のとnoノート - JAZZ(ジャズ)レコード評 -
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はじめに
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アート・テイタム(ART TATUM)
「ザ・テイタム・グループ・マスターピース」(THE TATUM GROUP
MASTERPIECES) 
アート・テイタム(ART TATUM)の「ザ・テイタム・グループ・マスターピース」
(THE TATUM GROUP MASTERPIECES) です。
PABLO JAZZ CLASICSの復刻によるオリジナル盤、ステレオ仕様になり
ます。レコード番号はMHS−7153T。
このレコードは1955年に録音され、1970年代に復刻されたもののようで、PABLOとしてはオリジナルに近いのです
が、厳密にはリイシューに属しますのでご注意ください。

パーソネルは、ピアノにアート・テイタム、ヴァイブにライオネル・ハンプトン、ドラムスにバディ・リッチというトリオ構成にな
っています。リーダーが唯一無二に等しいアート・テイタムその人です。「アーっと、手痛む」じゃないですからね(実は適
当に変換するとこういう変換が出てくることもあるそうです、ホンマかいな?)。

収録曲は、A面に「This Can't Be Love」、「Stars Fell On Alabama」、「Lover Man」、「Prisoner Of Love」の4曲、B面に
「Love For Sale T」、「Love For Sale U」、「Body And Soul」、「Please Be Kind」の4曲、計8曲になります。

まあメンバーの誰もがいわゆるヴァーチュオーソで、傑出したテクニックを持った御仁ですから、聴かなくても出来栄えは
分かろうというものです。それでもテイタムのプレイにはそれらをも超越した神がかり的なものがありますから、ソロを取ろ
うがバックに廻ろうが目立つことには変わりありません。

1曲目の「This Can't Be Love」からテイタムとハンプトンがバリバリですね。リッチは遠慮してかそれなりのプレイなんで
すが、後の二人は何とも形容し難い張り切りようです。後ろで唸っているのは一体誰なんでしょう? 結構目立つ唸りでし
た。曲名は「これは愛では有り得ません」というものですが、愛でなければ何なんでしょうか、気になりませんか?

2曲目は「アラバマに星落ちて」というそのまんまの邦題が付く有名曲です。ミディアム・スローでしっとりと聴かせます。
前半はリッチのドラムスがあんまり聴こえません。二人のプレイに呆れてトイレでも行ってたんかいな、と思いきや後ろで
ささやくブラシを奏でていました。ミディアム以下のテンポでもテイタムは音が多い傾向があるんですが、それがジーン・
ハリスやマッコイ・タイナーのようには聴こえないのは何故でしょう。必然的にそういう音の配列であるがごとき演奏です
から、快感です。

3曲目も有名な「Lover Man」で、テイタムは相変わらずの巨匠ブリ(どんなブリだと問われても、答えようがないのです
が、寒鰤ではなさそうです)を発揮し、リッチは怖気づいたようなバッキングで笑かしてくれます。ハンプトンも少々遠慮が
ちに聴こえますね。テイタムの存在感を知らしめてくれる演奏かと思います。

4曲目は「Prisoner Of Love」です。愛に自由を奪われた者、愛の虜ですね。「あなたと逢ったその日から恋の奴隷になり
ました〜」は奥村チヨです。彼女は今どうしているのでしょう? 浜圭介と結婚しちゃったんですが、当時は残念だったもの
です。恥ずかしながら私は彼女の隠れファンです、くやしいけれっど幸せなのよ〜。で、演奏ですが、やっぱりミディアム・
テンポで切々と迫ります。前半はハンプトンのポヨヨ〜ン・ヴァイブがイカシつつテイタムのピアノに絡んで、洒落てます。
中間はハンプのコツコツ・ヴァイブにテイタムが絡みます。テクニシャンの絡みはやっぱりコーフンしますね。

B面に移って、1曲目は「Love For Sale T」です。2曲目も「Love For Sale U」なんですが、2回も愛を売り物にするとは
中々やりますね。愛を売れば「売春」で買えば「買春」でしたっけ…。「T」は、のっけからコンガ(?)でちょいと引かせてく
れます。こけおどしで攻略しようという虚勢がミエミエでした。その後は暫くテイタムとリッチが絶妙のコンビネーションで、
漸くリッチが活躍したな。ここでハンプはお休みかいなと思っていたら、真ん中くらいから出てきました。ハンプトンだけに
愛を頒布しないわけにはいきません。「U」では、普通にドラムスからスタートです。コンガは懲りましたかね。タッチが微
妙に優しくなっています。2回目ともなれば激しいのは嫌われますもんね。やっぱりハンプは途中から参加です。ハンプト
ンだけに半分だけ参加、ってなもんですな。

3曲目が、またまた有名な「Body And Soul」。テイタムの前奏からテーマはハンプに移って、その後はまたテイタムです
が、硬軟兼ね備えたテイタムのピアノは一味違います。コロコロ・タッチとバコバコ・タッチのコラボレーションが妙味でやん
す。

最後の曲が「Please Be Kind」で、「親切にせいよ」みたいな邦訳ですか。テイタムのタッチは、タイトル通りにやさしくスタ
ートします。釣られてハンプもソフトに迫ります。終わり方も、ハイお見事でした。

曲目を続けてみていくと、「こんなのは愛じゃねえ」と悲しく「アラバマに星落ちて」、「愛する人」の「虜」になりつつ、「売り
物の愛」に2回勤しんだものの、「身も心も」捧げるから「やさしくしてね」ってことですか。何だかストーリーができそうで笑
えませんか?

アート・テイタムは生まれつき片目の視力がなく、もう片方も非常な弱視というハンデを負った人でしたが、幼い頃からピ
アノとバイオリンで稀にみる才能を発揮したらしく、10代でプロ活動をはじめるいなや、あっという間にジャズ・シーンにお
ける注目すべき存在になりました。ピアノの88鍵をフルに用いた彼の演奏は、ミスタッチなどほとんど感じられない超絶
技巧で、絢爛豪華な演奏は万人の賞賛するところとなりました。

同じ業界のジャズピアニストからの賛辞は枚挙に暇がありません。さらにクラシック界の巨匠であるウラジミール・ホロヴィ
ッツでさえ、わざわざテイタムの出演するクラブに出掛け、諸手を挙げて賞賛したと伝えられています。

というわけで、音質的にも全く問題のないPABLOオリジナル盤はいかがでしょうか?

