
「たそがれのベニス」(NO SUN IN VENICE) |
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MJQ(モダン・ジャズ・カルテット)の「たそがれのベニス」(NO SUN IN
VENICE)です。
ATLANTICのオリジナル盤でモノラル仕様になります。 |
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パーソネルはご存知のとおり、ヴァイヴにミルト・ジャクソン、ピアノにジョン・ルイス、ベースにパーシー・ヒース、ドラムス
にコニー・ケイです。
このレコードは映画「たそがれのベニス」のサントラ盤とも言える内容ですが、組曲風であり、MJQの特質が最大限生か
されたものです。おそらくはMJQの最高傑作の一つに間違いなく、「ジャンゴ」や「フォンテッサ」以上の評価を私は下して
います。オーディオ・チェックにも有用なMJQのオリジナル・マスターピースはいかがでしょうか? |
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エディ・クリーンヘッド・ビンソン(EDDIE "CLEANHEAD" VINSON)
「ライブ・アット・サンディーズ」(LIVE AT SANDY'S) |
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エディ・クリーンヘッド・ビンソン(EDDIE "CLEANHEAD" VINSON)の「ライブ・ア
ット・サンディーズ」(LIVE AT SANDY'S)です。
MUSEのオリジナル盤になり、レコード番号はMR−5208です。 |
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パーソネルはアルトサックスとボーカルにエディ・クリーンヘッド・ビンソン、テナーサックスにアーネット・コブとバディ・テイ
ト、ピアノにレイ・ブライアント、ベースにジョージ・デュビビエ、ドラムスにアラン・ドウソンという変則セクステットです。
このレコードは1978年に録音された、「サンディーズ・ジャズ・リバイバル」というコンサートでのライブ盤になります。
収録された6曲中の4曲にビンソンのボーカルがフィーチュアされており、やや枯れ気味ながら野趣溢れる歌唱を聴かせ
てくれます。一聴したところ粗野にも聴こえますが、ブルース・フィーリングに富むボーカルで、旧き善き時代を思い起こさ
せるものがあります。
それもそのはずで、ビンソンは1940年代にクーティ・ウィリアムズ楽団に在籍しており、そこでブロークン・トーンを押し出
した強烈なブルース唱法を会得したとされ、この程度のボーカルはお手のものなのでした。
その他のメンバーは「MUSE ALLSTARS」とあり、この当時のミューズ常連たちで固めています。テナーがコブとテイト
の2本ですが、どちらも逞しいブローが身上のよい味を出しています。ちなみにビンソンも含めてサックス・プレイヤー3人
は全てテキサスの出身です。テキサス・トーンなんてのがあるのかなと思わずにいられません。
レイ・ブライアントはご存知のピアニストで、よくスイングするプレイをここでも披露しています。ジョージ・デュビビエはアン
ダー・レイテッドの最たる人かもしれません。ここでの演奏は堅実ながら独特のトーンを発散させて、非常に快調です。か
なり音の大きな人だと私は思うのですが。アラン・ドウソンも知名度は今一つですが、正確なモダン・ドラムでは名手の一
人でしょう。彼がバークリーでトニー・ウィリアムズの先生だったことはあまり知られていないようです。
というようなメンバーでの吹き込みですから、一言で言えば「ようスイングしてまっさ」というところで、安心して楽しめるレコ
ードかと思います。
今やMUSEのレコードは中々見つからないのではないでしょうか。再発されるような噂も聞きませんし、レアな1枚になり
つつあります。 |
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エリック・ドルフィー(ERIC DOLPHY)
「アイアン・マン」(IRON MAN) |
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エリック・ドルフィー(ERIC DOLPHY)の「アイアン・マン」(IRON MAN)です。
DOUGLAS原盤のCELLULOIDによる1986年のリイシュー盤になります |