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アート・テイタム(ART TATUM)
「ザ・テイタム・グループ・マスターピース」(THE TATUM GROUP
MASTERPIECES) 
アート・テイタム(ART TATUM)の「ザ・テイタム・グループ・マスターピース」
(THE TATUM GROUP MASTERPIECES) です。
PABLOの復刻によるオリジナル盤、ステレオ仕様になります。ただし「NOT 
FOR SALE」の見本盤です。レコード番号は2310−735。
このレコードは1956年に録音され、1970年代に復刻されたもののようで、PABLOとしてはオリジナルですが、厳密に
はリイシューに属しますのでご注意ください。日本では1970年代初頭にVERVEからリリースされた「PRESENTING
THE ART TATUM TRIO」に相当します。

パーソネルは、ピアノにアート・テイタム、ベースにレッド・カレンダー、ドラムスにジョー・ジョーンズというトリオ構成になっ
ています。テイタムのトリオ演奏は意外に少なく、このアルバムが代表的な作品になりますね。VERVEではこれ1枚きり
だったようです。

収録曲は、A面に「Just One Of Those Things」、「More Than You Know」、「Some Other Spring」、「If」、「Blue Lou」
の5曲、B面に「Love For Sale」、「Isn't It Romantic」、「I'll Never Be The Same」、「I Guess I'll Have To Change My
Plans」、「Trio Blues」の5曲、計10曲になります。

没年に録音されており、数少ないテイタムのピアノ・トリオ・アルバムとして最も有名なものです。1930年代から活躍した
彼ですが、ジャズ界以外からも高く評価されたその圧倒的な演奏技術は聴く者を震撼させるのに十分以上のものがあり
ます。ジャズ・ピアノの歴史に名を残す傑作と言って過言ではないでしょう。

ちょうどVERVEのレコードが日本盤で発売された頃、何とこの演奏をAM放送で聴きました。ちょいとジャズに興味を持ち
出した頃で、ジャズと名のつく番組を見境いもなく探し、安手の録音装置で録音して聴いていた頃でした。今でも憶えて
いますが、親父から譲ってもらったソニーのトランジスタ・ラジオの出力を、これまたソニーのオープンリールに繋いで録音
してました。いわゆるオープン・デッキではありません。モノラルで5号リールしか掛からないけれど、スピーカーが付いて
いて単独で再生できる、要するに「テープレコーダー」でした。大体このテープレコーダーを買ってもらった理由は英語の勉
強のためでして、その教材は5号リールのオープンしかなかったのでした。で、件の私は英語のテープを消去してジャズ
を録音していたのですから、何とも親不孝で、おかげで未だに英語はまともに喋れません。

なんの番組だったかよく憶えていないのですが、確か「近畿放送」でした。今は「KBS京都」といいますが、相変わらず
「近畿放送」と言ってしまう自分の歳がバレますな…。全然知らない「アート・テイタム」という名を初めて聞き、またプレイ
に度肝を抜かれました。こんなプレイヤーが存在したんだという驚きと、その演奏にジャズへの認識を新たにしたもので
す。そのとき聴いたのは、「Just One Of Those Things」、「More Than You Know」、「If」、「Trio Blues」などでしたが、
すぐさまレコード屋さんに出向き、件のレコードを購入したことを昨日のように思い出しますね。

ラジオから流れてくる女性アナウンサーの紹介に続いて聞こえてきたのが、この1曲目「Just One Of Those Things」だ
ったのです。ジャズに興味を持って聴きだした頃とはいえ、ほとんど知識もなく、演奏の巧拙もよく分からないガキンチョだ
ったのですが、そんな稚拙な耳を驚かせるに十分すぎるほど強烈な一撃でしたね。それから暫くは、風呂に入ってても何
となく口ずさむほどでした、恥ずかしながら。

聞いたこともない名前だったのですが、何だか凄いオッサンだということは初心者の私にも分かりました。その後、友人か
らは半ばバカにされつつもテイタムのレコードを漁っていたことも事実で、「ESSENTIAL」や「HUMORESUQUE」などは無く
すことなく今も手元にあります。そういう原体験的な出来事は時を経ても忘れることはないようです。

アート・テイタムは生まれつき片目の視力がなく、もう片方も非常な弱視というハンデを負った人でしたが、幼い頃からピ
アノとバイオリンで稀にみる才能を発揮したらしく、10代でプロ活動をはじめるいなや、あっという間にジャズ・シーンにお
ける注目すべき存在になりました。ピアノの88鍵をフルに用いた彼の演奏は、ミスタッチなどほとんど感じられない超絶
技巧で、絢爛豪華な演奏は万人の賞賛するところとなりました。

オスカー・ピーターソンが彼をアイドルにしていたことは周知の事実ですが、かのチック・コリアでさえ彼を神格化している
のには驚きました。正にピアノ界におけるチャーリー・パーカーみたいなもので、全てのジャズ・ピアニストが尊敬して余り
ある存在にほかなりません。

というような別格のテイタムですので、余計な寸評は止しておきます。

かく言う私も一時はアート・テイタムを聴かずに過ごしていましたが、今更にして聴いてみますと、その力量やプレイのレ
ベルはやはり比肩するもののない唯一無二のものだと再認識しました。いつ聴いてもシビレます。

音質的にも問題のないPABLOオリジナル盤はいかがでしょうか?
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アート・ファーマー(ART FARMER)
「インターアクション」(INTERACTION)    
アート・ファーマー(ART FARMER)の「インターアクション」(INTERACTION)で
す。
ATLANTICのオリジナル盤ステレオ仕様になります。
パーソネルは、フリューゲルホーンにアート・ファーマー、ギターにジム・ホール、ベースにスティーブ・スワロー(!)、ドラ
ムスにウォルター・パーキンスという陣容です。

このレコードは1963年頃の録音かと思われますが、アート・ファーマーとジム・ホールという組み合せはホントに相性の
よい感じで、控えめながらもリラックスした好演奏を提供してくれます。暑い時期にはこのくらいのジャズが心地好いかも
しれません。

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アート・ブレイキー(ART BLAKEY)、ジャズ・メッセンジャーズ
「キーストン3」(KEYSTONE 3)
アート・ブレイキー(ART BLAKEY)、ジャズ・メッセンジャーズの「キーストン3」
(KEYSTONE 3)です。
CONCORDのオリジナル盤になります。
まあ、この時期のオリジナル盤にはそれほど意義のあるものではないかもし
れません。
このレコードは1982年の1月に、サンフランシスコのキーストンで録音されたライブ盤で、パーソネルは、トランペットにウ
ィントン・マルサリス、アルトサックスにブランフォード・マルサリス、テナーサックスにビル・ピアース、ピアノにドナルド・ブ
ラウン、ベースにチャールズ・ファンブロー、そしてドラムスに御大アート・ブレイキーという布陣です。

何といってもデビュー直後とも言えるウィントン・マルサリスが注目・必聴で、後年の冷めた感じは微塵もなく、熱いプレイ
は素晴らしい出来です。ビル・ピアースやブランフォードも中々にアグレッシブな演奏で、それらをプッシュするブレイキーも
老いたりとは言え流石です。

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アート・ブレイキー(ART BLAKEY)、ディジー・ガレスピー(DIZZY
GILLESPIE)、セロニアス・モンク(THELONIUS MONK)ほか
「ジャイアンツ・オブ・ジャズ」(THE GIANTS OF JAZZ)※2枚
アート・ブレイキー(ART BLAKEY)、ディジー・ガレスピー(DIZZY 
GILLESPIE)、セロニアス・モンク(THELONIUS MONK)ほかの「ジャイアンツ・
オブ・ジャズ」(THE GIANTS OF JAZZ)、2枚組です。
ATLANTICのオリジナル盤になります。
このレコードは、1971年に「ジャイアンツ・オブ・ジャズ」として臨時に結成されたグループが、欧州楽旅中にイギリスはロ
ンドンのヴィクトリア・シアターで行ったライブを録音したものです。プロデューサーはジョージ・ウェインで、リミックスやハ
サミを入れたのは、あのマイケル・カスクーナとのクレジットがあります。

メンバーそれぞれがジャズ・コンボのリーダークラスで、それ故の「ジャイアンツ・オブ・ジャズ」ということですが、こういっ
たネーム・バリューだけで寄せ集めると碌でもない演奏になるのがよくあるパターンなものの、このライブは数少ない成功
例だと思います。

たまたま出たがりのガレスピーが参加していますので、ずっこけた演奏になる可能性が大でしたが、どうやらそれを救っ
たのはアート・ブレイキーじゃないかと思います。

道化は天下一品ながら、リーダーとしての資質に欠けるガレスピーに任せるのではなく、強力なバックアップが信条であ
るブレイキーに委ねたことが、このレコードのサクセスだったようです。斯様にリーダーシップというのは人を選ぶもののよ
うで、ジャケット表面にドラムセットを配したデザインが無言の内に物語っているように私には思えました。

このグループでのレコード・リリースは3枚くらいしかないようで、このアトランティックの他はコンコードとエマーシーでリリ
ースされたくらいでしょう。2枚組である本LPが最も忠実にライブの様子を伝えているはずです。

演奏される曲目は、お馴染みの曲が並び、ガレスピー作曲の「チュニジアの夜」や「ウッディン・ユー」、「ブルーン・ブギ
ー」、あるいはモンク作曲の「ブルー・モンク」、「ラウンド・ミッドナイト」などです。この辺の選曲にも、どうやらブレイキーの
意図が働いているようで、タイプは違えどウルサ型のガレスピーとモンクに敬意を表した形にしているのだと思われます。

お陰で、ガレスピーはすんでのところで道化の一歩手前で踏み止まり、モンクにはいつになく明るさを感じるような演奏に
なっています。

スティットやカイ・ウィンディングは常に平均以上のプレイをしますから、安心して聴いていられます。また、あまり目立ちま
せんが、アル・マッキボンの堅実なプレイも一聴の価値があります。

安全パイとも言うべき、ベテラン達の熱演はいかがでしょうか?

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アート・ブレイキー(ART BLAKEY)
「バードランドの夜 VOL.2」(A NIGHT AT BIRDLAND VOL.2)
アート・ブレイキー(ART BLAKEY)の「バードランドの夜 VOL.2」(A NIGHT 
AT BIRDLAND VOL.2)です。
BLUENOTE原盤の、リバティによるリイシュー盤になります。元々はモノラル
盤ですが、これはどちらかというと嫌われ者の、「ELECTRONICALLY 
RECHANNELED」という、いわゆる擬似ステレオ盤です。
ジャケットのデザインもオリジナルとは異なっていますが、これはこれで結構有名なデザインでした。表面には司会を担当
したピー・ウィー・マーケットの写真も載っていますから、そういう意味では貴重なバージョンかもしれません。

パーソネルは、ドラムスにアート・ブレイキー、トランペットにクリフォード・ブラウン、アルトサックスにルー・ドナルドソン、ピ
アノにホレス・シルバー、ベースにカーリー・ラッセルといったメンバーで、ジャズ・メッセンジャーズを結成する直前くらいの
クインテットです。

このレコードはライブ録音を嫌っていたブルーノートのアルフレッド・ライオンが、バードランドに録音機材を持ち込んで録音
したものです。後年には、このレコードをして「ハードバップ誕生の夜」などと持ち上げられたほどの、熱演が堪能できま
す。この後、BLUENOTEには「ナイトクラブ・シリーズ」が有名になりますが、これはそのはしりとなった記念すべきもの
でもあります。
また、メンバーのうちクリフォード。ブラウンは、この後2年ほどで不慮の死を遂げますから、彼がBLUENOTEに残した演
奏の一つとしても貴重なものでしょう。

演奏は、とにかく熱気に溢れた現場の雰囲気が伝わっており、ブラウンの素晴らしさは言うまでもなく、コテコテへ向かう
前のパーカー直系とも言えるルー・ドナルドソンも快調なプレイを披露しています。殆どを取り仕切っているのは、ブレイキ
ーに間違いなく、おそらくは汗まみれになりながら各メンバーをプッシュし、掛け合う様子が手に取るように分かります。
リイシュー盤ではありますが、当時の東芝は直輸入盤を販売するしか能がないレコード会社でしたから、1970年代の日
本発売盤と内容は変わらないことになります。

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アート・ペッパー(ART PEPPER)
「ウィズ・ザ・ソニー・クラーク・トリオ」(ART PEPPER WITH THE
SONNY CLARKE TRIO):STRAIGHT-AHEAD JAZZ VOLUME ONE
アート・ペッパー(ART PEPPER)の「ウィズ・ザ・ソニー・クラーク・トリオ」(ART 
PEPPER WITH THE SONNY CLARKE TRIO):STRAIGHT-AHEAD JAZZ 
VOLUME ONE です。
STRAIGHT AHEAD JAZZ RECORDSでのオリジナル盤、モノラルにな
ります。
レコード番号はSAJ−1001。このレーベルでの初リリースと窺える番号で
す。
STRAIGHT AHEAD JAZZ というレーベルは殆んど聞いたことがなく、似非レーベルかと思われがちですが、中々に
普通のレコードをリリースしているようです。音質的にも劣悪な感じではありません。普通にお楽しみいただける程度です
のでご心配なく。

このレコードは、1953年、5月31日にCAのライトハウスで録音されたライブ盤というクレジットがありますが、さるディス
コによりますと1953年3月30日の録音との記載もあります。どちらが正しいのか定かではありませんが、1953年には
違いなさそうです。

で、何といってもソニー・クラークがピアニストとして参加しているのが注目されます。また、さるディスコを正しいとすれば、
年代的には例の有名な「サーフ・ライド」を録音した翌日のライブになります。ですから、中々にイケイケの演奏を繰りひろ
げていた頃になりますか…。