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パーソネルは、アルトサックス、バスクラにエリック・ドルフィー、トランペットにウディー・ショウ、ソプラノサックスにクリフォ
ード・ジョーダン、ベースにリチャード・デイビス、ヴァイブにボビー・ハッチャーソン、ドラムスにJ.C.モーゼスなどとなって
います。
このレコードは1963年にニューヨークで録音されたもので、名作の誉れ高い「アウト・トゥ・ランチ」に向かうドルフィーの充
実した演奏が収録されています。
冒頭の「IRON MAN」は、そのタイトルからして期待を持たせるもので、事実この演奏も一度聴いたら忘れられるものでは
ありません。私が初めて聴いたときは高校生でしたが、アヴァンギャルドを善がる小僧の脳裏にしっかり刻み込まれる音
楽でした。
その後、何としてもこのレコードを入手しようと探しましたが、殆ど見つけることができず、正にドルフィーの「幻の名盤」化
していったレコードではなかったかと思います。1986年にアメリカ、CELLULOIDから復刻されるという話しを聞いて、中
古盤屋を通じて予約までして入手しました。
出品いたしましたのは、デッドストックになっていた1枚で、今ではかなりレアではないでしょうか。
CDでは何回か復刻されましたが、復刻される度にジャケットデザインが変化していました。私はこのジャケットデザイン
が最もお気に入りで、極彩色に近い色合いが演奏をも表しているように感じます。
アルバム・タイトル曲の「IRON MAN」は勿論のこと、リチャード・デイビスとのデュエットになる「COME SUNDAY」や「ODE
TO C.P.」も聴きものです。ドルフィーの楽器による表情の違い(アルトサックス、バスクラリネット、フルート)を楽しむにも
最適でしょう。 |
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エルヴィン・ジョーンズ(ELVIN JONES)
「ライブ・アット・ザ・ライトハウス」(LIVE AT THE LIGHTHOUSE)、2枚
組 |
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エルヴィン・ジョーンズ(ELVIN JONES)の「ライブ・アット・ザ・ライトハウス」
(LIVE AT THE LIGHTHOUSE)、2枚組です。
BLUENOTEのオリジナル盤になりますが、ジャケット右上が若干カットされた
「カット盤」です。品質には何ら問題はなさそうです。
レコード番号はBN−LA015−G2。 |
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パーソネルは、ドラムスにエルヴィン・ジョーンズ、ソプラノサックスとテナーサックスにデイヴ・リーブマン、テナーサックス
にスティーヴ・グロスマン、ベースにジーン・パーラという、ピアノレス変則クァルテットです。
エルヴィンにはロリンズと組んだピアノレス・トリオによるライブ盤(ご存知「ヴィレッジ・ヴァンガードの夜」)がありますが、
リーブマンとグロスマンの二人でロリンズ一人分(あるいはコルトレーン一人分)と解せば、似たようなフォーマットでのライ
ブになり、何処か期するところでもあったように思うのは穿ち過ぎでしょうか…。
このアルバムは1972年9月9日にCAの「ライトハウス」で録音されたライブ盤で、「灯台」を意味する「ライトハウス」に向
かって魚たちが泳ぐ水族館のようなジャケットで有名です。ジャケットを開くと海中から少しずつ姿を現すエルヴィンの写真
にコワイものがあり、一体誰がこんなデザインをするのかと文句もつけたくなります。
1960年代末からコルトレーンの衣鉢を継ぐような位置付けにあったエルヴィンのプレイが如実に収められており、コルト
レーン・チャイルドとでも言うべきリーブマンとグロスマンを従えた演奏は今でもキキモノです。
ドラムスとベースの織りなす、ある種ストイックでもあるリズムに乗って、挑発し合うが如きリーブマンとグロスマンの白熱
的なプレイは聴き応えがあり、強いて言うならば緻密でやや計算づくのリーブマンと感性のおもむくままアグレッシブなグ
ロスマン(あるいは素直なグロスマンとやや斜に構えたリーブマン)の対比が面白いと思います。
エルヴィンがリーダーですからドラム・ソロにも結構なパートが割かれており、今更ながらエルヴィンの妙技に頷くしかあり