パーソネルは、アルト・サックスにアート・ペッパー、ピアノにソニー・クラーク、ベースにハリー・ババシン、ドラムスにボビ
ー・ホワイトというメンバーです。

あまり詳しくはないのですが、ペッパーがソニー・クラークと共演したのは、このときしかないのかもしれません。そういう意
味ではレアな逸品なのでしょうか。確かに、このレコードを購入したときにレコード屋(LAのレコード屋)のオヤジは、ペッ
パーとクラークだから「Very Rare!」みたいなことをほざいていました。持ち帰ってから調べてみましたが、この辺りの演
奏を記した音源は珍しいような気もします。

収録曲は、A面に「Brown Gold」、「These Foolish Things」、「Tickle Toe」の3曲、B面に「Tenderly」、「Strike Up The
Band」、「Night And Day」の3曲、計6曲になります。「Tenderly」だけ、ソニー・クラーク・トリオによる演奏で、その他はペ
ッパーを加えたクァルテットによる演奏です。

1曲目はフェード・イン的に始まりまして、のっけからペッパーのソロを楽しめます。続くクラークのソロはいかにもそれ風
で、リズムと合っているような合っていないような面白みがありますね。ハリー・ババシンなどは、所詮はこの程度かとい
う程度をやっぱりの程度で聴かせてくれます。後半の交換部分などは中々に笑わせてくれます。

2曲目は、ペッパーのソロ×クラークのブロックによる対決から始まり、どこまで続くのかと思いきや、何とほぼ最後までこ
の調子で続けます。ベースやドラムスは殆んど活躍していません。トイレでも行って休憩中だったのでしょうか…。

3曲目はご機嫌なテンポで進みます。ペッパーのソロの後に続くクラークが快調に魅せてくれますな。マニアックに絡むと
ころまで至らないババシンがババシンたるところです。そういえば、ババシンは「ババ」と「シン」ですから、思い出すのは
かのG.馬場とT.J.シンで、確か対決していましたね。あっちの方が興奮するかも…。32文ドロップキックや脳天唐竹割り
が懐かしくなります。

B面の1曲目はペッパー抜きのトリオでして、胡椒が抜けるとピリッとしないと思われがちですが、ここではそうではありま
せん。後年の活躍を予感させるような(?)結構ウキウキな演奏です。ちょいと音が多いかなと思わせる箇所もあります
が、らしさは十分に感じられます。少々物足りずに終わっていくのが胡椒抜きの所以でしょうか?

2曲目はアップテンポでノリノリです。聴きようによってはパウエル的に聞こえる節もあってゴキゲンです。ここではクラーク
がペッパーを食っちゃったような感じで、ええぞっ!ソニー、ってなもんですか。

で、最後に進んで3曲目です。「Night And Day」にしては少々速めのテンポに聴こえますが、ペッパーには好適なテンポ
です。ブロックでバッキングするクラークに乗っかって快調に飛ばしてくれます。続くクラークはブロックとシングル・トーンの
組み合わせで展開しますが、ガーランドほど洒落た感じにならないのがクラークのクラークたる所以のようで、中々に笑か
してくれます。

というわけで、何だか出所のよく分からないレコードかもしれませんが、内容は紛れもないもので結構楽しませてくれる逸
品のように思います。

普通に考えれば、ペッパーとソニー・クラークなんぞ合わないようにも思えるのですが、案外にそうでもないところを見せて
います。ゴロンゴロン・バコンバコンタッチでアーシーなクラークに、何やら我関せず風でオッペケペーのペッパーがかぶさ
って、何とも言い様のないスリルと場合によれば不協和音的な響きを醸し出して、これはオモロイ逸品でした。個人的に
は2曲目の「These Foolish Things」が嬉しかったですね。

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アート・ペッパー(ART PEPPER)
「ザ・レイト・ショウ」(THE LATE SHOW)
アート・ペッパー(ART PEPPER)の「ザ・レイト・ショウ」(THE LATE SHOW)で
す。
XANADUでのオリジナル盤で、リリースは1980年になりますが、オリジナル
録音は1952年のものです。
パーソネルは、アルトサックスにアート・ペッパー、ピアノにハンプトン・ホーズ、ベースにジョー・モンドラゴン、ドラムスとヴ
ァイブにラリー・バンカーとなっています。

このレコードは、1952年の2月に、ロスアンゼルスはハリウッドの「サーフ・クラブ」で録音されたライブ盤2部作の後編で
す。前編は「THE EARLY SHOW」として、同じくXANADUからリリースされていました。ペッパーはこの後すぐに、麻薬に
よりジャズ界を暫く遠ざかりますので、正にデビュー直後の貴重な録音といえます。

例の寄せ集め的「サーフ・ライド」と同時期の演奏ですが、こちらの方がライブゆえに自由度が高く、好演かと思います。

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アーネスティン・アンダーソン(ERNESTINE ANDERSON)
「ザ・トースト・オブ・ザ・ネイションズ・クリティックス」(THE TOAST OF
THE NATION'S CLITICS)
アーネスティン・アンダーソン(ERNESTINE ANDERSON)の「ザ・トースト・オブ・
ザ・ネイションズ・クリティックス」(THE TOAST OF THE NATION'S CLITICS)
です。
MERCURYのオリジナル盤、モノラル仕様です。レコード番号はMG2040
0。
このレコードは1958年にリリースされたもので、アーネスティン30歳時のものです。

快速調からバラード・テンポに渡り、好調な歌唱を聴かせてくれます。後年コンコルドからカムバックした彼女ですが、カム
バック時のいかにも落ち着いた雰囲気だけではない、いわゆる若かりし頃の溌剌とした、つまりは恐いもの知らず的な歌
唱かなと今となっては思えます。

しかし、若くとも(30歳なら若くもないか…)巧いもんで、異常にアクが強いわけではなく、ソフィスティケイトされたブルー
ス・フィーリングとでも呼ぶべき雰囲気と中々にシャープなリズム感を兼ね備えた、いい感じです。

彼女のアルバムでは処女作とされる「HOT CARGO」が有名ですが、その2年後に収録されたこのアルバムも彼女の資
質を上手く伝えており、評論家諸氏では有名人というようなタイトルに恥じない仕上がりだと勝手に思っています。

はなペチャながら見ようによっては愛らしいところもあるようなないような容貌で、当時は案外な人気があったんだろうと想
像されます。

実は1970年代のコンコルドにおける諸作も必聴に値する出来なのですが、この当時の青春の記念碑的(?)アルバム
も聴き逃す手はありませんね。若い方がいいのに決まっているのは、世の常識かもしれません。

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アーマッド・ジャマル(AHMAD JAMAL)
「ハッピー・ムーズ」(HAPPY MOODS)
アーマッド・ジャマル(AHMAD JAMAL)の「ハッピー・ムーズ」(HAPPY 
MOODS)です。
ARGOのオリジナル盤、ステレオ仕様になります。レコード番号は、LP662。
パーソネルは、ピアノにアーマッド・ジャマル、ベースにイスラエル・クロスビー、ドラムスにヴァーネル・フルニエというトリ
オです。

このレコードは1960年にシカゴで録音されたもので、ジャマル・トリオ最盛期の演奏を捉えたアルバムの一つです。

シングル・トーンが美しく響き、微妙なブロックも挟み、尚且つ間の取り方が絶妙なジャマルの演奏は、強アタックでなくと
も何故かスイングするから不思議です。レッド・ガーランドのタッチと似たところもあり、当時のマイルス・デイヴィスがメンバ
ーに欲しがった気持ちが分からなくはありません。と言うより、ジャマルのイメージをガーランドに求めたのかもしれませ
ん。

ジャマルとしては、マイルスのグループに入っていたら、その特質はうまく表出できなかったのではないかとも思いますの
で、マイルスの誘いを断っておいて正解だったのでしょう。

収録曲は、A面に「Little Old Lady」、「For All We Know」、「Pavanne」、「Excerpt From The Blues」、「You'd Be So
Easy To Love」の5曲、B面に「Time On My Hands」、「Raincheck」、「I'll Never Stop Loving You」、「Speak Low」、
「Rhumba NO.2」の5曲、計10曲です。

冒頭の「Little Old Lady」一発でジャマル節全開です。ほかも聴きどころがそれぞれありますので、じっくりと聴かれること
をお薦めします。快速調の「Speak Low」などイー感じです。

ジャケット写真にはジャマルのニヤケタ顔が写っていますが、これで判断してファンキー・コテコテと誤解なさらぬように
…。

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アーマッド・ジャマル(AHMAD JAMAL)
「アーマッド・ジャマル・トリオ」(THE AHMAD JAMAL TRIO)
アーマッド・ジャマル(AHMAD JAMAL)の「アーマッド・ジャマル・トリオ」(T
HE AHMAD JAMAL TRIO)です。EPICのオリジナル盤になります。
パーソネルは、アーマッド・ジャマル・トリオという記載だけですので詳細は不明です。一応調べてみたところ、ピアノにア
ーマッド・ジャマル、ギターにレイ・クロフォード、ベースにイスラエル・クロスビーというメンバーと思われます。この後、暫く
してからメンバーのギターがドラムスに入れ替わっていますので、多分上記で間違いないでしょう。

このレコードは、1955年にニューヨークでEPICにより録音されたもので、ARGOよりも先の録音になります。

アーマッド・ジャマルは日本での知名度は然程でもありませんが、本国ではかなり著名なミュージシャンの一人です。

かのマイルス・デイビスが、キャノンボール・アダレイ名義のアルバム「SOMETHIN’ELSE」で演奏した「枯葉」(AUTUMN
LEAVES)は、この曲の決定的名演とされていますが、このアレンジの元ネタは、アーマッド・ジャマルの解釈だと言われ
ています。

アーマッドのディスコを見ている限りは、おそらくこのレコードに収録されている「枯葉」が最初期のものかと思われます。
確かにマイルスのプレイを彷彿とさせるアレンジで、噂は当たらずとも遠からずといったところでしょうか。確実な事実関係
を知っているわけではないので、断言は控えておきますが、一度聴いてみる価値はありそうです。

アーマッド・ジャマルの古い録音に関しては、ARGOのものは案外に復刻されているようですが、このEPIC盤は殆ど見
掛けません。おそらくは今やレアな1枚でしょう。オリジナルEPIC盤はいかがでしょうか?

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アーマッド・ジャマル(AHMAD JAMAL)
「ポインシアナ・リヴィジテッド」(POINCIANA REVISITED)
アーマッド・ジャマル(AHMAD JAMAL)の「ポインシアナ・リヴィジテッド」
(POINCIANA REVISITED)です。
IMPULSEのオリジナル盤、ステレオ仕様になります。レコード番号はAS−9
176。
パーソネルは、ピアノにアーマッド・ジャマル、ベースにジャミール・ナッサー、ドラムスにフランク・ガントというメンバーで
す。

このレコードは、1969年にリリースされたもので、ジャマルがARGO・CADETを離れて録音したものです。

録音場所はニューヨークの「トップ・オブ・ザ・ヴィレッジ・ゲイト」とスタジオで、A面がライブ録音、B面がスタジオ録音にな
っています。

ARGO以外のレーベルにおける演奏ではこれが最上の一つだと思います。

よく知られている「Poinciana」を始めとして、「Lament」や「Have You Met Miss Jones」などが収められており飽きさせる
ことがありません。快速調の「Call Me」も聴きものの一つです。

ジャマルと言えば、一時期におけるマイルス・デイヴィスのアイドルであったことは周知の事実ですが、この69年の録音
でもマイルスが惚れたとされるタイミング、間の取り方は相変わらず絶妙を感じさせます。

何故に日本では過小評価されているのかよく分かりませんが、軽々とブルース・フィーリングを奏でるジャマルは蓋し名プ
レイヤーの一人には間違いありません。

オリジナルLPでジャマルの特質を堪能されるのはいかがでしょうか?   

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アニタ・オデイ(ANITA O'DAY)
「ピック・ユアセルフ・アップ・ウィズ・アニタ・オデイ」(PICK YOURSELF
UP WITH ANITA O'DAY)
アニタ・オデイ(ANITA O'DAY)の「ピック・ユアセルフ・アップ・ウィズ・アニタ・オ
デイ」(PICK YOURSELF UP WITH ANITA O'DAY)、モノラル仕様です。
VERVEのオリジナル盤になります。レコード番号はMGV−2043。
2、3回に分けて録音されたものですからパーソネルは結構多岐にわたります。2グループがバックを務めていまして、片
やハリー・スィーツ・エディソンのトランペット、ラリー・バンカーのヴィブラフォン、ポール・スミスのピアノ、バーニー・ケッセ
ルのギター、ジョー・モンドラゴンのベース、アルヴィン・ストーラーのドラムスというセクステット、片やバディ・ブレグマンの
オーケストラで、メンバーにはコンテ・カンドリ、ピート・カンドリ、ミルト・バーンハート、フランク・ロソリーノ、ハーブ・ゲラー、
バド・シャンク、ジョージ・オールド、ボブ・クーパー、ジミー・ジュフリー、ポール・スミス、ジョー・モンドラゴン、アルヴィン・
ストーラーなどのクレジットが確認されています。ウェストの名だたるプレーヤーが一同に会したようなメンバーで、流石は
ノーマン・グランツといったところでしょうか。

このアルバムは1956年に録音されたもので、暫く第一線から遠ざかっていた彼女を再び売り出すべくノーマン・グランツ
が力を注いだ頃のリリースです。

この頃の彼女のアルバムには、「THIS IS ANITA」と「ANITA SINGS THE MOST」があり、本アルバムと併せて3部作たる
位置付けになるはずですが、どういうわけか本アルバムだけが不遇をかこったような扱いになっています。不思議な現象
だとは思いませんか?