ません。得意(特異?)のゲロゲロも収録されており、うっかりすると装置が不調になったのかと怪訝に思います。
言い忘れましたが、ジーン・パーラのベース・ソロも迫力があっていい出来です。
収録曲の一つに「FANCY FREE」があり、この曲はドナルド・バードの作曲で1969年にリリースされた、同名アルバム
に収められていました。実はリリース順は逆ながら、全く同じ場所「ライトハウス」における同年(4月21日)のライブ盤で、
グラント・グリーンのアルバムがあります(勿論BLUENOTE)。そしてこのアルバムにも「FANCY FREE」が収録されて
おり、時代の為せる業なのか、なにやら不思議な関連を感じます。
そう言えばグラント・グリーンのアルバムも、彼の顔が幾重にも重なった奇妙にコワイ雰囲気のジャケットです。同時期で
すからこういう描写が流行っていたのでしょうか? 流行で片付けるには余りに安易ではありますが…。
1972年頃と言えば、片やウェザー・リポートやリターン・トゥ・フォーエヴァーなどが話題の中心でしたが、このライブ盤の
ようなハードなアルバムも同時に存在したわけで、楽しい時代ではありました。
エルヴィンのグループには、このアルバムの直前にジョー・ファレルが在籍していましたが、彼がチック・コリアと行動を共
にしたため、リーブマンとグロスマンを雇ったように思えます。また、この直後にキーボード奏者のヤン・ハマーを雇ってい
ますから、正にその端境に当たる時期に生まれた稀有なアルバムではないでしょうか。
ところで、リーブマンはその後「ルック・アウト・ファーム」やコルトレーンのトリビュートなどで名を馳せますが、グロスマン
は一体何処に行ってしまったのでしょうか。最近全く消息を聞かないように思います。 |
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エロル・ガーナー(EROLL GARNER)
「コンサート・バイ・ザ・シー」(CONCERT BY THE SEA) |
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エロル・ガーナー(EROLL GARNER)の「コンサート・バイ・ザ・シー」
(CONCERT BY THE SEA)です。
COLUMBIAのオリジナル盤、6EYESになります。
ちょいとジャケットの異なった種類も出回っていますが、これがオリジナルの写
真です。
レコード番号は、CL883。 |
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パーソネルは、ピアノにエロル・ガーナー、ベースにエディ・カルホーン、ドラムスにデンジル・ベストというトリオです。
収録曲は、A面に「I'll Remember April」、「Teach Me Tonight」、「Mambo Carmel」、「Autumn Leaves」、「It's All Right
With Me」の5曲、B面に「Red Top」、「April In Paris」、「They Can't Take That Away From Me」、「How Could You Do
A Thing Like That To Me」、「Where Or When」、「Erroll's Theme」の6曲、計11曲です。
このレコードは1955年にカリフォルニアのカーメルで録音されたライブ盤です。演奏会場が教会だったとかで、ライブにし
ては当時では相当優秀な録音だろうと思います。快調な演奏を楽しめる1枚で、エロル・ガーナーはこういう雰囲気でま
すますノッテいくエンタの一人ですね。そこいらで「ウーアー」と唸っていますから、よほどご機嫌だったんでしょう。どこか
で聴いたようなフレーズを始めとして、どんどん湧き出るフレーズは正に彼の真骨頂で、エキサイト振りを如実に感じさせ
てくれます。
エディ・カルホーン(キャルホーン?)という人は他でも聞いたことがないのですが、その昔には「ヘイスタック・カルホーン」
というプロレスラーがいました。「人間空母」とかいう異名で、オーバーオールを着込んだ風体で、力道山や馬場と対決し
ていたのを思い出します。得意技は「フライング・ソーセージ」とか「ヒップ・ドロップ」だそうで、要は倒れた相手にそのまん
ま体で圧し掛かるとか、相手の上からお尻で潰そうとする圧迫技なのでした。体重は280kgほどあったそうですから、ハ
ーレー・ダヴィッドソンが体の上にこけてきたようなものですね。そりゃ大変だったでしょう。体重300kgのハッピー・ハンフ