一部ジャズ・ファンの間では「巨乳」アルバムとして有名らしく、確かに他のアルバムでの彼女、あるいは「真夏の夜のジ
ャズ」での彼女を見る限りではシンジラレナーイ巨乳ぶりです。大体、38歳にしてこんなに尖ったシルエットがありえます
かねえ…。フェイクということでご理解ください。

収録曲は、A面に「Don't Be That Way」、「Let's Face The Music And Dance」、「I Never Had A Chance」、「Stompin'
At The Savoy」、「Pick Yourself Up」、「Stars Fell On Alabama」の6曲、B面に「Sweet Georgia Brown」、「I Won't
Dance」、「Man With The Horn」、「I Used To Be Color Blind」、「There's A Lulu In My Life」、「Let's Begin」の6曲の計
12曲です。聴きどころはA面の後半3曲とB面の「Sweet Georgia Brown」、「Man With The Horn」でしょうか…。バド・シ
ャンクと思しきアルトが中々効いてます。

アニタ・オデイは1918年生まれですから録音当時は38歳だったわけで、いかにもトウが立ちまくった年齢ではあるもの
の、歌唱を聴いている限りではそういうトウはあまり感じません。ジャケット写真のお顔立ちにはそれらしき年齢を感じま
すので、例の「トンガリ巨乳」はイカにもタコにもイクラでもって感じでござんすね。

今やLPどころか、不遇ゆえにCDでも見かけなくなったアルバムのようですが、持てる者の喜びとしてはLPに勝るものは
ないでしょう。結構強力にお薦めします。

というようなことを書いている最中に、アニタ・オデイの訃報が届きました。87歳だったそうで、ご冥福をお祈り申し上げま
す。いろいろ書いてしまってご免なさい。でも、貴女の歌声をいつまでも私たちは覚えています。楽しいときをありがとう。

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アルネ・ドムネルス(ARNE DOMNERUS)
「ジャズ・アット・ザ・ポーンショップ 2」(JAZZ AT THE PAWNSHOP
2)
アルネ・ドムネルス(ARNE DOMNERUS)の「ジャズ・アット・ザ・ポーンショップ
 2」(JAZZ AT THE PAWNSHOP 2)です。PROPRIUSのオリジナル盤にな
ります。
オーディオ愛好家に絶大な支持を得ている「カンターテ・ドミノ」で有名な、スウ
ェーデンのプロプリウスからリリースされたオリジナルで、同時出品している
「ジャズ・アット・ザ・ポーンショップ」と同時期の録音です。
パーソネルは、アルトサックスにアルネ・ドムネルス、ピアノにベンクト・ハルベルク、ベースにゲオルク・リーデル、ドラム
スにエーギル・ヨハンセンというレギュラー・クァルテットによる演奏です。

このレコードは、1976年の12月にスウェーデンのストックホルムにあるジャズクラブ「スタンペン」でライブ・レコーディン
グされたもので、上記の「ジャズ・アット・ザ・ポーンショップ」より1週間前の演奏になります。何故に「スタンペン」が「質
屋」なのかは私は知りません。

録音の優秀さは、前作(前作が1週間後の演奏になりますが)に劣りません。同時期の録音ですから当たり前ではありま
す。これも一時期は、CDがステレオサウンド社からリリースされていました。

録音に関しては、同時出品の「ジャズ・アット・ザ・ポーンショップ」でのコメントを参考にしてください。

演奏は、レギュラー・グループらしく気心の知れたもので、正にライブハウスの雰囲気を伝える好ましいものだと思いま
す。演奏の水準自体はこちらの方が上かもしれません。

特にリーダーのアルネ・ドムネルスとピアノのベンクト・ハルベルクは快調です。ベテランの面目躍如というところでしょう。

収録曲には、「オーバー・ザ・レインボー」や「プア・バタフライ」などお馴染みの曲があり、モダン・ジャズのホッジス、もしく
はカーターみたいな演奏を彷彿とさせます。

前作に劣らない高音質盤をオリジナルLPでいかがでしょうか。ちなみに、このレコードは録音日時に遅れること15年目
の1991年に初めてリリースされた重量盤になります。

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アルネ・ドムネルス(ARNE DOMNERUS)
「ジャズ・アット・ザ・ポーンショップ」(JAZZ AT THE PAWNSHOP)2枚
アルネ・ドムネルス(ARNE DOMNERUS)の「ジャズ・アット・ザ・ポーンショッ
プ」(JAZZ AT THE PAWNSHOP)2枚組です。PROPRIUSのオリジナル盤に
なります。
オーディオ愛好家に絶大な支持を得ている「カンターテ・ドミノ」で有名な、スウ
ェーデンのプロプリウスからリリースされたオリジナルで、最近にリリースされ
たドイツ・プレスのバージョンではありません。
パーソネルは、アルトサックスとクラリネットにアルネ・ドムネルス、ピアノにベンクト・ハルベルク、ベースにゲオルク・リー
デル、ドラムスにエーギル・ヨハンセン、そしてヴァイブにラース・エルストランドというクァルテットないしはクインテットによ
る演奏です。

このレコードは、1976年の12月にスウェーデンのストックホルムにあるジャズクラブ「スタンペン」でライブ・レコーディン
グされたもので、演奏よりも録音の優秀さで先に有名になったアルバムです。一時はCDがステレオサウンド社からリリ
ースされていたこともありますから、優秀録音のお墨付きみたいなものですな。

いわゆる物理特性が極めて優秀だというような評価を何処かで読んだことがありますが、確かに優れた録音であることは
普通に聴いていても判別できるほどです。優秀録音盤というレコードは(過去私も何度か騙されて購入しましたが)、その
大半はやけに高域が強調されていたり、虚仮脅しのドンシャリ傾向が顕著だったりしたものです。このレコードの場合は
そういう素人騙しの類いではありません。

管楽器の艶やかな伸びやドラムスの鮮烈さ、やや硬質ながらシズル感の如き響きを聴かせるヴァイブ、と聴き所は満載
です。強いて言うなら、ベースの録音が今一つ私の趣味には合いませんが、それでも水準は確保しているようです。

同じくスウェーデンのレーベルであるスティープル・チェイスにおける一頃の録音も話題になったものですが、ベースとドラ
ムスに関する成果は反対の傾向を表しています。スティープル・チェイスのベース音は、ニールス・ペデルセンを例にとっ
ても中々に好ましい音を再現していましたが、ドラムスはパタパタ・ヘナヘナで興ざめでした。このレコードの場合は、ドラ
ムスが正に「らしい」音を再生してくれます。

その他にも、ライブハウスらしい聴衆とプレイヤーの一体感(すなわち、笑い声や歓声や拍手)がそれらしく窺えたり、ある
いはグラスの当たった音やレジの音までも聞こえるのが、何だか嬉しくさせてくれます。

おそらくはデジタル録音が幅を利かせる以前の、アナログ機材の水準が最高に達した頃の録音で、こういった音場感は
デジタルでは得難いものなのかもしれません。少々プアーな装置での再生であっても、違いの分かるところがこのレコー
ドの凄さを端的に表しているかと思います。

録音に関してばかりのコメントになりましたが、演奏が劣っているのかと言うと、そうでもなく、ベテラン達の楽しそうなジャ
ム・セッションは飽きさせることなく聴かせてくれます。古くはクリフォード・ブラウンとも共演歴のあるアルネ・ドムネルスや
ベンクト・ハルベルクのプレイは納得のいくものだと思います。

曲目も、ベニー・グッドマンの演奏が有名な「ライムハウス・ブルース」や、これまた有名なデイブ・ブルーベックの「テイク・
ファイブ」、ガーシュインの「レディ・ビー・グッド」、パーカーの「バルバドス」など、いずれもスインギーな演奏で楽しめるLP
でしょう。

紛うことなき高音質盤をオリジナルLPでいかがでしょうか

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アンドリュー・ヒル(ANDREW HILL)
「ジャッジメント!」(JUDGMENT!)
アンドリュー・ヒル(ANDREW HILL)の「ジャッジメント!」(JUDGMENT!)です。
BLUENOTE原盤の、ユナイテッド・アーチストによるリイシュー盤になります。
盤には目立つキズもなく、再生上は問題ない状態です。「VAN GELDER」の刻印が残っている当時の盤で、辛うじてペラ
ペラの盤質になる前のもの(1970年代前半)と思われます。

パーソネルは、ピアノにアンドリュー・ヒル、ヴァイブにボビー・ハッチャーソン、ベースにリチャード・デイビス、ドラムスにエ
ルビン・ジョーンズというメンバーで、それぞれ実力者を配したライオンの慧眼が窺える1枚でしょう。

このレコードは、1964年に録音された、アンドリュー・ヒルのブルーノートにおける2枚目のアルバムになります。アンドリ
ュー・ヒルといえば、随分日陰の生活を送っていたピアニストですが、ブルーノートのプロデューサーであったアルフレッド・
ライオンは彼の売出しを強力に図り、短期間に4枚のアルバムを作ったことで有名です。元々は主流派の影響からスター
トしたようなヒルですが、フレーズはありきたりの方向で収まらず、分かり難い印象を与えてしまうところがあり、それゆえ
に人気が出なかったのかと思わせます。これら4作の内で、最もピアノトリオの形式に近い本作が、この時期におけるヒ
ルの頂点かと私は思います。
少々レアなブルーノートの1枚はいかがでしょうか?

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アンドレ・プレビン(ANDRE PREVIN)
「ア・タッチ・オブ・エレガンス」(A TOUCH OF ELEGANCE)
アンドレ・プレビン(ANDRE PREVIN)の「ア・タッチ・オブ・エレガンス」(A 
TOUCH OF ELEGANCE)です。
COLUMBIAのオリジナル盤になります。レコード番号、CL−1649、モノラ
ル仕様です。
パーソネルはピアノにアンドレ・プレビン、ベースにレッド・ミッチェル、ドラムスにフランク・キャップで、大半の曲にはオーケ
ストラの伴奏も付きます。が、このストリングス・オーケストラが尋常ではない響きをもたらしています。アレンジしたのはや
っぱりプレビンその人なんでしょうか?

大体、日本で「アンドレ」と言えば「オスカル」と返事が返ってくるようですが、この「アンドレ」君はクラシックからジャズから
ポップスまで、多岐に渡ってそれなりに名声を博した有名人ですから、お間違いなきよう。まあ西海岸でも彼に比肩する
存在は中々見出しにくいですね。

このレコードは1960年頃に録音されたもので、主にデューク・エリントンの曲を採り上げています。タイトル曲の「A
TOUCH OF ELEGANNCE」はプレビンがエリントンに捧げた曲とされています。

収録曲は、A面に「I Got It Bad」、「Satin Doll」、「I Let A Song Go Out Of My Heart」、「Perdido」、「Solitude」、「Le
Sucrier Velours」の6曲、B面に「A Portrait Of Bert Williams」、「A Touch Of Elegance」、「It Don't Mean A Thing」、
「Prelude To A Kiss」、「What Am I Here For」、「Sophisticated Lady」の6曲、計12曲になります。

1曲目の「I Got It Bad」から、ムード満点ですね。邦訳の「私はそれを悪くしました」どころではない劇的なアレンジで嬉し
くなります。ストリングスが一糸乱れぬサポートで盛り上げてます。

2曲目はお馴染みの「Satin Doll」です。何だかおどろおどろしいようなイントロから始まります、オカルト映画じゃないんだ
から…。プレビンのピアノはポツポツ・タッチで、ストリングスとの対比が面白いなと思っていたら、急にコードになったり、
やけに躍動的なフレーズを展開したり、聴いてて飽きさせませんね。で、唐突に終わってしまうのが、これも何だか奇妙
なんですが、この辺りが「絹の人形」ってことでしょうか?

3曲目が「I Let A Song Go Out Of My Heart」で、「私は、歌を私の心臓から出させました?」って全然意味が分からない
訳になりますね。適当な邦訳があれば教えてください。まずストリングスのイントロから、プレビンが思い入れたっぷりにテ
ーマを演奏します。プレビンのソロではストリングスもちょいと遠慮めで、気がついたら終わっていました。心から沁みだし
た歌はどこに行ったんでしょう。

4曲目は「Perdido」。のっけからプレビンのピアノが明瞭で、テーマ旋律はストリングスに任せています。まあよくあるアレ
ンジのようですが、ピアノがジャズしてて結構快感です。ゴロゴロ・タッチもできるプレビンです。

5曲目も有名な「Solitude」、訳せば「孤独」ですね。「俺は孤独さ」なんていう映画で聞いたようなセリフがついつい思い
出されます。ちょっぴり切ないようなアレンジで、プレビン君は大衆の欲求をよくご理解なさっています。ついでに、ウェス・
モンゴメリーのプレイも聴き直したくなりますね。

A面ラストは「Le Sucrier Velours」で、何と読むのか分かりません、「ル・スクリア・ヴェロア」ですかね?「砂糖壺ベロア」
という全く意味不明な訳になりました。女王組曲に入っていた1曲ですね。砂糖壺だったら、そりゃあ甘いことでしょう。放
っておくとアマアマの1曲だったのかもしれませんが、ピアノの中々硬質な音がやや救っていますか?甘いことに変わり
はありませんが…。

B面にも聴いたことのある曲が目白押しで、ご紹介したいのですが長くなりますので割愛します。ただ、どちらかと言うと、
B面の方が聴き応えがあるような気がします。自分で言っておいて何ですが、「割愛」ってキャッツ・アイみたいですね。あ
の美人3姉妹のコミックは随分売れました、テレビ・アニメが懐かしい。余計な話しで、どうもすみません。

で、総じてこれらの有名曲がちょいと違った雰囲気で楽しめる異色盤だと思います。イージー・リスニングやムード・ミュー
ジックと勘違いされそうな内容なんですが、そこは名士プレビン君、見事な展開に粗探しも難しい。一時流行ったカラベリ
とかルフェーブルとは全然違うハードなところを披露しています。エリントンの曲を気軽に楽しむには好適じゃないでしょう
か?