リーとの対決は伝説だそうで…。で、件のベーシストのエディ・カルホーンについての詳細は不明です。なんのこっちゃ。
閑話休題。さて、A面1曲目の「I'll Remember April」ですが、出だしに相応しく快速調で続きます。ベースやドラムスはあ
んまり聴こえませんね、ガーナーのスイング感のみ目立ってます。
2曲目の「Teach Me Tonight」、ナニを教えてほしいのかよく分かりませんが、意味深なタイトルではあります。「今夜、教
えてね」、「また、この子ったら、ウフフ」みたいなノリでしょうか…。ウーウー・イーイー・アーアーと唸りのガーナーです。教
えてもらうと唸るのでしょうね、羨ましい。左手の強力なプレイが一際印象的で、どんなゴツイ手だったのか見たくなります
ね。
3曲目は「Mambo Carmel」、カーメルのマンボですかね。そういえば、この前「天神さん」に行ったのですが、昔ながらの
「べっこう飴」や「カルメ焼き(カラメル)」が売っていました。カーメルとカラメルは似てますけど、何か関係あるんでしょう
か。適度なテンポとリズムで楽しめます。
4曲目は「Autumn Leaves」、あの有名な「枯葉」です。「枯葉」といえば、真っ先に思い出すのがビル・エヴァンス・トリオ
の演奏ですね。ここでは、そういったインター・プレイがビシバシという演奏ではありません。控えめなバッキングに乗っ
て、ガーナーが一応しっとりとプレイしています。が、ところどころにバコバコ・フレーズを交え、結局はガツンガツンの枯葉
になってしまいます。イカにもタコにもの演奏です。いいなー、ガーナー。
5曲目は「It's Allright With Me」、俺に任せとけみたいな意味なんでしょうか。ガーナーに任せておくと、勝手に体が揺れ
てイー気分です。豪快にウーアー唸って、これぞガーナーの真骨頂です。アメリカ人好みのビッグな演奏とはこういうこと
かもしれません。襟を正して正座して聴くのが全く似合いません。
長くなりまして恐縮ですが、B面1曲目の「Red Top」は、これもナイスなテンポで、聴衆を喜ばせる術を知りえたエンタそ
のもの。どこかで聴いたフレーズがポンポン出てきてニンマリしちゃいます。
曲目は「April In Paris」、有名なのはベイシー・バンドの演奏ですが、ここでのガーナーはしっとり風でやっつけてます。ベ
ースもドラムスもほとんど聴こえてきません。あっ、ソロだったのね、と思ったら、途中からベースとドラムスが聴こえてきま
した。ソロでもいいのに…。
3曲目は「They Can't Take That Away From Me」、試しに翻訳ソフトで訳してみたら「彼らは、それを私から取ることがで
きません」だとさ、まあ、間違ってはいないのですが、さすがに翻訳ソフトです。ボーカル曲としても有名なこの曲を、例に
よってバコバコ・パキパキ・フレーズで料理していますが、これが快感なんですう。反則スイングのお勉強にも適していま
す。
4曲目は「How Could You Do A Thing Like That To Me」です。「何でそうなるの」みたいな意味ですか。コント55号もア
メリカで有名だったようで、当時のテレビ番組が懐かしくなります。そういえば最近、二郎さんはあんまり見かけません
ね。ご病気だったとか聞いていますが、どうしておられるのでしょう。演奏自体はちょいと大人しめに、時折りのバコンバコ
ンで快調です。
5曲目は「Where Or When」、「いつか、どこかで」です。シナトラの名唱が思い出されます。ところがクラシックしか聴いた
ことのないような方がこれを聴いたら、目からウロコものです。溢れ出るフレーズの洪水に溺れること必至で、大体溺れそ
うになると必死にはなるものですが、そんなに溺れささないで。
最後は「Erroll's Theme」、正にテーマだけであっという間におしまいです。誰か知りませんがメンバー紹介をして、何やら
質問したところ、ガーナーの答えが「ルイ・アームストロング」というところでホントにおしまいでした。
いずれにしてもガーナーのレコードでは、このアルバムは横綱級に位置するもので、これ1枚で事足りるとされる向きも多
いようです。ガーナーのプレイが好きになれば、逆にこれは入門用でもあります。この後は「MISTY」や「MOST HAPPY
PIANO」辺りでお楽しみください。 |
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