このアルバムは1990年代にCDによって再発されましたが、ジャケットデザインも収録曲も内容が一変してました。若か
りし頃のプレビンがにやけた表情でこちらを向いている、何とも所有欲の湧かない見事なジャケットでした。今はそれすら
も廃盤のようです。へたれ再発CDではなく、モノラル仕様でのオリジナルLPはいかがでしょうか。結構レアな逸品かもし
れません。

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アンドレ・プレビン(ANDRE PREVIN)
「ライク・ラブ」(LIKE LOVE)
アンドレ・プレビン(ANDRE PREVIN)の「ライク・ラブ」(LIKE LOVE)です。
COLUMBIA原盤ですが、オリジナル盤ではないかもしれません。
レーベルを見ているとリイシュー盤のようにも思いますが、よく分かりません。
レコード番号、CL−1437、モノラル仕様です。
パーソネルなどの記載はありませんが、ピアノは言うまでもなくアンドレ・プレビンで、時期的にはベースにレッド・ミッチェ
ル、ドラムスにフランク・キャップだろうと思われます。それに加えてオーケストラが彩りを添えています。

このレコードは、アンドレ・プレビンがオーケストラと共に録音したもので1960年頃のリリースになります。

イージー・リスニングに区分けされそうな演奏ですが、彼のピアノ技巧はジャズとしてもほぼ完璧で、リリカルな雰囲気は
見事なものかと思います。全ての収録曲には「LOVE」という言葉が含まれています。

稀少さからか、1990年代にCDによって再発されましたが、モノラル仕様でのほぼオリジナルなLPはいかがでしょうか。
もしかするとレアな1枚かもしれません。

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アンドレ・プレヴィン(ANDRE PREVIN)
「キング・サイズ」(KING SIZE)
アンドレ・プレヴィン(ANDRE PREVIN)の「キング・サイズ」(KING SIZE)です。
CONTEMPORARYのオリジナル盤、モノラル仕様になります。レコード番
号、M3570。
パーソネルはピアノにアンドレ・プレヴィン、ベースにレッド・ミッチェル、ドラムスにフランキー・キャップで、以前に出品して
いた「A TOUCH OF ELEGANCE」あたりと同様のメンバーになりますね。この当時はこのメンバーでレコーディングしてい
たようです。

このレコードは1958年に録音されたもので、もしかしたらプレヴィンの最も有名なジャズ・アルバムではないでしょうか。
クラシック界やポップスの編曲などでも有名で、西海岸でマルチ・キャリアを培ったプレヴィンですが、ここではすっかりジ
ャズに浸った演奏を聴かせてくれます。故に最も有名なジャズ・アルバムの一つなのでした。プレヴィンは後年にレイ・ブ
ラウンらと組んだピアノ・トリオ盤をテラークからリリースしますが、コンポラではこのへんが最上なのかもしれませんね。例
のシェリー・マン名義になる「MY FAIR LADY」もこの頃の作品になります。

収録曲は、A面に「I'LL REMEMBER APRIL」、「MUCH TOO LATE」、「YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO」の3
曲、B面に「IT COULD HAPPEN TO YOU」、「LOW AND INSIDE」、「I'M BEGINNING TO SEE THE LIGHT」の3曲、計6曲
です。どちらの面も真ん中にプレヴィンの自作曲を挟んだ構成です。

プレヴィンの演奏をして「ウェスト・コーストならではの洒落た感覚でござんす」的な批評はよく耳にしますが、B面2曲目の
自作曲辺りでは、幾分の計算を感じつつも、中々のブルース・フィーリングたる黒いものを聴かせています。「クラシックや
ポップス編曲の名手による余技」では収まりきらないスケールを垣間見せてくれる好例でした。

場合によると、バド・パウエル風アプローチやハンプトン・ホーズあたりを髣髴とさせるフレーズもあるようなないような…。
要はかなり研究した後の計算が後ろで働いているような気はするのですが、それをそんなに感じさせないのが彼の優秀
なところで、騙されても損はありません。聴いてて快適です。

出自はよく知らないのですが、このアルバムをして、かの有名な一関「ベ○シー」のS氏が「録音の凄さをまざまざと知ら
しめられた」などと仰ることになったそうです。でもね、それはホントかな? と実は思っています。何でも、粋な上にドッシ
リと腰が据わっており、ピアノの低音域がゴロンゴロンと鳴る、A面ラストの「You'd Be So Nice To Come Home To」が良
いそうな…。

CONTEMPORARYといえば「Sound By Roy DuNann」というクレジットが有名でして、彼の録音こそがCONTEMPOR
ARYサウンドの真髄とされています。確かに東の「ルディ・ヴァン・ゲルダー」に比較されて、彼の録音は西海岸での最上
とされています。で、私もロイ・デュナンの録音は嫌いではなく好きな方です。ところが何と、このアルバムのサウンド・プ
ロデューサーは件のロイ・デュナンではなく、ハワード・ホルツァーとかいうお方なのでした。

それ故かどうかは知りませんが、コンポラにしてはやや低域が強調されたような録音かと思わないでもありません。ピア
ノの低音域がゴロゴロ鳴るとか、レッド・ミッチェルのベースがブンブンうなるとかが、録音が凄いと言わしめる要因だそう
ですが、はてさてそれはホンマかいな…。

甚だ勝手な私見で申し訳なのですが、あくまでロイ・デュナンの録音をニュートラルなものと捕えた場合、ちょいと違う感じ
があります。スピーカーによっては、やや引きずりそうな印象が残るような気もします。

「ベ○シー」のS氏が絶賛した背景には、非常に優秀なオーディオ装置の存在が間違いなくあるわけで、一般家庭の装
置では少々異なった印象を持たれるかもしれません。とは言え、殊更に奇妙な録音というわけではありませんので、誤解
のなきよう。

このアルバムもいまだに何度もCDによって再発されていますが、ジャケット・デザインの秀逸さを理解するにはLPしかな
いかなと思います。ロバート・グイーディによるドローイングは、おそらくクレヨンが主体になったもので、その筆致(?)はC
Dサイズではよく分かりません。巷間とは違った意味での「ジャケ買い」に該当しそうなデザインじゃないですか。

しかし、アルバム・タイトルの「キング・サイズ」は一体ナニを意味しているのでしょう? 真相をご存知の方がいらっしゃっ
たら、是非ご教示ください。いずれにしても、モノラル仕様でのオリジナルLPは、今や案外レアかもしれません。

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